見た目じゃないって信じたい!
私は悪魔だ。
どっからどう見ても悪魔でしか無い。
釣り上がった目、にっこり笑えば覗く牙、頭のツノ、背中の羽、長い尻尾、etc.....
だから近所のみんなは口々に言う。
「リーシアは見た目で損してるのよねーw」
………確かに、この世界のどこを探しても、私みたいな悪魔はいないと思う。
それは私も断言できる。
「だからって、16年も一緒に住んでるんだから、そろそろ見た目のことなんか突っ込まなくったっていいじゃ無い!!
悪魔だからって根っからの悪人なわけじゃ無いんだから、そろそろ周知されてもいいと思うのだけれども?!
せめてこの界隈だけででも!!!」
そう叫ぶのは私、リーシア。16才。
生まれてすぐ本当の両親に捨てられて、人間に育てられた特殊な悪魔。
本当の両親のことは全く覚えてないし、誰かわかるものも何もなかったから、恨みもなければ興味もない。
でも、私を育ててくれた両親はとっても立派な人。
曲がったことは大嫌い。
誰かに親切にするのは当たり前。
何より、朗らかで明るいいい人達だ。
そんな両親に育てられたからこそ、私は品行方正な悪魔として成長した。
普通の人に比べたら力もあるし、魔力も上手に扱えるし、空だって飛べちゃうし、出来ることがたくさんある。
でもその力は人のために使うモノ、そう教えてもらって育った私は、今日もおばあさんの荷物を代わりに運んであげたり、木登りをして降りられなくなった子供を助けたり、自分にできることは精一杯して過ごしてたのに。
遠方から来てたおばあちゃんの親戚には泥棒と間違えられるし、子供を見てなかった親には危ない事をさせたと怒られるし、踏んだり蹴ったりだ。
村の仲良しのナーシャに、冒頭の台詞を言われ、あんな風に叫んでも仕方ないと思う。
「でもリーシアがいい子なのはこの村の人ならみんな知ってるし、あの子のお母さんだって、子供に違うって言われて謝ってたじゃない?
そんなにショック受けなくても大丈夫よw」
「ナーシャは言われたことがないから言えるのだわ。
私は一生懸命頑張っても、初めましての人には絶対逃げられるし、普通の人と同じ行動取っていても、この見た目のせいで怖がられるか疑われるかのことの方が多いもの…」
ナーシャに笑いながら慰められるが、正直ショックな気持ちは隠しきれない。
ましてや今後のイベントを考えると余計憂鬱になってくる。
「まぁ、私は人間だし?
リーシアではないからその気持ちはわかってあげられないけど、あなたの友達としてちゃんと慰めてあげてるんだから、そんなに不貞腐れないの!」
「慰めてあげてるって…人の尻尾で遊びながら言うことではないかしら。」
「だって!
リーシアの尻尾って滑らかで他のどんなものとも質感も手触りも違うから離し難いのよー?
もう一日中手に巻きつけていたいくらい!」
「それは私も勘弁かしら…」
本当に、慰めるつもりがあるのかしら??