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101話 お酒で思い出す

夜になり、明日はユースティテ王国に帰らなくてはいけない。そのためか今日のディナーはジオテニア国の王族と私たちとが向かい合う形で進行している。

広い部屋の真ん中には大きな机と椅子が並んでいて、順番にそこに案内されて座っていく。なぜか、私の前には女王陛下が座っている。なぜ?私の前に女王陛下が?


次々と運ばれて来る大皿に乗った料理を、係りの人がお皿に取り分けてくれるスタイルで。それにどうやらここは和洋折衷みたいな感じで、中華風の炒め物があるかと思えば、大きな肉で分厚いローストビーフみたいなのもあった、うわあ、めちゃくちゃ美味しそう。

そして、メインの横にはパンとご飯があり、そのためか、私のところにはスプーンやフォークのカトラリーと一緒にお箸が置かれた。


「それ、使えるのか?ルセリア」

「使えますよ。お父様」


私の言葉に、ユースティテ王国側のみんなが驚く。まぁ、サタン王子には私が箸を使えるのは知られてるから、サタン王子が話したのだろう。

全員の前に料理が並べられると女王陛下がグラスを持ち、


「それでは、乾杯しましょうか!」


その言葉で、みんながグラスを持ち、そして持ち上げて、


「乾杯!」

「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」


グラスの中は赤いワインだった。アルコールはそれほどでないのか、お酒を飲みなれていない私でも飲みやすく「これ、凄くおいしいです」と食事中何度もお代りをした。後から知ったことだが、この世界ではお酒は成人してからという決まりはなく、好きな時に飲んで構わないそうだ。

出される料理はどれも美味しくて、私は無言で食べていった。

気になっていたローストビーフは、肉もソースも予想以上に美味しかったし、大きめの野菜と大きなソーセージが丸ごと入ったポトフみたいなのものも美味しかった。なにより、パンではなくご飯を食べられるのが嬉しくて、おかずの時はスプーンやフォークを使い、ご飯を食べるときは箸に持ち替えて交互に食べていった。みんな、私に視線を向けていたが、気にせず食べていった。


「いかがでしたか? ルセリア嬢。満足されましたか?」

「はい、どれも、美味しい、、料理でした」

「それはよかったです」


食事が一通り終わると女王は私の顔を見て来る。私も女王の顔を見ようと顔を上げたとき、あっ、ヤバい。だいぶ酔ってきているように思う。頭がクラクラするし、すごく眠たいように感じる。


「ありがとう。ルセリア嬢、あなたのおかげで、私の民たちは救われました」

「え?・・・」


いきなりお礼を言われて戸惑ってしまう。眠たい頭を頑張って動かしイリンガの谷のことだと思いいたる。


アストライア公爵からイリンガの谷で崩落が起きる可能性が高いと言われたが、女王はどうしてそんなことがわかるのか昨日までは分からなかった。それがルセリアの予知の魔眼を知ることで理解できた。恐らく、ルセリアが予知の魔眼でみたことを、父親やユースティテ王国の王族たちに話し対応したのだろう。そして、我が国にもその情報を教えてくれた。本当に感謝しなければならない。そして、直接お礼を言うために、女王はわざわざルセリアの前に座った。


「いえ、私は、、、ただみたことを伝えただけ、、です。私一人のおかげでは、、、ありませんよ、女王陛下」

「そうかも・・・、いえ、それでもあなたがいなければ、おそらく失う命もあったはずです。この国を代表し、改めて感謝します」


「失う、、、命!」


その言葉を聞いて、アルコールのせいか、予知の魔眼でみた夢ことを鮮明に思い出す。確かに予知では、崩落で多くの人が亡くなっていた。ユースティテ王国の騎士、そして盗賊たち、みんな死んでいた。思いかえすと背筋に悪寒が走り、気分が悪くなる。折角食べた料理が胃から口に戻ろうとする。


「ううぅ、、はぁー、はぁー」

手で口を押さえ、上がってきたものをまた下に送る。胃酸が口の中に残り、その酸っぱさと喉の違和感に気分が悪くなる。眼には涙までにじんでくる。


「だ、大丈夫か。ルセリア」

「お、おい、しっかりしろ、ルセリア」

「は、早く医者を!」

「お姉さま、しっかりしてください」


みんなが私を心配してくれる。


「大丈夫、、です。ちょっと、ワインを飲みすぎて酔ってしまいました」


数分の間、みんなは何も言わずただ私を見てくれていた。やがて、呼吸も安定し落ち着いた私は


「もうしわけ、ありません。女王陛下」


女王陛下に謝る。心配しいる顔の女王が


「いえ、私の方こそ考えもなく発言したことは申し訳なかったです」


無言になり、誰も何も言わなくなる中、王配がかわりに話してく。


「改めて、ユースティテ王国の皆さん。まだ一日残っていますが、お疲れさまでした。今夜はゆっくり休み、明日に備えてくれ」

王配の話で終わり、私隊は部屋に戻るため、席を立ち部屋を出ていいった。まだ酔っている私は父親に支えてもらう。


部屋の中に残ったジオテニア国の王族は、何とも言えない空気が漂うなか、予知の魔眼のことを知らない

リシアが質問する。


「ルセリア様、ワインの飲みすぎですね」

「そうだな、かなりの勢いで飲んでいたからなぁ」

サタンがリシアの質問に答える。


王配と王子、そして王女を自身の部屋に戻させた女王は改めて、予知の魔眼について考える。どのように未来がみえるのか詳しくわからない。ただ、それほどまで鮮明に未来が見えてしまうなら、…「失う命」とルセリアが言った時、きっと予知でみたことをアルコールの力もあって思い出していた。おそらく、崩落で多くの人の命が失われていたのだろう。例え現実では防ぐことができた出来事であったとしても、ルセリアからすれば一度は悲劇をみていることに変わりない。現実ではそれを知らず、ただ生きている私たちと違い、その胸に一人だけ誰にも知られぬ傷を増やしていく。まさに呪いであるかのように。魔眼は神からの贈り物と言われるが逆に、悪魔の呪いともいわれている。予知の魔眼をもって生まれたルセリアにとって、果たしてどちらに当てはまるのか?

考えても答えはでず。


「明日改めてルセリア嬢に謝らなくてはいけませんね」


女王陛下は席を立ち自身の部屋に戻っていった。



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