古桑庵で餡蜜を:自由が丘
自由が丘で休憩をしようとしたら、無数のカフェがあるだろう。例えば今、食べログに「自由が丘 カフェ」と入力したら136件が表示された。
その全てを回ることなど到底できない。私は例えば自由が丘で美味い珈琲が飲みたければここと決めている店はあるが、それよりも美味しい店があるかどうかなどわからないのである。そして、味とは別に居心地の良さを感じるかどうかと言うのもまた別の問題であろう。
それでも、ここ古桑庵は自由が丘という東京の有名な繁華街においてオンリーワンかそれに近い店であると言えよう。
どこからどこまでを自由が丘という街の範疇に含めるかと言われると難しい。
アパートの名前などだと、自由が丘という地名を使いたいからか、環八の西まで、なんとか自由が丘という建物があったりするが、それはやり過ぎというものである。
ただ、繁華街という意味で最も狭くみたとき、その北限は熊野神社のあるブロックと言って良いのではなかろうか。
そういう意味で、この店は繁華街自由が丘の北の外れに位置する。
北側のロータリーから蜂の屋の角を曲がり、カトレア通りを北へ。ポパイカメラなどのある道だ。そこを真っ直ぐ、緑小通りの手前まで進む。左手にはラ・ヴィータ自由が丘というイタリアの街並みを模した商業施設があり、川に橋など掛かっているのですぐわかるだろう。右手に古民家があり、それが古桑庵である。
その名の通り、桑の古材を使って作られた民家が、現在は茶房とギャラリーに改装されているのだ。
趣のある路地を奥へ。飛び石は丸く穴が空いており、石臼を切り出したものと分かる。手前側の建物がギャラリー、奥が喫茶店だ。
靴を脱いで座敷へ。古箪笥などの民具や人形、掛け軸などが飾られている雰囲気のある店内である。中にはしれっと横山大観の手紙が額装されていたりもする。
できれば平日、それも雨の日などに行くのが良い。
庭に面する席が空いていればそこに座りたいからだ。空いている方が良いし、雨の庭というものはは風情がある。梅雨時など最高だ。
そしてせっかくなので注文はやはり抹茶が餡蜜とでもしたいところだ。心太は季節限定だっただろうか。それもまた良い。
味に関して言えば、ここの餡蜜が都内で最上であるという気はない。もちろん充分に美味しいものであるが。
変な言い方になるが、古桑庵の餡蜜がテイクアウト出来たとしても買わないだろう。
なぜなら客はこの店の雰囲気を楽しみに来ているのであるから。若者も多いが、騒ぐような客は無い。
ゆっくりと餡蜜を楽しみ、茶を喫するのだ。顔を上げた時に目に映る緑が心を休めるであろう。
古桑庵
あんみつ