0034. 思い出六 下 生産職のこだわりとやらかし
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絵図を描く約束をしてから、数日、ちょっと描くのに手間取ってしまった。前世では、筆を使う機会もほとんど無かったし、この時代の紙の質が令和に比べると、当然の事ながら、高く無いから描きづらかったしね。何度となく描き損じてしまって、もったいないことをしてしまったので、若干、たきの目が冷たくなったような...。
まぁ、今回のことで筆にも、紙にも慣れたと思うので、次からはほとんど失敗しないだろうから、前向きに思うことにしようっと。
さてと、父上、母上に見せて、木地師に早目に作ってもらわないとね。
「父上、母上、先日お話しておりました道具の絵図を描きましたので、本日、お持ちしました。見ていただけるでしょうか」
私の横に置いておいた紙を父上の前に出して、見てもらう。
「おぉ、早く描けたのじゃな。早速、見せてもらおうか。ほぉ、これが綿弓とはんどがーたー?というモノか、思っていたのと違い、だいぶ簡単な道具じゃな。
これなら、木地師も作れるじゃろう。じゃが、横に書いてある文字?はなんじゃ?琴、これは、何と読むのじゃ?いや、読めるのか?神の言葉かの、真里は、読めるか」
やってしまったぁ〜〜(・・;)。普通にアラビア数字とセンチメートル単位で寸法を書いてしまったわぁ〜。ここは、御神託でサイズを聞いたことにしよう。ご都合主義と言われようと、御神託一択で強行突破じゃぁ!!
「殿、わらわもこの文字のようなモノは読めませぬ。神々の言葉であろうと思いまする」
「父上、母上、それらの文字は、道具の寸法を書いておりまする。南蛮の数字と単位だと仰っておりました。たぶん、南蛮にも過去に御神託をされて、その時から使われ始めているのではないかと思いまする」
「稲荷様は、この日ノ本以外の南蛮にも御神託を出されておったのじゃな。なんと素晴らしいことじゃ、その数字と単位は、儂等も使ったほうが良いのではないのか、真里はどう思うかの」
「そうですね、確かに御神託として授かった数字と単位を使わないということはないでしょう。琴、その数字と単位をわらわたちも使えるように教えてほしいぞ」
うわぁ、ちょっと話が横にそれちゃったよ。数字はすぐに教えられるけど、単位って、1センチ、1メートルの長さが明確にわからないから、どうしよう⤵
「父上、母上、数字をお教えはできると思いまするが、単位の方は、難しいかと思いまする。一尺や一寸が、何センチかわからないといけないので、木地師と話をしてちゃんとわかるようにできるか、確認出来てからにしてくださいなまし」
のぉ〜、時間は取れたけど、結局は変換できるか確認しないとかぁ。確か、一尺は約30センチだったし、一尺は、約3センチだから、もう30センチと3センチで通そうっと、他の度量衡も簡易版考えないと、大変になりそう、ハァ…
めんどくさいから、やってしまってからにしよう。長さ以外は、気づかれてないからね。
「おぉ、そうよな。数字と単位については、ちゃんと確認出来て、使えることがわかってから教えてくれるか。今日は絵図を見て、木地師が作れるかを確認する事が先じゃったな。
先ほど見た絵図であれば、十分、木地師で作れると思うぞ。木地師との話し合いは、別の日に用意をするので、琴から説明を頼むぞ」
「承知しました。父上、また日取りが決まりましたら、教えてください。それまでに木地師の方に話が出来るように準備をしておきまする」
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「父上、母上、お呼びとのこと、まいりました。先に、私からご報告があります。先日の御神託で使いました数字と長さの単位については、あのあと、たきと確認してきちんと使えることがわかりました。今後はこのやり方を基本として、何事も行いたいと思いまする」
「おぉ、そうか。それであれば、後ほど、教えてもらうとするかの。頼んじゃぞ。今日、そなたを呼んだのは、木地師を招集したのでな、話をしてもらおうと思ってな」
「承知しました。それでは、木地師に話をしておきまする」
その後、木地師に綿弓とハンドガーターのイラスト図面を見せながら、大きさも説明して、作製を依頼した。木地師に説明した後に両親に数字の書き方、意味と長さの単位ついて説明した。二人とも理解が早く、早速使うと言っていた。
木地師の方は、10日ぐらいで試作品を持ってきてくれて、使い勝手をチェックしたが、まだまだだったので、改善点をフィードバックしておいた。
結局、納得のいく出来になるのに、5回ぐらいのやり取りが発生したが、結果、満足のいく出来になった。
特にハンドガーターは、ペット用の毛づくろい櫛としても十分使えるモノになったわ。まだ、狐火ちゃんには、使えないが使えるようになったら、ガッツリ使ってヘアケアをしっかりしようっと。