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0070. 閑話・【二郎太郎】座敷牢で反省会

定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!

 オレが座敷牢に入れられて数日、扱いは悪くない。外には出れぬが、今までの部屋にいるときと同じ様には、過ごせてはいる。今後、いつまでこの座敷牢にいられるか分からぬが。

 外の風も、木々や土の匂いももう感じることは出来ぬであろうな。本当の最期に父上と母上に会って声を聞き、今の気持ちを伝えたいとは思うが、それも叶わぬ夢であろうな。押し込めた相手に会いに来るなど。

 そう思いつつ、どこで間違えてしまったのだろうと考えていると、不意に外にいた警備の小姓が声をかけてきた。


「御方様がお越しになられております。今、お通し致します」

 何だと、母上がここに来ただと、最期にオレの顔を見に来てくれたのか。ありがたいことだ。まだ、オレのことを息子だと、子供だと思ってくれているのだろうか。

 母上に弱音を吐かず、まだ元服はしていないが、立派な武士として、父上の名に恥じぬように話ができるか。


「二郎太郎。大丈夫ですか。きちんと反省できておりますか。今日は話があり来ました。殿にも話をしていることゆえ、気にせず、聞きなさい」


「母上、本日はわざわざご足労いただき、ありがとうございます。最期に母上に会え、声が聞けて、二郎太郎、嬉しゅうございます」

 声が震える。目に涙が溜まり、目の前がかすむ。これが最後の会話になると思うと、思い尽くせぬ母上との思い出が頭の中を駆け巡る。


「何か誤解をしているようですが、そなたと氏兼は、反省を促すために、この座敷牢に閉じ込めているのであって、死罪を申し付けるためではありませんよ。今もそうですが、ここに連れて行くように言ったときにも伝えたではありませんか。妾の話をきちんと聞いておるのですか」

 本当に切腹もなく、押し込めでも無いのか。では、なぜ、氏兼とおれを社の神職にするのだ。何の神様を御神体とするのだ。おれでは理解できぬ。


「今日は、すべてを話すことはできないけど、納得して出仕になれるように御神託を一つだけ話をすることを殿に許してもらいました。

 このことについては、他言無用よ。まず、揺るぎない事として、本当に御神託はあったのよ。妾が御稲荷様にお会いしての。

 それで御神託を一つ言うと、そなたの妹の琴は姫御子様であると。殿も妾もそれを信じているわ、今回の話は姫御子様のための社であり、姫御子様を守るための宮司であり、出仕なのよ。理解して納得できた?」

 なんと、我が妹は、御稲荷様の姫御子様であると。母上がここまで断言すると言うことは、本当に何かあったのであろうな。聡明な母上であるから。

 親族衆で有能な氏兼や一門のおれを御家のために戦に使わぬ損をして、なお、琴、姫御子様のために動くことが御家のためと判断されるほどとは。何があったか、分からぬが、ここまでの判断、如何様にしても覆ることはないな。

 父上も先日、そう言っておったわ。あのときは、何も考えておれなんだ。心を入れ替えて尽くす、一族を守る、それも武士の役割であったな。


「母上、そのような重要な事、お話していただいてありがとうございまする。また、先日は大変申し訳ございませぬ。この二郎太郎、今のお話を心にしっかりと刻み、姫御子様をお守り致しますることをお誓い申す」


「そう、納得してよかったわ。殿に話をしておくわ。殿も確認したいとおっしゃってたので、近いうちに来ると思うわ。それまで、反省しながら、我慢してなさい」

 母上と話をした翌日、父上もわざわざやってきて、母上と同じ話をしてくれ、おれの存念を確認すると、座敷牢から出してくれた。

 これからは、姫御子様の出仕の一人として、頑張らねば。元服して初陣を飾ることは叶わぬ事になってしまったがな。

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