129話 陛下に3つのお願い、その3つ
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なぜ?ステラが城に来るのか?それは私が陛下へお願いした3つ目、それが今日ステラ・アルテミス伯爵令嬢を城に呼んでくださいというものだったから。
ステラが案内されるという部屋に来た。ノックをして部屋に入るがまだ来ていないようだ。
王城の一室なため、私の部屋よりも広い、置いてある椅子に座って待つが、広い部屋に一人座っている
だけなのになかなか落ち着かないものだ。
しばらくして、部屋からノックの音が聞こえて来る。ドアが開き、ドレス姿のステラが入って来た。部屋の中に私がいることに驚く様子はなく、
「ごきげんよう。ルセリア様、今日はいい天気ですわね」
とあいさつしてくる。少し口調が怒っているように聞こえなくもないが、たぶん怒っている。
「ごきげんよう。ステラ様、よく来てくださいました」
私からも挨拶をすると、ステラは私が座っている椅子の前まで来てから、「失礼します」と言って座る。
従者の方が部屋を閉め、部屋には2人だけになる。何とも言えない空気が流れ、しばらく無音の時が続くが、ステラが口を開く
「昨日両親から、明日王城に来てほしいと城の従者から知らせをもらったと聞き、こうして参上しましたがあなたの仕業だったんですね。ルセリア様。」
「しわざって、そんな大げさな、、、私はステラ様に頼みたいことがあったから陛下にお願いしたんです。」
「国の頂点にお願いって!!あなた」
ステラがあきれた言わんばかりの顔で私を見てくる。
「はーー。それでライバルであるあなたが、私に何を頼むと?」
「今、城に滞在している獣人たちのことについてなんですが」
「.......聞くだけ、聞いてさしあげましょう」
今獣人たちが、同盟のため城に滞在していること。同盟の目的が犬獣族の問題で、他の獣人と比べ寿命がとても短いこと。病にかかる数も他の獣人より多いこと。それに対し、陛下が医術の提供をすることに賛成したことなど。これまでに決まったことを包み隠さずにステラに説明した。
私の話を聞いて、しばらく考え込むステラ。やがて口を開き。
「つまり、私の魔眼で、獣人たちを見てほしいと?」
「正解です。ステラ様」
「はぁー。私の視診の魔眼は身体のどこの部分が悪いかをみるものですよ。寿命や病をみるものではありません」
「わかっています。しかし、身体のどこの部分が悪いか、それだけでもわかれば、対処や処置の仕方は増えてきます。そして、その原因も見えてくるといいものですよ。それに医学を勉強しているステラ様にとってもいい勉強になると思いますよ」
少し試すような口調になったためか、ステラが少し考えて、
「???...もしかして、あなた、もう原因が分かっているの?」
「どうでしょうね」
少し、いじわるそうな顔でステラを煽る。
「いいわ、あなたのお願い聞いてさしあげましょう。ライバルのあなたが分かって、私が分からないなんてあってはならないことだわ」
「ありがとうございます。ステラ様」
それからは、従者の方にお茶とお菓子を用意してもらい、獣人たちが城の見学から戻ってくるまで、お茶を楽しんだ。
そろそろ獣人たちが城の見学を終え、戻ってくるはずなので、私とステラは部屋を出て獣人が滞在している部屋へ行く。
歩いていると、部屋に入る獣人たちが見えて来た。ステラは立ち止まり獣人たちを眺める。その様子からステラも獣人に会うのは初めてのようだ。
ステラと一緒に部屋の中にはいった私は、獣人たちにステラを紹介する。
「私の友達のステラ・アルテミスです。皆さん、仲良くしてください」
「ステラ・アルテミスと申します。獣人の方々、しばらくの間だけですが、よろしくお願いします」
紹介がすむと、獣人たちがステラのほうに駆け寄てきた。そして1人1人元気に挨拶をしてくる。「よろしくなぁ」「きれいな方ですね」「この国は建物がきれいですね」
「わつぃの娘と同い年くらいでしょうか?」「お姉ちゃん、こっちきて遊ぼう」「お昼、一緒にご飯食べましょう」・・・
昨日とかなり態度が違う獣人たち。ステラもびっくりして「お待ちください」「ちょっと服を引っ張らないで」と慌てる。少し時間がかかったがお互いに慣れて、最後はきちんと1人1人に挨拶していく。
なんだかいきなり、フレンドリーになってない?と思いながらその様子を眺めていると、
「獣人国アマーゾネの中で階級・身分制度はありませんが、それでもみな族長を称えます。初日に私がルセリア様の身分がサンガ様よりも上と皆の前でいてしまったために、
獣人の皆はルセリア様に対しては、話しかけずらかったのでしょう」
ダイロンが横に来て、説明してくれる。そういえば、さっき、ステラのことを名前だけしか紹介してなかったことを思い出す。
そうか、私も最初名前だけ名乗っていたら、こうなっていたのかもしれない。いやないか?あの場では。
しばらくして、獣人たちに開放されたステラがゆらゆらと戻ってきた。
「つ、疲れましたわ。獣人の方は子供でも力がお強いのね」
「お疲れ様です。ステラ様、それで、どうでした?」
「......正直、何人かの獣人は既に病にかかっているようですわね」
「そうですか」
ステラは、挨拶をしながら、魔眼でみた獣人たちの状態を話してくれた。心臓や腹部、また頭に問題がある獣人たちが多いと。視診の魔眼でみれるのは、あくまで体のどの部分が病なのかを知るためのものなの、病名や原因はみることはできない。しかし、ステラのおかげで、見た目は健康でも身体の中では問題があることがわかった。
私はステラにお礼を言ってから、もうすぐお昼なので、獣人たちと昼食を一緒に取りましょうと誘う。ステラは少し考えてから「かまいませんわ」と了承してくれる。
私たちは獣人たちと一緒に昼食をとるために部屋でしばらく待っていると、ドアが開き城の料理人たちが、料理を並べて聞く。
並べらていく料理を眺めながらステラは「え?何この料理は?」と驚く。
なぜなら、料理は私たちが食べているような料理ではあるが、野菜やスープやパンが用意されていない、肉料理だけだったからだ。
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