0092. 閑話・【光賀】坊津での買い付け
定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!
里見様からの買い付けの依頼を受けて、すぐに坊津に向かうことにした。備中に向かうか悩んだが、備中に行ったことがなかったので、坊津に行くしかなかったのだ。
「三宅殿、坊津に居てよかったです。居なければ、待つか備中の方に出向こうかと思っていたところでした」
「光賀殿、左様にわしを探しておったとは、何用でしょうか。あぁ、それと御坊での引き取り、ありがとうございました。預けていたお寺をにまで寄進をされたそうで、寺も喜んでおりましたぞ」
「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。人手はまだまだ足りぬようですので、引き続き、いればよろしくお願い申します。それで今日、三宅殿を待っておったのは、新しい商いをさせていただけないかと。
先日、里見様より新たな品の買い付けを頼まれまして、それが薩摩や備中、美作あたりでの買い付けになるとのことで、ここは三宅殿にお力添えをいただけないかと思いましてな」
「ほぉ~、薩摩、備中に美作ですか。それはそれは、わしらが商いをしている地ですから、大抵の物は買い付け出来ると思いますが、里見様がわざわざ欲しいような品があるかとは思いませぬが、よろしいので」
「里見様が何をお考えになられているかは、分かりませぬが、商いの利にはなるので、あまり聞かぬことにしております。今回の商いも、わしにはよくわからぬのです」
「そうなるのですか。それで何を買い付けしたいのですかな」
「ここ、薩摩では、向島の火山灰と火山岩を買い付けたいと思っております。備中、美作では、備中新見、美作真庭あたりにある石灰岩をと考えております。いかがですかな、買い付け事は出来ましょうか」
「これはまた変わった物をご所望されましたな。この薩摩の地で火山灰と火山岩は厄介物、特に向島あたりではあれば、どこを掘り返しても出てくるので、これを商いにするなどと考えた者はおりますまい。
各村で手間賃を出せば、好きなだけ引き取れるのではないですかな。あと新見と真庭の石灰岩ですか。石灰といえば、漆喰などに使われたりしておりますが、それを岩のまま欲しいと言う事ですかね。真庭より、新見の方が盛んに取れると聞いておりますので、こちらは、買い付け出来ると思いますぞ」
「そうですか、それはよかったです。どうにか買い付けして帰れます。度々、欲しいと言われておりますので、また、前のように御坊に運んでもらうことは出来ますかな」
「まぁ、手間賃させもらえれば、御坊に持っていきますよ。どうせ、人も連れて行かねばならないですしな。それでは、船に積めるだけ積んで、運べばよろしいですかな。どのくらいが入り用ですかな」
「そうですな。今回は、最初の商いで、買い付けたもので問題無いか、里見様に確認しないといけないので、それぞれ、船一艘分でお願いします。
問題無ければ、次からは、それぞれ船二艘、三艘分になろうかと思います。各季節に一回、三月毎での買い付けでいかがですかな。琉球での買い付けや人買いは半年に一回になりましょうし」
「思うてた以上に買い付けされますな。まぁ、一月半、いや、二月後には御坊に運べると思いますぞ。その際に琉球での買い付けや人買いが出来ている分も御坊に運んでおきますぞ。まぁ、それにしても、大商いになりそうですし、もう光賀殿は、連雀と呼べませぬな。ここまで、里見様の商いをされておると」
「三宅殿、わしはまだまだ連雀であると思うておりますぞ。安房に店を構えておるわけでもありませぬしな。将来はどこかの湊で、店を構えて商いをしたいとは思うておりますが」
「それなら、もう決まっておるのではありませぬか。ここまで里見様と懇意にされておるのですから、安房館山で店を構えるのが、よいと思いますがな。まぁ、この話は先の話、また店を構えたら教えてくださいな。よしなに商いをさせてもらいますゆえ」