0269. 初めての氏兼との鍛錬
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父上と母上との話し合いが終わって、数日、氏兼達との鍛錬もだいぶ本格化してきて、打ち込み稽古やかかり稽古を中心に時々、練習試合みたいなこともするようになった。
まぁ、練習試合って言っても、氏兼達が私に攻撃を仕掛けてくることはほとんどないので、打ち込み稽古と大差無くて、隙を見せると反撃されて斬り掛かってくる程度なんだけどね。
それはともかく、戻ってきた日に鍛冶師達にお願いをしていた薙刀や防具の整備もこの期間でだいたい終わったみたいで、今日あたり戻ってくるらしい。
氏兼からは少しだけマイナーチェンジをしていると聞いている。まぁ、どこがどう変わったのかは聞いてないというか、持ってきて試着したときに説明するって言ってたから、それまでのお楽しみにしたいんだって。
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最近のルーティンである朝ご飯食べたあとの準備運動をしていると、いつも通り氏兼達が来た。
「みんな、おはよう。いつもの鍛錬を始める前に話をしておきたいことがあるの。昨日はありがとうね、久しぶりに両親に会えてよかったわ。本当はこんな問題がおきて会うんじゃなくて、もっと立派に何かを成したときに会いたかったというのが本音だけど」
そう言って、私はみんなに頭を下げてお礼をした。
「琴音様、頭をお上げください。みな、琴音様のことを心配しておるのです。琴音様は姫御子様とはいえ、まだまだ成人をしておらぬ子供でございます。我ら大人がしっかりとお支えするのが当然でございますれば、無理をせず、我らにお申し付けくださいませ」
そうね。まだまだ幼稚園児だからね、任せられるところは任せないと体が持たないんだろうし、私が頑張っていれば、みんなももっと頑張らないと考えちゃうかもしれないな。
元ブラック企業勤めをしていた身としては、なかなか難しいことだけど、氏兼達にホワイトで働くように言っている立場でブラックで働いているように見えたら、だめだね。
はぁ~、狐火ちゃん達スローライフを楽しむはずなのに頑張りすぎかも、もっとゆったり過ごすように意識改革をしよう、自分の。
「氏兼の言う通りね。今まで私も頑張りすぎていたかもしれないわね。今回のようなことがないように注意するわ。それじゃ、今日の鍛錬を始めますかね」
……
…
「ふぅ~、疲れたわぁ〜、氏兼はもう少し手を抜いてくれてもいいんじゃない。鍛錬を始める前に無理をせずって言ってたのに、鍛錬を始めると手を抜かず、しっかりと反撃したり、防御したりして全く手を抜いてないから、すっごい疲れちゃったじゃない」
「何をおっしゃいますか。鍛錬で手を抜いてたら、何かあった際に動けず、使い物になりませぬぞ。某が無理せずといったのは、いろいろと姫御子様としてのことを、村のことや天堂でのことなど、多様にやられていることに対してでございますれば、本日の鍛錬のことではございませぬ」
「いやっ、そんなことは氏兼、わかっているよ。わかったうえで、疲れたから、愚痴りたくて氏兼の話を出しただけだよ。はぁ~、本当に氏兼は、戦闘の鍛錬になると脳筋なんだから」
「……脳筋?…脳筋とはなんのことでございましょうか」
「あぁ~、脳筋はね。こういう体を動かすことが大好きで、戦闘とかの鍛錬で愚直に頑張りすぎる人のことらしいよ。御使い様に聞いた言葉だから、みんなは初めて聞く言葉かもしれないけど。氏兼達に合っているなと聞いたときに思ってね」
「誠に、某に合っている言葉と思いまする。今後も脳筋と呼んでもらいたいものですな」
あぁ~、やっちゃったかも、脳筋を褒め言葉と思い込んじゃったよ。今さら、褒め言葉じゃないよって言うのも変だし、氏兼達を傷付けちゃうしな。後世の人、ごめんなさい。脳筋の意味が結構変わっちゃったよ。
「……っそ、……そんなに気に入ったんだ。よかった……わ。まぁ、ときどき、何かあれば呼んであげるわ。それじゃ、今日の鍛錬は終わりにして、ご飯を食べましょうかね」
………
……
…
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父上と母上に会ってから、さらに5日ほど経ったが、まだダンジョンへは行ってない。
氏兼達と一緒に鍛錬をまだ続けているのだ。ダンジョンに行きたくないって気持ちは無い、逆にダンジョンに早く行きたいと思ってはいるが、意外に氏兼達との鍛錬も楽しくて、なんだかんだと言って、朝から鍛錬をしているのである。
まぁ、対人戦の練習にもなるし氏兼やたきが安心している顔も見られるから、たまにはいいかなと思い、ずるずると今日まで来てしまった。