0093. 閑話・【光賀】土の納品と将来に向けて
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「里見様、ご依頼いただきました土などの買い付けでございますが、三宅殿にご助力いただき、火山灰、火山岩、石灰岩、まずはそれぞれ船一艘分を買い付けてまいりました。
一月半から二月ほどで、紀州御坊に運び入れてもらいまするので、里見水軍のお力をお借りできないかと、ご相談にまいりました」
「さすがは、光賀じゃの、無事に買い付けてまいるとは。我が里見水軍を貸し出すのは問題無いが、毎回毎回になると我らの戦で船を出すとそなたは今までのような遠方での買い付けの商いができなくなるのではないか。商いができないと不利になるのではないかと思うぞ。
今後の商いを考えれば、そなたとの商いがそろそろ、この安房やどこぞの地に拠点を構えるのはいかがじゃ。商いの大きさに見合うだけ大きくなっていくであろう。
それとそなたもそろそろ自前の船を持つのもいかがじゃ。さすがにすぐではないが、我が水軍の船をそなたに下売りしてもよいぞ」
「ありがたきお言葉、ありがとうございまする。とはいえ、里見様のお話の通り、店を構えておらぬ身でありますので、船だけ持つのもおかしな事でございまする。
もし、店をどこかで構える事になりましたら、改めて、このお話のご相談をさせていただきたく、お願い申し上げます。三宅殿にも、そろそろ店を構えてはどうかと進められておりますので、真剣に考えたいと思いまする。
とはいえ、店を構えるにしても、店を回すための手代や丁稚など、人が必要でございますので、実家に相談してからにはなりますが」
「まぁ、よいか。そなたが店を構えるのであれば、頼みたいことがあったのだが、今日は店を構えることを考えておることが分かっただけでも十分じゃろう。この話は別の話ゆえ、また日を改めて話そうぞ。
だが、この話は真であるぞ。今の船を下売りに出しても構わぬぐらいは思うておる。船の下売りもそなたに負担が少なくなる方法を考えて下さっておったので、金子の事はそこまでに心配は要らぬと思うぞ。
それと我が水軍も新しい船を造ろうとしておるのじゃ。古い船は、商いに使うのもよいかと思うての話ではあったが、確かに店が無ければ、無用の船になるわな」
なんと、新しい船をお造りになるだと、それに古い船で商いを考えていらっしゃるのか。確か前にどの湊が商いに向くか、聞かれたがその時からもう動いていたのか。
里見様、自ら商いをされるとなると、わしも本気で店を構えてその商いの利のご相伴に預からねば、立ち行かぬことになりかねぬな。どうするか、父上と相談して考えねばならぬな。
それに、わしの負担が少なくなる方法などあるのか。いつも通り、どなたからの指示のようじゃし、本当に里見様は、どなたとお話をされて、わしに商いの話を持って来られておるのじゃ。分からぬが、ここまでのご配慮をいただいておるのだ、どこかでお会いして御礼を申し上げたいが。いつになるであろうな。
「とりあえず、話を戻して先の話の相談は分かった。我が水軍を出そう。持ってきた土が問題無ければ、追加の商いをしたいと思うておるが、そのへんは大丈夫か」
「はい、三宅殿には、問題無ければ、次回からはそれぞれ船二艘、三艘分を一季節毎に買い付け出来るように、話をしております」
「相変わらずの気の回りよう、さすが光賀じゃな」
「それでは、土が届き次第、確認して返事することにするゆえ、今後も頼むぞ」
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相談してから二月ほど経ち、無事に土、三艘分を里見様にお納めした。
「また呼び出して、すまぬの。先日、届いた土じゃが、確認をしてもらい、使うのに問題無いとのことじゃった。あの土であれば量はいくらあっても良いそうなので、もっと持ってきてほしいとのことじゃ。すまぬが、二艘、三艘分とは言わず、運べるだけ運んでほしいとのことなので、頼むぞ。それと話は別になるが、西国に売る物が今の安房にはほとんど無いが、今、売れるものを考えてもらっておる。でき次第、どこかで西国で売れるか試して欲しいのじゃが、よいかの」
「もちろんでございます。安房の産物があれば、行きと帰り両方で商いが出来まするので、願ったり叶ったりでございます」
どのように土を使うのか分からんが、量が欲しいとはな。毎回、里見様の水軍に頼むのも問題になるであろうな。ここは、店を構える事も、早めに考えねばならぬかもしれぬな。
それと安房の新たな産物を考えておられるとは、わしが安房の村々を回っておるが、そのような物を作っておる事は無いぞ。どこかでひっそりと作っておられるのか。
何が出てくるか楽しみであるな。これは父上や他の連雀には言えぬな。わしだけの伝手じゃからの。