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0073. 閑話・【鞍馬】鎌倉からの宿願と共に今を生きる

定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!

ーーーー鞍馬衆ーーーー

 我ら一族の中から判官九郎義経様に付いていった者たちが鎌倉殿と相対し、その後、義経様のご指示で本貫地であるこの地に戻り、それから早幾世。

 目立つことなく刃を研ぎ続けた我らだが、時はすでに鎌倉殿から室町殿に移り変わっている。

 だがしかし、我らは世に出ることもできず、今もこの地に住もうておる。これからさらに世が荒れていくのであろうか。

 今の室町殿の風聞を聞く限り、世が良くなっていくとは思えぬしな。ただ、我らがその中に身を置くことが叶うことは無いのではなかろうか。


 村の様子を見ながら、義経様から続く我らの宿願を如何様にしていくか考えておったら、外から来る人の動きを見ていた村の若者がこちらに向かってくる。  


「お頭、何者かがこちらにやってきます。鞍馬寺副貫主(かんす)も同道して、何やら急ぎのようです。どうしましょか。村の入口で留めますか」

 鞍馬寺の副貫主ほどの者が自ら来ているとは、何やら怪しげだな。本来であれば、村の入口で留めおきたいが、副貫主をそのような扱いしたら、今後、どのような事になるか分からぬな。

 しょうがないが、儂のところに来てもらうか。


「いや、儂のところにお連れしろ。その間に儂は準備しておく。隣りの部屋や周りを固めておけ。やらねばならぬ状況になるやもしれね」

 しばらくすると、副貫主ともう一人、大柄な男性が入ってきた。


「副貫主様、お久しぶりにございまする」


「沙門殿、本日は前触れもなく、急にお伺いして申し訳ないの。ここにおる若者を早く紹介したくてな。気が急いていたのだ」


「いえいえ、謝罪には及びません。何時でもここにお越しください。ところでそちらの若者をご紹介したいとのことでしたが、どなたです」


「ご挨拶が遅れ、失礼致しました。某、安房の国の里見家家臣 堀内兵部少輔氏兼と申す。本日は、鞍馬寺貫主鑑沙様にご相談をさせていただき、皆様のもとにお伺い致しました」


「阿波というと、四国管領細川京兆家のご家臣ですかな。これは、このような場所でのお迎え、失礼致しました」


「いえ、某は四国阿波ではなく、坂東の安房の里見家になります。細川京兆家とは関係ございませぬ」


「そうでしたか、勘違い、失礼しました。それで坂東の里見家の方が、我らにご用事とは何事ですか」


「御坊、すみませぬが、少しのときで良いので、席を外してもらえぬか」

 堀内殿が御坊に席を外してもらいたいということで、申し訳ないが席を外してもらい、話を聞くことにする。


「さて、御坊に席を外していただきましたので、お話をお伺いしてもよろしいかな」


「それでは、お話させていただきます。我ら里見家は、鞍馬衆に我らのところに来ていただきたいと考えております。こちらに我が主からの手紙になりますので、まずはご確認を」

 手紙を受け取り、中身を読んでみる。我らに護衛と敵方の様子を探ることを望みか。よう我らのことを知ったな。


「ほぅ、我らが透破のようなことをしているとよう知りましたな。それでどの程度の人数が必要でしょうか。

 人数により金が変わりますゆえ、まずは人数をお聞きしますか、それとも、金の方をお聞きしたほうがよろしいかな」


「某の説明が足らず、失礼しました。我らは鞍馬衆一族郎党すべてに来ていただきたいと考えております。

 また、金雇いではなく、当家に仕官をしていただきたいと考えております。住む場所を含め、こちらで全て準備致しますので、ある方をずっと守っていただきたいのです」


「我ら一族郎党ですと、我らは赤子から老齢のものまでおり、100人はゆうに超えますが、何をお考えで」


「我らの想いは先にお伝えした通り、ある方をお守りいただきたいだけです。今、そのお方の住まいとなる建屋と門前町を建てております。

 皆様には、そこに移り住んで護衛任務をしていただきたいのです。我らが土地は温暖な土地ゆえ、食は豊かでございます。ぜひ、お考えいただきたい」


「急なことを申される。我ら一族郎党の移動など無理ではないですかな。まずは、数名程度でいかがですか」


「いえ、それでは困るのです。その方についての話がどこでどう漏れるか、分からぬゆえに、我ら里見家は全力でお守りすることにしたのです。

 そのために鞍馬衆の皆様には、一族郎党で安房の国に来ていいただき、ご助力をしてもらいたいのです」

 強き目をしておる、自分の信念があり、そのためなら、身命を賭す意気込みを感じられるな。我ら一族と九郎様との約定もそうであったな。

 皆、身命を賭して一緒に陸奥国に行き、共に倒れる覚悟であったが、九郎義経様のたっての願いに泣く泣くこの地に戻ってきたと聞いておる。

 鎌倉殿も終わったのだ、新たな約定に生きるのも、また、九郎様との約定を守る事になるやもしれぬな。とはいえ、儂一人で軽々に決めることはできぬ。


「そこまでの強き目、感服しました。ただ、儂も一族を預かる身、この場ですぐに決めることは出来ぬ。一族の主だった者で少し話をするゆえ、しばらくここに逗留されてはいかがですか」


「お気遣いありがとうございます。しばらく、ここにてお待ちさせていただきたく、よろしくお願い致します」


 さて、安房の里見家とはな、急なことでこれは厄介な事になったわ。いかようにすべきか、まずは寺の様子を確認するか。

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