6話 夕食
両親と別れ、自身の部屋に帰ってくる。特にやることもないので、メイドのアリサにこの世界を学べるものを用意してもらう。先ずは読み書きから。言葉は通じるので、それほど難かしくはないと思う。複雑そうな文字だが、身体が幼いことや学ぶことが好きという性格から苦にはならず、勉強に集中できた。周りいるメイドや執事、教えてくれる先生からこの世界のことを学んでいった。
両親は公爵という立場上、日中は家にいることが少なかったが、それでも朝食と夕食は家族とともに食べようと、努めてくれた。
それから数週間がたち、ある程度の読み書きもできるようになっていた。いつも通り家族と夕食を食べているとき、父親のカイムから
「三日後に、第一王子と第二王子の生誕祭があるからルセリアも参加しなさい」
と報告を受ける。
「王子達の生誕祭ですか?」
この国の第一王子と第二王子の生誕祭、王族主催のパーティーに参加することは貴族の世界では当たり前のことで、よほどの理由がなくては断れない。どのような王子達なのか尋ねるも、この世界に写真、スマートフォンはなく、話を聞いてもわからない。
ただ父親のカイムから「王子は双子で、どちらも魔眼をもっているよ」と話してくれる。参考書やメイドたちの話を聞いて分かったことだが、魔眼は貴族の者が授かることが多いようだが、それでもほんの一握りのものらしく、魔眼をもって生まれたものは、珍重され、‘神から祝福を受けたもの‘と言われているらしい。
私の父親のカイムと母親のティアナは魔眼は持っていないようで、それだけで優遇される貴族世界で無いようだ。ちなみに私が魔眼をもっているということは両親には話をしていない、これまでの話の中で、私に対し、誰も魔眼について聞かれたりしなかったので、両親も知っていないのだと推測する。
「王子達は今年で12歳になる。ルセリアと同い年だね」
「私は王子達とお会いしたことがあるのですか?」
以前の記憶がないため、もし会っていたら、疑問を持たれるかもしれない。高熱で記憶がないんですと言ってかまわないが、確実に記憶がない噂は広がるからできれば言いたくない。そうなれば、両親にも迷惑がかかるだろう。
「いや、お会いするのは初めてだよ。王子二人ともね」
「私とカイムはお会いしたことがありますが、かわいい顔で、綺麗でしたよ」
「かわいい顔で、綺麗ですか?お母様」
「ルセリア、生誕祭に着ていくドレスを用意しているから、それを着て、当日は私達と馬車で王城に向かう。しっかり準備しておきなさい。ほしいものがあれば、遠慮なく言ってくるといい」
「私もドレスを新調したので、今から着るのが楽しみです」
なぜか?私よりも生誕祭に行きたそうにしている母親のティアナを見て、
「何か、すごくうれしそうですね。お母様」
「うふふ、だって、・・・・・・・なるかもしれないし」
母親の声が小さかったので、私は聞き取れなかった。
食事が終わり部屋に戻ると私はため息を漏らす。前世のころからあまりパーティーなどには出たことがなく、乗り気ではないため憂鬱な思いでベッドに入った。後日、ドレスの試着やマナーを教わるのに、勉強以上に肉体も精神もすりへった。
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