ねこにこ飯でチゲ豆腐を:学芸大学
友人と学芸大学に行ったのである。
彼の職場付近に美味そうなトンカツ屋があるので行かないかと誘いを受けて。ちなみに学芸大学は自宅から距離的には近いのだが、電車で行くとちょっと遠回りとなってしまう位置であり、わざわざ行く機会があるかというとなかなかない場所でもある。久しぶりに行ってみることにした。
臨時休業。
これである。
まあ、そういう日もあるだろう。学芸大学を散歩することにした。昔行ったことのある南仏料理の店はあるだろうかと思って覗きに行けばなくなっているし(移転していた)。
そういえば前回書いた武蔵小山とすかーなのチェーンであるTOSCANA学芸大学の前も通る。流石に今日は行く気にはならず、どうしたものかとそぞろ歩き、たどり着いた店の看板がこれである。
『んさ食屋定いバヤ』
ヤバい定食屋さんであった。
文字は右から左に横書きで書かれている。後からTwitterにあげた写真を指摘されて気づいたが、定食屋ではなく定屋食である。ヤバい。
店の前にはごちゃごちゃとおもちゃ的なものが置かれていて、赤くて丸い謎ロボットが頭上で拍手している(ビッグクラッピーというロボットらしい)。
そのロボットの下にはワンオペ営業の文字。
何がヤバいって何もかもがヤバい。
ちなみに店の名前はヤバい定食屋ではなく、小さなバス停のような看板に書かれていた『ねこにこ飯』であった。ダジャレである。
どうすると友人に聞くと、一人で入ってみる気にはならないという。然もありなん。二人で入ってみることにした。
ヤバい。
換気が死んでいるのかとても煙い。料理の匂いか刺激的な煙さである。
四人卓が一つ、カウンターが五席の狭い店内。まあワンオペなら適正とも言えるか。
テーブルにはメニューと今週の定食などが書かれている。
正面には自由に読めということか透明なカバーのかかったコミックなどが並んでいる。
試しに一冊手にとる。べとりとする。ヤバい。元に戻す。
注文したのは友人が「海老フライ入カニカレー」、私が「キャロラインリーパーの激辛チゲ豆腐」である。キャロラインリーパーとは激辛唐辛子の名前である。
週替わり定食がこんなラインナップだからこんな刺激的な煙さなのでは?
待つ時間が長い。まあワンオペと書いてあるのだからそれは仕方ない。理解して入っているから大丈夫である。待っている間とても煙いが。
漫画を読む気にもならず、メニューや調味料を見て時間を潰す。食べる醤油やら食べるラー油があるのはなかなか面白い。問題は「だっ中濃ソース」や「ギロッポン酢」である。
親父ギャグがヤバい。
そうしてついにやってきたチゲである。ぐつぐついっているあたり本格的に見える。ただ、豆腐チゲのおかずに冷奴、豆腐がついているのはどうなのか。「醤油、努力、友情」と書かれた調味料をかけ、冷奴を食し、チゲにうつる。
辛い。なるほど辛い。激辛スパイスをさらに振って食す。辛い。だが美味い。辛くて美味いものは好きである。美味い。
だが、食べているとときおり口の中でじゃりっという。
花椒、いわゆる四川山椒の痺れた味がする。
確かにキムチと豆腐と卵が入っていてこれはチゲである。だがこれは四川料理なのでは? と脳がバグる。
隣の友人を見れば海老フライが三本のったカレーを食している。1000円で小さめとはいえ海老フライ三本は豪勢なカレーである。彼はいう。
「美味いが山椒の味がキツい」
カレーなのに⁉︎
汗が止まらない。店が煙くて暑く、チゲが辛く熱いからである。
完食して店から出た時に思った感想は、シャワー浴びたいである、いや、ヤバい店であった。
ねこにこ飯
チゲ豆腐
奥にギロッポン酢が見える








