王府でスタミナ麺とレバニラを:日吉
行きつけの店というものがある。
それも毎日通うようなレベルの店だ。
私にとって学生時代のここ王府はかつてそういう店だった。週に七回いったこともある。日曜日は定休なのにどうやって七回行くかというと、昼も夜も行くということだ。
切っ掛けは後輩がここでバイトを始めたという話からだったが、ずっとこの店のファンなのだ。
この店のメニューは端から端まで全て頼んだことがある。にも関わらず私がこの店で頼んだメニューの九割はスタミナ麺であろう。
それだけこの店に通っていると言うことであり、つまりソウルフードであるということだ。
唐辛子、ラー油の効いた赤茶色のスープに挽肉、刻み玉葱、韮、大蒜の乗ったラーメン。
辛い。食べれば冬だろうと汗が出る。もちろん夏も食うが、やはり寒い時に食べるのは最高だ。
今でも仕事中、昼に日吉を通ることがあり、時間があれば立ち寄ることがある。
メニューを見る。頼むものは決まっているが。
追加で一品頼むかどうかだ。
ただしそれもほとんど決まっている。
「スタミナ麺、大蒜抜き。それとレバニラ単品で」
毎日のように来ていれば他のものも頼むのだが、たまにしか行けないと自分の中の定番を頼んでしまうものである。この店の看板メニューは肉炒飯である。学生たちがよく頼んでいるのを目にするし実際美味い。
スタミナ麺が大蒜抜きなのはこのあとまだ仕事があるからだ。仕事が無ければそんなことは言わない。
レバニラを頼んではいるが、実のところ私はレバーを好まない。ただしそれはレバーの扱いが下手だと、パサついて固かったり臭みが出たりしやすい食べ物であるからだ。
美味いレバーは好きだ。つまり、王府のレバニラである。
大振りに切ったレバーをこれだけ美味く食わせるのだから大将の腕前がわかるというもの。
そして安い。スタミナ麺650円、レバニラ単品も650円はいかにも学生街の値段であった。最近値上がりして700円になったか。
学生の頃、私が辛いものが好きだという話を後輩が大将にしていたため、私のスタミナ麺は通常のものより辛い。今はそれほどでもないが、学生の頃はスープが紅に染まっていたものだ。紅いスープ、白の玉葱、緑の韮でクリスマスカラーと笑っていた。つまり、クリスマスに男たちで王府に繰り出しているということだが。
「君のスタミナ麺だけは味見できなくてさあ。大丈夫かい?」
大将にはそんなふうに言われていた。もちろん最高ですと答えていた。
ちなみにこの店のラー油はよく見かけるメーカーの瓶に入っているが、実は中身は自家製である。香りが違う。
ライスを頼んで麺を食べ終わった後のスタミナ麺に落とすのもまた美味い。最近はそこまでたくさんは食えないがね。
そうだな。こんな話をしているとまた行きたくなってしまう。平日に時間を見つけて行ってこようか。
王府
スタミナ麺
レバニラ
ξ˚⊿˚)ξつまり何がやりたいって、今書いている中華風舞台の小説『朱太后秘録』の中に王府って店を出したかった。それだけなのである。