0091. 閑話・【光賀】商いは難しい!土集めって、なんじゃこらぁ
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甲斐での人買いから始まり、琉球での動物買いと見知らぬ植物の押し売りと里見様との商いは、今まで取り扱ったことのないモノの商いばかりで、なかなかに難儀をしたが、おかげで新たな人脈ができたり、商いの種ができたりと、この先を見据えると利の大きな商いになっっている。
この利の大きさに里見様に足を向けて寝られない事になっているので、何かまた商いを頼まれれば断ることはし辛いな。
とはいえ、近場の安房での商いではなかったので、いささか旅の疲れが溜まっておる気がする。里見様には、申し訳ないが、稲村近辺で少しゆったりと商いをすることにしよう。
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久しぶりに安房近隣で商いをし、稲村に戻ってくると、里見様からの呼び出しの先触れが来ていて、また商いの話があると言われた。
これは、また難儀なことになりそうな気がする。人に動物に植物と商いをしてきたが、次は何を求められることやら。わしにはすぐに仕入れられるようなモノなど無いが、まずは明日、館にお伺いしてお聞きするしかないか。
次はどこまで買い付けに行かねばならぬのか、断れぬゆえ、ため息が出て、気が重いわ。
「光賀仁右衛門、罷り越しました。本日も商いのお話とのこと、誠にありがとうございまする。今回も里見様のご期待に添えるように精進致しまする」
いつも通りの刻限に館にお伺いすると、広間の部屋に通された。最近の商いの話は、御方様も同席されておるが、御方様に関わりのある方からのご指示なのであろうか。
「仁右衛門よ。いつも、無理難題を頼み申し訳ないの。今回もそちにしか出来そうに無いことゆえ、よろしく頼むぞ」
「過分なご期待。失敗をせぬよう、動きまする」
「さて、今回、頼みたい商いはの土集めじゃ。この坂東にはない土が入り用になってな。定期的に土を集めて、安房に運んで欲しいのじゃと。
そなたは、琉球に行く際に薩摩に寄り、向こうの商家とも顔なじみになったであろう。さらに、備中の商家とも顔なじみになったも聞いておる。今回の土は西国の備中や薩摩などで採れるらしいぞ」
「はぁ、左様でございます。備中の商人は三宅殿と申し、薩摩坊津で商家を紹介していただきました。今回の商いは、薩摩や備中などでの商いになるのですか。またどの程度の量を買い付けてくればよろしいでしょうか」
「そう聞いておる。今回の商いで買い付けるものは、この文に書き記してあるゆえ、読んで買い付けに行けるか、確認して欲しい。
今回の買い付ける量は、そうよな。それぞれ、一艘分程度で頼むぞ。使えるのがわかったら、量を増やすかもしれぬが、次回以降の商いは他の商いのすき間で構わぬと思うぞ」
今回の商いも里見様に依頼された方からか、ただ、今までにないな、文に買い付けたい品について書いてあるということは。かなり変わった土をご所望ということではないのか。
どこでそのような話を聞いて来てるのか、里見様に聞きたくはなるが、下手にヤブを突くと大変なことになるので、ここはもう少し様子見をするしかあるまい。
読んでみると、半分以上、分からなかったが、土のある場所が書いてあるので、この間の牛と豚の買い付けと同じ様に向こうに行けば、どうにかなるであろうな。
まずは、薩摩の向島に行くとするか。火山灰、火山岩、石灰岩か、石灰岩はよう分からぬが、火山灰など何使うのか、里見様に依頼された方も不思議よの。
石灰岩は備中新見、美作真庭など、聞いたことが無い地にあるらしいから、これは備中に赴いて三宅殿にお願いするしかないかの。
岩や土など、いくらするのかさえ、わからぬゆえ、損せぬようにせな。土や灰など、どこにでもあると思うが、違いがあるんじゃろうか。わしには、何も分からぬが、死んだり、腐ったり、枯れたり、割れたりせぬ分、扱いは楽じゃの。
それに定期的に欲しいとなれば、わしの利にもなるし、どうせ、琉球での買い付けや三宅殿からの人買いもあるのだ。船のすき間にでも積めておけばよいと里見様もおっしゃられていたのじゃ、そこまでの損はせぬかもな。