0031. 思い出五 中 御神託という名のおねだり
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父上に何を探してもらうか決めた翌日の朝、起きて早速、たきを呼ぶ。
「たき、起きたばかりだけど、父上と母上に会いに行くわ。御神託のようなモノがあったので、早めに話をしたいので」
「お琴様、わかりました。それでは、まつに先触れに行ってもらいますので、その間に支度をしましょう」
起きてから、四半刻で支度が整ったので、父上達のたきと一緒に父上達の部屋に向かう。
「父上、母上、琴でございまする。実は昨晩、御信託のようなモノを受けまして、夢の中の話でしたので、少し御神託とは、異なるかもしれませぬが、念のため、お話をさせていただきとうございまする」
部屋に入ってすぐに用件をしっかりと伝えて、緊急だよって感じを醸し出しておかねば。
「ほう、琴よ。夢枕が起こったか。それは、御神託で間違いなかろう。して、どのような御神託を授かったのじゃ」
ちょっと興奮して、前のめりになる父上を母上が言葉で押し留めている。
「お前様ったら、いくら早く聞きたいからって、そのように琴の顔に近づいたら、驚くじゃありませぬか、琴は落ち着いておるのです、お前様も落ち着いてくださいなまし」
「おぉっ、そうじゃな。ついのぉ、姫御子様と伝えて、すぐに御神託があったので、驚いての、儂の興奮はよいから、どのような御神託であったのじゃ」
「はい、父上、母上、私が聞いた話は、いくつかあるのですが、思い出せるのは、農作物や虫などの事です。最初に思い出せるのは、三河の国辺りに自生しているという綿花という植物、花の事です。
花が枯れた後に白っぽい柔らかなモノが出来る植物らしいのです。白っぽいモノを、綿と言うらしいのですが、これは衣や寝具等に使えると仰っておりました。可能であれば、その花の種子を探してきていただき、社の方で育てたいと思いまする。
次に覚えているのは、鯉の事です。田んぼに鯉を放して育てることで、鯉が田んぼの中を泳ぎまわり、泥がかき回されて稲以外の草が育ちにくくなり、稲がしっかり育つようです。
さらに田んぼの土が鯉により混ざる事で、土が豊かになって、お米が美味しくなるそうです。まずは、ある程度の大きさの鯉が必要になるので、鯉を探してきて育てたいと思いまする。
あと、鴨も多少、田んぼには、良いとの事らしいので、もし可能であれば、鴨も育てたく思いまする。
その他に思い出せる事としては、椎茸、蜂の蜜のことにございまする。椎茸を自分達で切った木で栽培できる方法をお聞きしましたが、簡単にすぐにはできるゆえ、諦めず、地道にやれと言われましたので、まずは、乾燥していない椎茸を探し出していただくところからになるかと思いまする。
また、蜂の蜜も蜂の巣を私達で作れるとのことでした。椎茸探しや椎茸を育てる木、蜂の巣を作るなどが必要になるかと思いまする。木地師の方をご紹介いただきたくよろしくお願い致します」
「その他、牛や豚と呼ばれる猪のような生き物、鶏を育てる方法もお聞きしましたが、育てるための住まいを作る必要がございまするので、住まいを社の方に作ってはいただけないでしょうか。
あわせて、先の生き物を集めていただきたく、よろしくお願い致しまする」
「いくつもの御神託を授かったようじゃな。綿の件は、光賀に任せられるとして、牛と豚とか言う生き物のこともヤツに聞いてみるかの。
椎茸、蜂の住処については、鞍馬か飯母呂の中に木地師のような事ができるのがいたはずじゃから、それに頼むとしよう。
生き物の社の方での住まいについては、番匠達に話をしてみるかの。最後に鯉、鶏、鴨は、二郎太郎と出仕達でいいじゃろ。
琴よ。そなたが授かった御神託については、全てこちらで手配できるモノは手配しようぞ。ただ、今、聞いた話だけでは、集めるだけで育てる事はできまい。
そなたには、みんなに話をして、指揮をしてもらいたいが、大丈夫であるか」
「はい、父上、承知しました。皆と協力して、しっかりと育てたり、準備を進めまする。結果や状況については、都度、ご報告にあがりまする」
「うむ、頼むぞ。手配するモノが届き次第、そなたに伝えるゆえ、しばらく待っておれ」
おぉ~、姫御子パワー、全開だね。何も疑問を聞かれずに、ポンポンと探したりする人を決めてくれたよ。この時代は、まだまだ信心深い人達が多いんだろうなぁ。まぁ、母上は、直接、御神託を授かったから、余計にかもね。
とはいえ、ひきこもりモフモフ計画への第一歩を無事に踏み出せそうだから、100点満点のできだね。 あとは、皆さんの探し出した結果を待つかね。