0270. ダンジョンに行くための準備期間
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そうそれと、マイナーバージョンアップしていた薙刀と防具だが、私の想像を少し超えた出来栄えだった。
薙刀はウーツ鋼を刃先等刃の部分を中心に使い、坂刃に鋼を重ねあわせていた。石突の部分も同じような加工をしてあって、多少重くなったが、攻撃力は上がった気がする。
残念ながら、今のレベルの鑑定眼では、武器や防具の攻撃力や防御力、耐久力などを数値化して見ることがまだできないので、なんとなくの素人感覚ではあるが。
そして、防具はなんと南蛮胴具足(南蛮甲冑)のようになった。沙門の一族の鍛冶師に鍛錬の話を聞かれて、将来的に下層に行くと、魔法系の魔物がバレット系やジャベリン系、アロー系などの高速飛弾を撃ってくると思って、そういう攻撃を避ける鍛錬をしているとだいぶ盛った話をした結果、試行錯誤してくれたらしく、南蛮胴具足と全く同じではないが、似たようなものになっていたのだ。
さらに金属部分は重層になっていて、強度もだいぶ上がっていると思う。あと全身の急所になるようなところもしっかりと保護されるようになっていて、重さは前よりもかなり重くはなっている。こればかりはしょうがない。そのうち、セルロースナノファイバーを渡してあげようかな。
でも、今の技術じゃ、私以外加工できないから、加工済みのを渡して、組み立てもらうぐらいかな。
まぁ、今みんなができる最高の強度・防御力にしてくれたのは、この間のやらかしがあって、みんなが少しでも安全に安全にと考えてくれた結果だろう。
なので、だいぶ安全係数が高い。例えるなら、八百幻の最初の街で、その街最強の武器と防具を装備して、初めての討伐クエストにチャレンジする感じと言えばいいかな。
それぐらい薙刀も防具も良い出来のものになったと感じる。
今、ダンジョンに行ってないのは、氏兼達との鍛錬が楽しいというのもあるが、薙刀と防具を装備して、しっかりと動けるように体に薙刀と防具着けての動きを馴染ませているというのもあるのだ。
まぁ、あと数日から一週間くらい氏兼達と鍛錬したら、またダンジョンに通おうと考えているけどね。
「氏兼、今日の鍛錬が終わったら、少し話があるんだけど、時間とれるかな」
「承知しました。時間なぞ、琴音様のお話が最優先でございますので、如何様にでもなりますぞ。いつも通りに昼餉のあとでよろしいでしょうか」
……
…
昼餉を食べ終わり、自室でちょっと片付けものをしてから、奥之院の広間に戻ってくると、すでに氏兼達が部屋の中で待っていた。
「おまたせしたようだね。ごめんね。それじゃ、早速、話をしていいかな」
氏兼の脇を抜け、上座に座る。部屋の角にはたきが座っているので、目配せをして、お茶を持ってきてもらおう。
「お気になさらず。して、此度は何かございましたでしょうか。鍛錬も順調にできておりますれば、何か急ぎお話するようなことも無かろうかと思いまするが」
「まぁ、そうね。氏兼達との鍛錬は、非常に順調にできているんじゃないかな。私自身も氏兼達の手ほどきを受けて、御使い様との鍛錬では得られない経験を積めていると思うよ」
「そう言って、いただきありがとうございまする。そうすると、余計に何のお話をされるのか、とんとわかりませぬ」
「そんなにとぼけなくてもいいよ。氏兼なら、もうわかっているでしょ。天堂での鍛錬のことだよ」
「やはりお気づきでしたか。見破られましたな。琴音様には通じるとは思うておりなせなんだが。やはり、天堂での鍛錬でございましたか。それでいつからお通いになられるつもりでしょうか」
「おっ、なんか話が早いじゃない。聞き分けが良すぎて、私のほうがびっくりなんだけど、どうしたの」
今までと違って、反対したり、条件つけたりしてこないぞ。何か別の手段を考えているのか、それとも本気でもう大丈夫だと思っているのか、どっちだろう。悩むな。多分、後者だろうと思うけど。
「いえ、なにもございませぬ。ここ十日ほど一緒に鍛錬をさせていただきまして、琴音様の力量がわかり申しました。そのお年、体格であそこまで動かれていることに感服いたしました。御使い様との鍛錬でしっかりと身につかれていると、昨晩、沙門殿、筑馬殿とも話をしまして、もし琴音様が天堂での鍛錬を所望されたときには、快く受け入れようと決めたのでございます」
おぉ~、3人からダンジョンに入ることのお墨付きをもらえるとは思わなかったよ。これで安心してダンジョンでレベルアップすることができそうだね。
ふと、たきの方に目を向けると、少しだけ顔をしかめている。やっぱり、不安があるんだろう。それと氏兼達から事前に今の話を聞いていなかったのかもしれないな。少しだけフォローしておくか。