0098. 閑話・【氏兼】防災ってなんぞや、門前町で吐き気が止まらない
定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!
「たき、絵図をこちらに持ってきてもらえるかしら」
たきが姫御子様に部屋に拡げておられた紙を順番に渡しておる。この紙が防災都市計画についての絵図になるのか。相当な枚数の紙があるので、話は長くなりそうだな。
その後、姫御子様からの質問に答えながら、街の大きさなどを決めておられたが、門前町の大きさを社を中心に海側半里、山側半里、前方は1里なんぞ、今の安房に、いや、坂東にはない大きさであろうぞ。姫御子様の街作りについてのお考えを聞けて、よかったとはいえ、これはいくらなんでも作れるとは思えぬわ。
「姫御子様、ちょっとおまちを、今、考えている門前町の大きさは、そこまで大きくありませぬ。せめて、村一つ分くらいの大きさで考えておりもうした。
どう考えても、あの場所にその大きさの街を作るのは無理でございまする。この稲村の地よりも、大きい街になりまする」
「氏兼、此度の話は、最終的な街の姿になります。今すぐの姿ではなく、奈良の都や京の都のように計画を立てていきましょうと伝えたではありませぬか、何を忘れておるのです。大きさは、先のとおりです。
街の外郭には、城壁と堀を準備しましょう。堀を掘った土で土塁を作れば効率的です。今、光賀に頼んでいる原材料が届けば、道作りが進みますし、工具も今までとは違うのが出来るので、早くできるようになりますよ」
確かに姫御子様のおっしゃるとおり、最後に完成した際の街の姿であろうとは思うが、何時になったら完成するのか、見当もつかない。
これではずっと街づくりをすることになってしまうやもしれぬな。水堀に櫓、今までと違いすぎて、何をお伝えすればよいのか、全く言葉として出て来ぬ。
「あっ、いやっ、言葉になりませぬ。言葉はわかりますが、そのような事が出来るのか、ようわかりませぬ。某の経験でお答えすると申しましたが、それは、無理なようでした。もう姫御子様のやりたいようにやられたほうがよろしかと思いまする」
「そうなの、せっかく、氏兼がいるのに独断と偏見で話をしちゃっていいのかしら。まぁ、そうねぇ、まずは私が縄張りの絵図を作って行くから、何か気になったことがあったら、氏兼、声をかけてもらえるかな。
たき、悪いのだけど、新しい紙と墨の準備をお願い。それと机の準備もお願いね」
たきが新しい絵図を描くための準備をしておるが、
その横で姫御子様が何やら考えておられるな。姫御子様は、御神託を理解して儂らに伝えておられるだけでなく、御神託の智識を身につけられておるのか、もしそうだとしたら、姫御子様の存在がさらに上がるではないか。
御神託が多いので、それだけご寵愛があるのやと思っておったが、一部は御神託無く、姫御子様が御神託の智識を使い、考えられてお話をされておるのかも知れぬな。これは殿に一度ご相談申し上げねばならぬな。今までも皆に分からぬように動いていたが、儂の推測が正しいなら、もっと厚く厳重にしないとダメだろう。
たきの準備が終わった後、姫御子様から新しい街の姿の絵図をその場で描きながら、儂に話をしておられたが、正直、途中から話がわからなくなってしもうた。
海側は堀を深く大きくして、出入り口は最小限、山側に貯水池を作りたい程度は、分かったが、貯水池で鯉とか魚の養殖?、合鴨?を育てる。さらに、舟屋?と総構えなど、理解出来ぬ言葉で話をされておったわ。
あと城壁の内側にも水田や畑を作るなど今までに聞いたことが無く、理解が追いつかぬ。これは、また姫御子様のところにお伺いして、何度も聞くしかないな。だが、この描いてる途中の絵図の街の姿が本当に造れたら、上杉方がいかに来ようと、打ち負かせられるな。気を引き締めねば、姫御子様に置いていかれるな。
その後も姫御子様から街の姿について、話を聞いておったが、最後は、何も頭に入らず、頷く事しか出来ておらなかったようじゃ。姫御子様が気にされておった中食も摂らずにおって、帰り際に気付いたわ。
帰るときは、姫御子様、たきから哀れみの目で見られていた気もするが、それすら、気にならぬまま、家に帰っておった。