表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/324

0071. 閑話・【氏兼】御神託と宮司就任

定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!

 先日、御方様にお子が誕生された。男子ではなかったと殿はおっしゃっていたが、今まで姫様はいなかったので、非常に喜ばれた顔をされていたのが印象深かった。

 それに殿の二郎太郎様には、弟や妹がいなかったので、妹ができてよかったと思っておる。この慶事にあやかって

二郎太郎様の兄の喜六様のお体が良くなってもらいたいものだ。

 

ーーーー

 何やら外が騒がしい、急ぎで殿からの使者が来ているようだ。ドタバタと忙しなく歩く音がする。

「兵部少輔殿、先触れもなくの訪問になってしまい、失礼しました。殿より至急、登城してほしいとのご指示でございまする」


「あい、仕った。至急支度して登城致しまするゆえ、先にご報告をよろしくお頼み申す」

 このような急なご指示は今までに無い。何やら不穏な気もするが、とりあえず、行って話をお伺いするしかないか。


 支度をして登城してみると、館は特に何もいつも変わらぬ様子、何か事が起こっているわけでは無いようで、少し安心する、ただ何も起こっていないのに急な呼び出し、内密な相談か。

 広間に向かうと殿と御方様がおられた、御方様がおられるのに、少々驚いたが、すぐに部屋を出て行かれた。

「殿、氏兼、ご指示により、ただいま、罷り越しました。火急な話があると聞き申したが、何が起こり申した」


「氏兼、急くな。他にも話す相手がおるゆえ、真里が呼びに行っておる。来るまで、白湯でも飲んで待っておれ。誰ぞ、氏兼に白湯を持ってまいれ」

 急いで来たので、すぐに話を聞こうとしたら、他にも話す相手がいるとは。御方様が呼びに行かれたということは、二郎太郎様か。

 急ぎ来たので、少し喉も渇いているので、ありがたく白湯を飲んで待つとする。待っている間は雑談をしていた。

 しばらくすると、御方様が二郎太郎様(若様)と侍女のたきを連れて戻ってきた。


 その後の殿の話は、儂の理解を超えておった。気づいたら、若様共々、座敷牢に入れられておったわ。数日間、座敷牢に居て、今までの殿と御方様の話を思い返し、今後の身の振り方を考えてみる。

 話の発端は、間違いなく御神託を受けた事であろう。御二人の様子、あそこまで言うということは、御神託を授かったのは本当であろうな。

 あのときは、言葉の意味の大きさに驚き、何も考えられなかったのだが。では、なぜ御神託がこの時期にあったのであろう。特に御祈祷や御祈りはしておらぬはず。

 さらにご出産の前日と言っておられた。ということは、お子様に関しての御神託であろうな。

 すぐに社を建立するという判断を殿がされたのであれば、高位の神様の御神託であると理解できることがあったのであろう。

 これはまずい、話が上杉方の奴らに漏れ伝わったら、必ず攻めて来て、御神託を確認するであろう。まさに里見家の存亡に関わること、漏れぬように口をふさぐという殿の判断もどおり。

 儂の処遇がどうなるか分からぬが、死罪と言うなら、仕方なしじゃな。儂の口から漏らすわけにいかぬ。

 

 

ーーーー

 さらに数日、外が騒がしい。ついに沙汰が伝えられるのか。今さら切腹以外の選択肢があるとは思えぬ。今日までの命であったか、今後の里見家のため、祖霊となり見守っていくこととしようぞ。

 部屋に入ってこられたのはこともあろうか、御方様であった。まさかこのような場所に来られるとは、最期の御相手が御方様とは、なんと言えばよいのか、言葉が出ぬ。


「氏兼殿、そんな神妙な顔をせずとも、大丈夫よ。今日は少し話せることを話をして、明日にでも牢から出てもらい、殿の指示で動いてもらうことになるでしょう。

 先ほど二郎太郎とも会って話をしておいたので、二郎太郎も明日か近いうちに牢を出られるでしょう」

 言っている意味が入って来ぬ、儂を助けるだと、何をすればよいのじゃ。さらに若様も無事に出していただけるとは。

 出たあとは殿の指示は、確実に遂行せねばな、この温情に報いなくては、里見家のためにも。


「今日は、すべてを話すことはできないけど、納得して宮司に就いてもらうために御神託を一つだけ話をすることを殿に許してもらいました。

 これは、二郎太郎にも話をしてあることではありますが、他言は無用よ。まず、揺るぎない事として、本当に御神託はあったのよ。妾が御稲荷様にお会いしての。

 それで御神託を一つ言うと、我が娘の琴は姫御子様であると。殿も妾もそれを信じているわ、今回の話は姫御子様のための社であり、姫御子様を守るための宮司であり、出仕なのよ。納得できたかしら」

 なるほど、琴様が御使い様であり、姫御子様であったのか、こうもハッキリと仰るのであれば、本当にお会いされたのであろうな。

 これは、上杉方に知られぬように守らればならぬし、殿や御方様と連絡を取り合う必要もあろう。しっかりと信頼できる者でなくば出来ぬ事か。

 お二人はその役割を自分に任せようとされていたのか、心を入れ替えやるしかないな。


「御方様、お話、ありがとうございまする。事の重大さ理解致しました。この氏兼、先ほどの話をしっかりと心に刻み、心を入れ替えて、殿と御方様のご期待に添えるよう宮司の任に付かせていただきまする」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ