3話 前世の私
父親と母親といっしょに自分の部屋まで帰って来た。
右足が捻っていたかったので、父親にお姫様抱っこの形で運んでもらった。
医者の人に、走っているときに捻った右足首を見てもらったが、骨は折れておらず、靭帯にも問題なかった。念のためテーピングで固定し、水を入れ袋で足首を冷やしている。
「無理をしてはダメだよ。ルセリア」
「何かあったら執事やメイドを呼んでね、ルセリア」
二人が私の額にキスをしてくる。
ちょっと恥ずかしくなったけど。
部屋を出ていこうとしたので、二人に
「おやすみなさい」
二人は笑顔で
「おやすみ」
「おやすみなさい、ルセリア」
と私にかえして、部屋から出ていった。
その夜、泣き疲れた私は、ぐっすり寝てしまった。
その為か、今度は本物の夢だろうか、前世の自分の夢を見た。前世の私は介護の仕事をしておりお年寄りの世話をしたり、また鍼灸師と柔道整復師の資格を持っていたので、休みの日は近所の人に鍼灸や手技をしてあげていた。「ありがとう」といわれるのが好きで、お医者様ほどではないが、誰かをなおしたり、助けるということが好きだった。
しかし、そんな生活を送っていく中で大きな天災が起こる。
震度7以上の地震が起こり、住んでいた家が崩れ、何とか生き延びたものの道路に出て避難する。
「早く逃げないと、津波が来るかもしれないぞ」
「早く家から出るんだ!」
「家が傾いているぞ」
「あそこ、燃えてるぞ」
「少しでも高いところに行くんだ」
「誰か、いませんか」
「まだ、この家の中に人がいるぞ」
「家がつぶれてる!!!」
地震により、みんなが慌てて、冷静な判断が取れなくなっている。私も同じで、パニックになっている。だだ、早く逃げなくては、という気持ちだけはしっかりしていたので、避難所に向かって歩き出す。歩いていると、崩れた家や同じ方向に向かって歩いている人たちが目にはいる。
地震という一つの天災が、私たちの暮らしを大きく変えた。
避難所に向かって歩いていく中で、さっきよりも落ち着きが出てきた。
歩いている途中、ほかの家の中から子供の声が聞こえた
「た、助けて、だれか!」
声がする方に目を向けると、かなり家が崩れかけている。少しためらったが、助けるため家の中に入り、家の中を探し回ると棚に足がはまって動けない女の子を見つける。
棚に力を入れ、隙間を作り女子を救出するが、女の子は棚で足を圧迫されていたため、うまく歩くことができないため、肩を貸してあげようとしたとき、余震が起こる。
「ウソ、何もこんな時に?あ、?」
ガーガーがシャーーーーーーん
悲鳴のような音を立てて家が崩れる。
意識がもうろうとする中で、目をあけると私は女の子を抱きしめていた。私の腕の中で気絶したのか女の子はすぅーすぅーと息をしていた。私の背中には女の子をかばった時の代償に崩れた家の瓦や木が体に刺さっていた。口からも血が出てきており、これまでかなぁと覚悟する。
腕の中にいる女の子はどうなるのか。
「ごめんなさい。助けてあげられなくて」
涙を流しながら涙声でつぶやく。
段々と眠たくなってくる。私は今までの人生はどうだったか思いかえす。
もっとおいしいものを食べたかった。
もっといろんなところに行ってみたかった。
もっと誰かを笑顔にしたかった。
もっと生きていたかった。
恋がしたかった。
まだ自分がやりたいことがこんなにあったとに気づく。
神様もし生まれ変われるなら、もっと長く生きて、もっといろんな国にいって、たくさんの人たちの笑顔が見たい。そして、恋がしたい。そう願っている中で、
私の命はそこで尽きた。
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