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57話 噂が生まれる

次の日、私は特に体調は悪い様子もなく、学園に登校していた。クラスに入ると、すでに私の友達は、登校していて、昨日のことを知っている王子達にみんなが質問していた。私が挨拶をすると、みんなが私のほうを向く。

「おはようございます」

私の席の周りにいるみんなに改めて挨拶する。


「ルセリア様、おはようございます」

「おはようございます。ルセリア様、昨日は大丈夫でしたか」

「体調は問題ないようですわね。ルセリア様」

リーネット、シルフィ、ステラが私にあいさつする。ステラの言葉で、すでに王子達から話を聞いておるのかと思い、王子達のほうに顔を向けると、頷くように首を縦に振る。


「また、お昼休みに、詳しく話しますので、今は・・・」

私の言葉、しぶしぶではあるが、皆が席に着いた。


時間になり、先生が入ってくる。挨拶を済ませた先生は、昨日の話をし始めた。じかし、生徒にはあくまで、疫病コレラのことは話さず、糞尿の匂いから体調不良の生徒が出たため、先生方の判断で急遽帰還することになったと。


私はそれを聞きながら、村の人が言っていた、疫病が過去に蔓延した村や町は、安全のために建物や人までも燃やした過去があると言っていたことを思い出す。今回は原因が分かったため、そのようなことはしないが、これからのことを考え、国も大げさにはしたくないのだろう。ましてや、ここには貴族の子息・令嬢が何人もいるため、噂は瞬く間に広がるだろう。それを抑える意味でも、生徒には、真実を伏せるようだ。レコーラ村のために。


朝の授業は問題なく進み、お昼休みになる。周りには他の生徒がいるため、私たちは屋上に来ている。クラスのみんな以外にガイアも来ている。王子達から大まかな内容は聞いていたようだが、予知の魔眼のことは伏せて、それ以外のことを私の口から説明する。



「「「「・・・・・・・・」」」」



私の話を聞きみんなが無言になる。

「しかし、よく気が付いたな、ルセリア嬢は。医学の知識がなければ、気づかないんじゃないか?」

ガイアが質問してくる。、

「最近読んだ本に、コレラのことが書いて当て、本の内容に似ていると思い、先生に伝えたんです」

「実際は、それが当たっていたということになるのか。偶然にしては、できすぎているな」

「・・・・そうですね」


私は、昼食を食べながら、

「みんなは、体調は大丈夫ですか」

「僕は、大丈夫です」

「俺も問題ない」

「わたしも、大丈夫です」

「私も」


「わたくしも、問題ありません。皆さんが言う通り大丈夫そうですわよ」

ステラが私のほうに向きなおり、少し笑う。恐らく、視診の魔眼でみんなの身体をみたのだろう。私は‘そうだ‘と思い、私はステラを連れて移動する。みんなから少し離れたところで、私はステラに提案する。

「ステラ様、今から一年生のみんなを、視診の魔眼を使って、みていきましょう」

「はー?、正気ですか、あなた」

「はい、もちろんです」

「私がみれるんのは、身体のどこが悪いのかくらいです。それに一人一人みていたのでは、時間がかかります」

「でしたら、お腹周辺をみてください」

「コレラが悪さをするのは、そこなので?」

「わたくしにメリットがありません、皆様は特別にみて差し上げただけです」

やっぱり動かないか。それなら。

「もし、体調が悪い人が見つかって、その方にコレラのアドバイスをすれば、その方に借りを作ることができますよ。庶民の方たちは一生の御恩になり、貴族の生徒からもステラ様自身に借りができ、一目置かれると思いましよ」

私が悪い笑顔でステラに言う。

「安い、挑発ですわね。わかりましたわ。わたくしも貴族です。庶民の生徒はわたくしが様子をみてきますわ、貴族の生徒もおまけでみますわ」

ステラは私の腕をつかんで、一年のクラスに歩き出した。



昼休みということで、クラス全員がいるわけではない。外に出て遊んでいる生徒や本を読みに図書館に行く生徒などがいるため、大体クラスにいるのは10人前後だ。私たちはひょこりクラスの中をのぞき、ステラにクラスの中にいる生徒を視診の魔眼でみて行ってもらう。私たちの視線に気が付いた生徒は、少しびっくり指定が公爵令嬢と侯爵令嬢の私たち、つまり上位貴族である私たちに文句を言ってくるものはいなかった。


「はぁー。今のところ、お腹周辺が悪い生徒はいないようでしたわ」

今いる生徒だけだが、問題はなかったようだ。ステラは手で目を抑える。

「ステラ様、お疲れ様です。疲れましたか?」

「あなた、自分からさせておいて、、、、魔眼をずっと使っていると眼が熱くなってくるんです」

‘私と同じなんだ‘どうやら魔眼を使うと眼が熱くなることは同じようだ。アトランとメシス、私が知る他の魔眼を持つ人たちも同じなのかと考える。


キーンコンーカン☆コーン と鐘が鳴り昼休みが終わる。私たちは自分のクラスに戻り、昼からの授業を受ける。そして放課後も同じようにクラスにいる生徒をみて回った。

「いませんでしたわ」

「そうですか、よかったです」

私は一安心する。ステラもだいぶ疲れたようで、しんどそうだ。

「結局、骨折り損のくたびれ儲けでしたね」

「何ですか、その言葉は?確かに儲けはなかったわね」


お互いが苦笑いする。


「それでしたら、私に儲けさせてください。ルセリア様、、、、あなたは、どんな魔眼を持っているのですか」

笑っていた顔が驚きの顔になり、私はステラの顔を見る。

「何を驚いていますの、今回の話は、本で見た知識なんかで、対応できるものではありません。他の生徒たちは騙せても、このわたくしは騙せませんよ」

‘流石、ステラ様、私の自称ライバル‘

ステラには、今回生徒をみてもらったという借りがある。私もできるだけ、友達にウソは話したくない。‘陛下、ごめんなさい‘私は話すことを決意する。そして、、、



「予知の魔眼ですって」


ステラが驚いている。大きく眼を開けて、私の眼を見る。


「はー、納得できましたわ。確かにそれなら今回のことは説明ができます」

そんなあっさりと認めてくれんなんて、

「ちなみに、予知の魔眼のことを知っているのは?」

「国王陛下と王妃、王子と王女、両親と騎士団長とその息子さん、そして、ステラ様だけです」


「そうですか?ルセリア様、素直に話してくれて、ありがとうございます」

ステラが私にお礼を言ってくる。

「私のほうこそ、話せなくて、ごめんなさい」


「ルセリア様、今度何かあったら、私にも素直に話してください。貴方の力になると誓いますわ」

ステラが片手を前に出す。

「こちらこそ、お願いします」

前に出された手を握り、お互いに笑う。そして、仲良く手を握って廊下を歩き屋敷にお互い帰っていった。


その日、学園で新しい噂が生まれたことを二人は知らない。一つは公爵令嬢ルセリアと侯爵令嬢ステラが婚約者を探しているという噂。もう一つは、公爵令嬢ルセリアと侯爵令嬢ステラは恋仲ではないかという噂だった。

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この『10ポイント』は、冗談抜きで本当に大きいです。

今後も『毎日更新』を続けていく『大きな励み』になりますので、どうか何卒よろしくお願いいたします。




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