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0090. 閑話・【氏兼】金銭トレード成立!職人衆確保完了

定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!

「初めてお目にかかります安房里見家が家臣、堀内兵部少輔氏兼と申します。本日は、京の鞍馬寺よりの手紙を持参してまいりました」

 鞍馬寺の副貫主に手紙を書いてもらい、まずは興福寺へとやって来た。沙門殿達は、京の都で人集めをしてもらっておる。

 同じ宗派の寺ではないから、下手にわかると何をされるかわからぬゆえ、興福寺にはわしのみが来たのだがあまり歓迎はされておらぬな。視線が厳しいわ。


「ほう、あそこの寺はまだあったのか。我らとは宗派が違うゆえ、何用で参ったのか、気になっておったところじゃ。まずは文を読ませてもらおう」

 文を読み終わると、何やら目を閉じて考えておられるようだな。あまり鞍馬寺側に迷惑が掛からぬように、穏やかな文にしてもらったが、何を悩んでおられるのか。

 宗派が違うとはいえ、同じ仏教、そこまでいがみ合うことは無かろうと思って、儂らには伝手が無いので無理を言って、この手紙を書いてもらったのだが、悪手であったかの。


「文に書かれていることを確認させてもらいたい。里見家では、鞍馬寺の寺領より人を安房に移住させておると書かれておるが、安房にある鞍馬寺の末寺にでも連れて行っておるのかな」

 素直に姫御子様を守るために社を建てておるとは言えぬな。ここは少し別の言い方をさせてもらおう。


「いえ、安房にもいくつもの寺、寺領はありますが、安房に鞍馬寺に連なる末寺はありませぬ。今後、末寺を建てるやもしれませぬが、まだこれからの事。寺領を用意する前に、建立と民がおりませぬと、生活が出来ませぬゆえ」


「なるほど、確かにの。その通りじゃな。して、この興福寺の寺領でも、人集めをして、安房に移住させたいとのことか。なにゆえ、鞍馬寺の寺領だけですまぬ」


「鞍馬寺の寺領では、荒れ果てた村、一つの民を譲り受けましたが、鋳物師の方など職人衆があまりおりませなんだ。

 職人衆などをこれ以上譲り受けると、鞍馬寺の寺領が立ち行かぬかもしれませぬので、別のお寺をご紹介していただきました」


「そうか、なぜに鞍馬寺がこの興福寺を紹介したのか、分からぬが、この大和の地で、土民の蜂起があったことは周知じゃからの。それで荒れていると思われたか。まぁ、よいか」


「この興福寺の寺領も噂に聞いての通り、多少、荒れ果てたところがあるが、鞍馬寺のように生活の復興できぬほど荒れてはおらぬ。ゆえに、村ごと移住を認める訳にはまいらぬな。

 とはいえ、せっかく鞍馬寺からの手紙を携えて来訪してもらい、また、少なからずの寄進もしてもらったのじゃから、各村で多少の人集めは認めることしよう」

 とりあえず、多少なりとも人集めを認めてもらい、助かったわ。優先して職人衆を探す事にするが、ここは興福寺の寺領であることを考え、宮大工など寺に関わる職人衆を連れて帰らねばな。


「ありがとうございまする。我らも興福寺の妨げになるような事をする気は毛頭もございませぬゆえ、いくつかの村でお声掛けをさせていただければ、十分でございまする」


「まぁ、今後、当寺(興福寺)に連なる末寺が安房でできるやも知れぬゆえ、しっかりと生活できる者を出すように村の顔役に取り計らおう」

 

 その後、御寺からの話があったおかげで、職人の親方衆は無理だったが、若い弟子を何人かと、いくつか家族が移住をしてくれることになり、この大和では40数名もの人を集めることができた。あとは、沙門殿が京の都などでどれほどの人を集めておるかだが、まずは上々の人集めになったのではないかと思うた。



ーーーー

「沙門殿、京の都での人集めはいかがであったか。無事に集めることが出来たかの」


「氏兼殿、無事に集めることが出来たが、京の都も右京の方は酷い有り様じゃった。我らも安房に行く前はかなり生活は苦しかったが、京の都で儂らと変わらぬような生活をしておったわ。

 おかげで話は早かったがの。番匠、石工衆、瓦師、鋳物師は家族ごと連れて行けるぞ。親族も含めて連れて行って欲しいとの事での、約50人ほどになりそうじゃが。氏兼殿の方はどうじゃった」


「こちらは、興福寺に話を通して、宮大工の弟子や寺領に住んでいる家族など40数人ぐらいかの。とりあえず、人は少ないが、職人衆は集められたので、良かろう。また足りぬとなったら、相談しにくるしかあるまい」


 その後、鞍馬衆の移住のときと同様に里見水軍を使い、安房にみんなを連れて行った。鞍馬衆より人数も乳飲み子や年寄りも少なかったので、二月かからず移住は完了した。また、鞍馬衆と興福寺には、おりを見て寄進せねばならぬな。これからも頼むこともあろうしな。

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