0072. 閑話・【氏兼】西へ東へ!採用活動
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翌日、本当に牢から出されて、改めて広間にて、殿より今後のことについて、話をされた。
「氏兼よ。しかと反省をしたか。それに宮司の任、甘優しいものでは無いぞ。一度、なったからには替えは効かぬゆえ、努努、気を抜くことは許さぬぞ」
「はっ、御方様よりお話聞かせていただき、今回の事の重大さ、宮司の役割の重さを理解致しました。確と役割が全うできるように粉骨砕身、身命を賭して頑張りまする」
「そうか、その心持ち、ありがたいことだ。まず、表向きの宮司の役割だが、儂らと文のやり取りと社、門前町の統括になる。裏としては琴の護衛衆の取りまとめと御神託の実現に向けての動きをすることじゃ。
あるかどうか分からぬ事ではあるが、姫御子様になった琴にも御神託を授かる機会もあろう、そのときにその御神託を儂らに報告し、実現するよう動くのじゃ。
社と門前町ができるまでは、当面の表向きは、琴の傅役として付けたことにする。今後、琴が喋れるようになったら、としっかりと話をし、たきとそなたでしっかりと守ってやってほしい。
それと社や門前町を守るための社の禰宜と権禰宜だが、そなたやたきのように信頼できる者をつけねばならぬと考えておる。
神域を守るためにも、外からの透破、乱波に注意する必要があると思っておる。そこで、金雇いではなく、家臣として神域の土地管理を任せる一族で移住してもらえる透破、乱波を探し出して、裏切らぬようにするのがよいかと真里と考えたが、いかがじゃ」
「殿のお考え、理解しましたが、透破、乱波に忠誠を求めるのは、難しいのではございませぬか。名の知られている伊賀、甲賀、風魔等は、一族での移住は、難しいでしょう。そのところは、いかがお考えになられたので」
「儂らもその通りじゃと思うとる。ゆえに透破、乱波の中でも無名に近い者やより不遇な一族を招くがよいと思うておる。儂らの中での当てとして、鞍馬衆や飯母呂一族がよいと」
「鞍馬衆と飯母呂一族でございますか?不勉強で申し訳ございませぬ、寡聞にその名を知りませぬ。いかなる一族でございましょうか」
「皆に知られていては、先ほどの条件に当てはまらぬゆえ、そなたが知らぬのも当然じゃ。
鞍馬衆は、九郎義経様の師匠と言われている鞍馬天狗の一族と言われている。飯母呂一族は、将門公の叛乱に加担した一族で、風魔衆もその一族の出だと言われている」
「なるほど、その二つの一族であれば、朝廷や公方様を含め、積極的に利用しようとする者は居ないでしょう。一族で住める場所を用意すれば、来るかもしれませぬな、いや、必ず説得して、連れてまいります。ただ、飯母呂一族はよろしいのですか。風魔衆とのつながりがあるのではないですか」
「その言に期待して待っておるぞ。それとそなたの懸念もその通りじゃが、風魔衆は飯母呂一族から離れて伊豆に移り住んだと聞いておる。
飯母呂一族の今の境遇に耐えられなかった者達や不満を抱えた者達が今の風魔衆であろう。ゆえに、彼らの間でそこまでのやり取りがあるとは思えぬと考えておる。
さすれば、儂が知っている事はすべて伝えよう。鞍馬衆は、京の鞍馬寺が本貫地である。まずは鞍馬寺やその周辺で事情を確認するが良い。
飯母呂一族は、一部風魔として、伊豆に移り住んでおるが、まだ残りが筑波山近辺にいるはずじゃ、こちらも周辺で確認するが良い」
「ありがとうございます。そこまでわかっていますば、あとは足で稼ぐことは、容易でございましょう。早速、出立の準備をして、行ってまいります」
「まずは、京の鞍馬衆から探すがよい。筑波山は、近い地ゆえ、噂が流れると手間な事になろう。鞍馬衆を使い、手の者が多いほうがよかろう」
「はっ、まさにその通りでございます。まずは、鞍馬衆を配下に加えられるように動きまする」
その後、鞍馬衆、飯母呂一族を見つけ出し、どうにか一族での移住を取り付けることができた。まずは、一つ、仕事が出来てよかったわ。