ぶらいとんでつけ麺を:旗の台
旗の台の東口商店街は南北に伸び、北の端は中原街道に出るが、そこに聳え立つのが昭和医大病院である。
昭和医大であるからして、ここもまた学生街でもあると言えよう。そんな昭和医大生御用達のラーメン屋が創業10年のぶらいとんである。
商店街をちょっと一本曲がった、すぐ先はもう住宅街というところにある半地下の店で、決して広い店でもない。
だが並んでいる。
私は開店前の時間に、たまたま行けそうという時しかお邪魔しない。
暖簾をくぐって段差を降り、狭い入り口付近の券売機にはある麺の種類は3種。ラーメン、あぶらそば、つけ麺である。
何度も行っている店だ。他の客が頼むものを見ていれば、あぶらそばが一番人気であるのは間違いない。
だが私が食べるのはつけ麺である。
つけ麺が食いたい、そう思った時に私はぶらいとんに行くからだ。
注文は中盛り、ひと口ご飯、無料トッピングの刻み生タマネギを別皿に。
黄色く太い麺。麺の上にのる具はチャーシュー、ほうれん草と海苔。つけ汁の中にはメンマが沈む。
まずはチャーシューとほうれん草をつけ汁の中に沈めてから、麺を一箸掴んでつけ汁の中に。
つけ麺と言えば魚介系、鰹節出汁が多く、中には鰹節を山盛りにしたりどろりとしたスープの店もある。嫌いではない。だがやり過ぎに感じるものだ。
ぶらいとんは醤油ベースの獣系であり、これがまず好みなのだ。
腰のある麺に汁が絡んで香りが鼻腔に広がっていく。
二箸目を汁に漬けると、海苔を摘む。そして海苔で麺を挟む様にして口へ。今度は磯の香りが鼻腔に広がるのだ。
そうして次は普通にと半分くらい箸を進めたところで刻み玉葱の出番である。
つけ麺はラーメン好きの中でも好みが分かれる食べ物である。つまり、熱々の汁に冷たくした麺を入れてぬるくなってしまうのではと。実際、私の友人にはこの意見でありつけ麺を好まない者もいる。
確かに事実である。だが、日本酒にも熱燗、ぬる燗、人肌、冷酒とあるように、ぬるいものが悪ではないのだ。つまり、酒は温度でその様子を味わいを変えるのであり、麺もそうなのだ。
ぬるくなると香りが抑えられ、代わりに旨味を強く感じる様になる。
玉葱を汁に落とす。汁の温度が下がる。
ここで麺を食うか? そうじゃない。飯の出番である。
汁をたっぷり吸った玉葱を蓮華で掬い、飯の上に移動させるのだ。そうしてその上から卓上にある胡椒を二振り、唐辛子を一振り。
ミニ玉葱丼とでもいう飯を楽しんでから再び麺に取り掛かる。上品なやり方ではないだろう、だが間違いない。
そうして飯や麺を食べ終えたら、熱いお湯を入れた割スープで再び香りと味の変化を楽しむのだ。
ところでこの店は大盛りまでは料金が変わらない。だいたいにおいて私はつい中盛りではなく大盛りを頼んでしまい、腹を重くして帰るのだった。
ぶらいとん
つけ麺
トッピング増しにしている