0088. 閑話・【光賀】おつかいついでに珍品購入
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三宅殿に紹介してもらった店は、湊から歩いてすぐのところにあった。とりあえず、三宅殿が商いをしている店なので、相手を怒らせたり、面目を潰さぬようにしないとな。
店先で、三宅殿の紹介で来たことを伝え、商いの話がしたいとお願いして中に通してもらった。
「初めまして、わたくし、尾張は津島で商いをしております光賀の一門の光賀仁右衛門と申す。本日は、三宅殿に紹介してもらい、参りました」
「これはご丁寧な挨拶、ありがとうございます。わたくし、当店の手代しております王賛と言います。今日はどのようなご用事でお越しでしょうか」
普通に喋っていたので、日ノ本の者かと思ったが、明の者であったか。流暢に話すな。
「明の方でしたか。日ノ本の言葉を喋られるので、てっきり、日ノ本の方かと思いましたぞ。本日、三宅殿に紹介していただいたのは、欲しい品があるかでしてな。もし、ご存知か、取り扱いができればと思いまして」
「明を離れて、だいぶ経ちますし、日ノ本の方との商いが多いので、商いに不便がない程度には。それとある程度の品であれば、取り揃えてますし、時間がかかりますが、南から仕入れることもできますよ。何を探しているのでしょうか」
「探している品は、動物で一つはこちらで『ウヮー』と呼ばれてるらしい豚なる動物です。もう一つは、白い牛を探しております。何かご存知でしょうか」
「『ウヮー』ですか。それなら、この辺にいますよ。買い付けることもできますが、何頭ほど必要ですか」
「育てたいことらしいので、まずは今回、雄と雌を数頭づつ買いたいと思っております。また、1回限りではなく、何度か買い付けに来たいと思うております」
「そうですか。それぐらいなら、仕入れてお売りすることはできますよ。いつ、出港予定ですか」
「三宅殿からは、10日後に出港すると聞いています」
「それなら、大丈夫ですね。準備できたら、船に連れていきますので、よろしくですかな」
「それでお願いします」
「それと白い牛ですが、ここオキナハにはいないですね。私が知っている限りでは、お探しの白い牛は、昔、天竺と呼ばれていたところに住む動物かと思います。
ここからだと、行って戻ってくるだけで、三月はかかろうかと、私達が南に仕入れに行った際に、その時に手配することはできるかと思いますが、いかがですかな」
「それでお願いします。こちらも雄と雌を数頭づつでお願いしたいです」
「わかりました。余裕をみて、半年ほどあれば、連れて帰ってこれるかと思いますが、大丈夫ですか」
「半年程度ならば、大丈夫です。豚を依頼主に届けたり、していれば、時間が経つと思いますので、改めて、買い付けに来ます」
とりあえず、これで豚と白い牛の買い付けはどうにかなったな。あとは、面白い品、見たことない品でも買って帰るか。
「これで目的の品の買い付けは、大事ないと思うのですが、このオキナハの地の名物となるものは有りますか。植物や作物があると依頼主が買ってくれるかと思っているのですが」
「そうですな。この地の特産となるとキビが少しづつ出始めておりますな。砂糖を作る元になりますが、この地のように暖かく無いと育たぬようです。あと、この他にカボチャ・スイカ・トウモロコシ・ジャガイモ等は、南蛮からの買い付けてきたものになりますが、ありますね。一通り、買って帰られるのはいかがですかな」
「そうですな。今の品の名前を聞いたところで、わからぬゆえ、依頼主に届けてみることにします。それぞれ、20個ほどもらえませぬかな。商いの品になれば、良いかと思っています」
さて、買うと言うてみたが、里見様に興味を持ってもらえるだろうか。とりあえず、珍しきものとして、強気でお勧めするしかあるまい。とりあえず、豚と牛は確保できそうなので、商いとしては十分じゃろう。