0316. やっと顕現の準備完了
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昨日、ボス戦を無事にクリアし救済アイテムを2つ揃った。これで、桂華くん達を権現する事ができるだろう。
氏兼達には、顕現が出来てから事後報告すればいいかなと思ってる。
御使い様が増えるかもって言ってうまくいかなかったら、なんか恥ずかしいじゃない。ドヤったのに〜って、思われたらさ。まぁ、そんな風に思われはしないだろうけど。
「みんな、昨日はお疲れ様。今日は桂華くん達を顕現させようと思うので、4層に行こうと思うけど、4層でいいよね」
「お疲れ〜〜。やっと揃ったね。これで桂華くん達もこっちで会えるから、楽しみだよ。場所は4層でいいと思うよ。2人の属性とそれなりに相性いいしね」
「だよねぇ~。それじゃぁ、顕現を成功させよう〜〜、おぉ~」
「「「おぉ~」」」
みんなで気合いを入れたあと、4層までやってきた。氏兼達が採取している場所からかなり歩いたところで顕現を試してみる。ここまで離れていれば、氏兼達に気づかれることはないだろうと思う。
「それじゃ、顕現を始めようと思う」
狐火ちゃん達がスポーツ大会の開会式のように私の前に整列している。私はみんなの向かい合って、開会の宣言をする。
狐火ちゃん達も真剣な顔をして頷いている。
「まずは、救済アイテムを使うよ、って、どう使うのかな、これ」
救済アイテムは、大きくはないがちょっとした真珠位の大きさはある。子供の頃に舐めていた大きい飴玉くらいに確か大玉とか、ジャンボ玉とか言ってた飴。
「これは飲み込めばいいんじゃない」
「…えっ、……っえっとどういうこと???」
「んっ、いやっ、だから飲めばいいんじゃない。飲めなきゃ、舐めるのもありだと思うけど」
「えっ、これを飲むか舐めるかして、体に取り込むの?だって、顕現するための目印にするって感じのこと言ってなかったっけ?飲んだりしたら、目印にならないんじゃない」
「まぁ、目印にするのは間違いないよ。神々もそう言ってたしね。でも、ずっと持ってなきゃいけないってことは無いみたいよ。前にも言ったけど、目印にする神界の残滓がわかればいいんだから、琴ちゃんの体の中に取り込んじゃうほうが、わかりやすいんじゃないかな」
「えぇ~、そうなのぉ~。なんか信じられないんだけど。これどう見たって、食べれそうにないし」
「大丈夫だって。神々が準備したものだよ。そんな食べれないものを準備はしないでしょ」
いやっ、今までのやらかしとかを考えると、信頼などほぼ無いのよ、残念ながら。まぁ、花梨ちゃんと水蓮くんが言うなら、少しは信用するけどさぁ。
「今までのことでどうやって神々を信用しろというのか、なかなか難しいけど、みんなが言うなら、食べてみるよ。これって味がするのかな」
飴玉の色は黄色と黒色だ。たぶん、黄色が桂華くんで黒色は紫翔ちゃんの属性の色だと思うんだよね。
味はどうなんだろう。黄色はレモンとかパイナップルとかマンゴーかな。黒色は黒糖以外は思いつかない。
「じゃぁ、舐めてみるかな。不味かったら、噛み砕いて、すぐに飲み込んじゃうね。って、あぁ~、流し込むための水がないじゃない、のぉぉ~」
「たぶん大丈夫だよ。そんな不味いものを神々は用意しないと思うから」
水蓮くんに背中を擦られながら、慰められてしまった。
「よっし、じゃぁ。まずは黄色から舐めてみるよ」
息を整えて、気合いを入れて、黄色の飴玉?を口の中にいれる。
ん、んっ。何だこの味……。ん~~、ん~~、ん~~まぁ〜〜〜い。美味しいよ~。美味しい。美味しい。美味しい〜〜〜〜。
「みんな。美味しい〜〜よ。良かったよ。不味くなくて。味はフルーツなんだけど、なんか食べた事ない味なんだよね。前世でも記憶のない味だわ。この鼻に抜ける香りと口に広がる濃厚な味。ゆっくり味わって食べる。もう一つの黒飴も期待できそうね」
……
…
じっくりと2つの飴を舐めていたら、30分ぐらい経ってしまった。だって、すっごく美味しかったんだもん。それにこっちの世界に来てから、ここまで甘いものを食べたのは初めてだったし。まぁ、マンションの部屋に置いてあったお菓子とかは、ちょっとずつ食べてたけど。でも、ここまで甘くて美味しいものは無かったし。
まだまだ顕現の準備できてないのに。とりあえず、急いで顕現させちゃいましょう。
「ごめんね。久しぶりに飴を舐めていたら、美味しくって。もう舐め終わったから、桂華くん達を顕現させちゃいましょう」
さぁ~、今度こそ顕現をしましょう。