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134話 ステラに夢ができたために

扉を閉めた私たちは、「「ふぅーーーーー」」と大きく息を吐く。

自分たちがやるべきことが一つ終わったという達成感からと、これまで生きてきた中で間違いなく緊張していたということもあり令嬢とは思えないくらいの大きなため息が出た。ステラに至っては私よりも大きなため息が出ていた。

それを横眼に見ながら、当たり前かと思う。相手は同じ種族ではなく獣人族。これまで交流もないし、接点もない。それなのにいきなり城に呼ばれて、陛下の頼みではあるが(私のお願いが原因なんだけど)私に協力することになってしまった、ステラからすれば、迷惑と思われても仕方がないことだろう。


「ステラ様。本当にありがとうございました。私一人では野菜ジュースは完成できなかったし、それに、、、、獣人たちにあんなにはっきりとは言えなかったかもしれません。」


私がお礼をステラに伝えると、もう一度「はぁーー」と先ほどよりは小さいため息をステラがした。

そして、私の方へ向き、


「・・・・これはあくまで国王陛下からルセリア様に頼まれたからです。ルセリア様がお礼を言わなくてもいいわ。それに私も獣人の皆様とお話ができて、いろいろ勉強になりましたから。学ぶことができたという面では、感謝しないといけないですわ」

少し強がっているように感じるが、ステラの言葉で、私の中にある罪悪感が少しは薄れた。

私は数日間だが、獣人達と過ごし、少しは慣れてきていたが、ステラは今日が初めてだ。接し方や緊張、戸惑いといったものは、間違いなく私よりもあったはずだ。なのに、野菜ジュースの試作だけではなく、私と共に獣人たちの前に立ち、一緒に今の現状を訴えてくれた。簡単にできることではない。


本当にすごい子だと、精神年齢だけが大人な私はステラを見て思った。


「何ですか、その顔は・・・まるで罠にかかった獲物を見る目ですわよ」

「いえ!何でもないです」

あれ、私、そんな顔でステラを見ていたのだろうか?自分の顔は見れないからなんといえないが、私が手で自分の顔を触って確認していると、ステラが、


「国王陛下のところに参りましょう。これまでの経緯とこれからのことを話さなくてはなりません」

ステラはもう次に動こうと行動しようとしたので、慌てた私は手を顔からはなし、

「ちょ、ちょっと待ってください、それなら、一旦最初にいた部屋に戻りましょう。いろいろ話を整理した方がいいし、あ、陛下にも野菜ジュースを・・・・」

私の言葉に少し、考え込むステラだが、すぐに、

「わかりましたわ。それなら先に、厨房の方へ向かい、陛下に試飲してもらうため野菜ジュースを作りましょう」

ステラは私の腕引っ張って、厨房へ向かうため、歩き始める。

部屋を警備している衛兵たちに獣人たちをお願いしますと、挨拶をしながら厨房までステラに引っ張られていった。


それからは、厨房で作り終えた野菜ジュースをもって、最初いた部屋に戻った。しばらく待つものだと思っていたが、部屋に戻ってくるなりすぐに陛下がお呼びですと、執事服を着た方が部屋に入ってきて、私たちは移動をした。陛下が待っている部屋に案内されステラがこれまでの事を陛下に話しす。

陛下と話すステラは獣人たちに説明した時と比べると、かなり落ち着いていて、獣人たちの時は手が震えていたが、陛下との謁見ではそのようなこともなく、獣人族の問題に対しての解決案や、現状の報告、これからの獣人たちに対しての自分の考えを陛下に凜と報告していた。



一通り、ステラの報告、説明が終わると、しばらく陛下が考え込まれるが、

「此度は、ご苦労だった。ステラ嬢。そなたの父のアルテミス侯爵には、後ほどお礼の手紙をだそう。下がってよいぞ」

国王陛下がステラにお礼を言う。用は済んだので、家に帰ってもいいと陛下が口にするが、

「勿体なきお言葉、ありがとうございますわ。国王陛下。不躾ですが折り入ってお願いがあります」

「・・・申してみよ」

「私をしばらく、城で滞在させていただけないでしょうか?期間は獣人たちが滞在している間?」

「・・・理由を聞いても、構わんか?」

ステラは右手を胸に当てしばらく時間が立ったあと



「私は魔眼を持っていますわ」

ステラの告白に陛下が驚くが、ステラは話を続ける。

「視診の魔眼とルセリア様が名前を付けてくれました、身体の状態を見ることができる魔眼です。私は今まで自身の夢を持てずにいましたわ。侯爵令嬢というこもあり、親からもそれにふさわしいふるまいをと言われ、教育を受けてきました。兄が家督をつぎ、将来は誰かに嫁ぐものだと。そんな私には夢を抱くことができずにいましたわ。ですが、ルセリア様と出会い、夢ができたのです。医者になりたいという夢が、、、。魔眼のため、幼き頃より人間の身体には興味を持っていました。それもあり、ルセリア様が魔眼を使って誰か救う姿を見て、私も視診の魔眼を使って誰かを救いたいと強く思うようになったのです。今回、獣人達との出会いで、それはさらに強くなりました。私は医者になりたい。そして、ルセリア様よりも多くの人を救いたい。そのためにもこのまま屋敷に帰ってしまっては、獣人たちの野菜ジュースを飲んだ後の身体の状態をみることができませんわ。お願いします。国王陛下!」


しばらくして、少し笑った顔で陛下が、

「相分かった。ステラ嬢の気のすむまで城の滞在を許可しよう」

「ありがとうございますわ。国王陛下」


その姿を横で見ていた私は、子供の成長は早いというが、何かの出会い、きっかけで人は驚くほど成長するのだと改めて思った。そして、それは話を聞いた国王陛下も同じ思いなのだろうと、何となく表情を見て分かった。


こうして、獣人たちが城に滞在している間ステラも滞在することが決まり。本来であれば、明日から学園があるのだが、案内役(もはやしていない私)の私も城に滞在してほしいと陛下に言われた。

私、それほど頭良くないから、学業を遅らせたくないが、仕方がない。渋々あきらめ、これからのことに頭を悩ませるのだった。




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