0063. 閑話・【八百幻:カーター】臨時のパーティー作り
定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!
オレはカーター。八百幻で、戦士として『勇なる者』というパーティーのリーダーをしている。というかさせられている。他のメンバー全員が無口、人見知りで他の人と話をしようともしないので、相手と話ができるオレがリーダーをせざるおえないのだ。
では、なぜオレがコイツラとパーティーを組んでいるかというと、高校のクラスメートで同じ電脳部というVRMMOをする同好会の仲間だからだ。ほんとは、他の仲間とやる予定だったのだが、そいつらがテストでいくつも赤点と取ったため、補習とペナルティで2ヶ月くらいこの八百幻をやる事を禁止されてしまったのだ。赤点取らないぐらいの勉強はしてほしいよ。
2ヶ月も待っていたら、前線攻略組とだいぶ離されてしまうので、仕方なくオレだけでも、キャラ育成をすることにしたのだが、よりによって余っていたのが、コイツラだけだったとは、はぁ~、なんてことをだよ。コイツラも4人組だったが、俺らと同じ様に赤点で一人が一緒に出来なくなっていたらしい。なので、顧問から一次的に余っていた4人でパーティーを組まされたのだ。
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昨日の夜のゲーム開始時点でキャラ作りを終えているので、ささっと最初の町の近くに転移してあの3人組を待っていると、急に後ろから突っつかれたので、驚いて振り向くと3人組が立っていたが、誰も俺と目線を合わせようとしない。大丈夫なのか、コイツラはクラスメートの俺にすら話しかけられず、どうやってこのゲームをやるのか不安になるが、このままでは何も話が進まないので、自己紹介だけしておく。
「カーターだ。一応、戦士をするつもりなので頼む。お前達は何になるつもりなんだ」
「………ド……ドレ…ドレドレ……ドレッ…………ドレッド。大剣……大剣使い」
「…バーニ、…盾士」(か細い小声。音量レベル1)
「……………………………………………………………ジル。……………………………………剣士」
クラスの中に居てもしゃべらないが、こっちに来ても喋らんとは、人見知りでここまで来るのか。ドレッドはどもっていて、バーニは静かならやっと聞き取れるくらいの声の大きさで、ジルは、一言しか喋らないと。同じクラスになって1年以上経つがこの様子は初めて見たぞ。オレはコイツラとやっていけるのか。
「なんだ。全員前衛職をやりたいのか。てっきり、普段聞いてるお前らの言動なら、魔法職などの後衛職を選ぶのかと思っていたが、違うんだな」
「「「………………………………………………………………」」」
おぉ〜〜い、誰も返事してくれねぇのかよ。オレ、ここで会って数分だけど、もう心が折れそうだ(泣)。コイツラといつもいるもう一人の奴とは、何回かだけだが話したことがあるが、普通に会話が成り立つぐらいしゃべっていたぞ。よく耐えられるな。どんな話をしているかわからんが、まさか、そいつに全ての会話を任せているんじゃ。
「あのなぁ~、誰かは答えてくれよ、これから2ヶ月は一緒に八百幻で冒険するんだからさ。これじゃぁ、会話で時間が取られて、ゲームを楽しめないぞ」
「………ごっ……ごっ…ごめ……ごめん…………ごめんな……ごめんなさい」
「………ごめんなさい」(音量1よりはさらに小さく)
「………………………………………………………………………………ごめんなさい」
さっきと喋り方は変わらないが、まぁ、謝れるだけマシか。それにしてもどうするかな、明日にでも、残りの一人の奴話を聞いて、会話がもっと早くできるようにしないと。
「まぁ、良いよ。どっかでさっきの質問に答えてくれよな。まずは町に入って冒険者ギルドに登録しないとな、さっさと行こうぜ。町の城門のところはさすがに誰も並んでないから、さっと入れそうだし」
ーー30分後
「やっと、町の中に入れたな。まさか町に入るためのチェックの質問で、お前らがちゃんと答えられないとは思わなかったよ。まぁ、入れたからいいけど、冒険者ギルドでは登録するんだから、もう少ししゃべってくれよな。頼むから」
つっ、疲れたぁ。コイツラは、町に入るための質問に最初に会ったときと同じように答えるのに時間がかかったり、どもったりしたから、怪しまれて別室送りになってしまった。オレがフォローすればするほど怪しまれたので、最後にはオレも静かに聞いているだけになってしまったので、余計に時間がかかったと思う。
これじゃぁ、今日は冒険者ギルドに登録したら、同好会の活動終了時間になってしまうんじゃ。ただでさえ、昨日の夜から始まっているので、一日ほど遅れているのに。めっちゃ焦る(汗)