0256. 初めてのダンジョン攻略
ーーーー翌日、天堂前の広場
「氏兼、みんな、それじゃ行ってくるね。今日はみんなに作ってもらったこの武器と防具を使って、御使い様と実践形式の鍛錬をしてくるから。それじゃね」
「気を付けていってらっしゃいませ。くれぐれもお怪我をなさらぬようにお願い致しまする」
「わかってる。わかってるわよ。無理をしないで、鍛錬してくるから、そこまで心配しないでよ。まぁ、そう言ってもみんな心配するだろうから、今日は早めに戻っているようにするよ」
みんなが心配しすぎて、入るのを止める前に、ささっと入ってしまおう。
ふぅ~、とりあえず、ダンジョンの中に入ったが、やっぱり緊張はするわね。八百幻のときは、VRMMOのゲームってわかっていたから、そこまで死ぬって感覚はなかったけど、、いくら神々が訓練用のダンジョンって感じでこのダンジョンを作ってくれたとは言っても、今は転生してきた先の現実だからね。怪我したら痛いし、死んだら蘇生はしてくれないだろう、神々も。やり直しの利かないダンジョン探索だとしっかりと認識しないと。
『いのちだいじに』でいかないと。
そんなことを考えながら、ダンジョンの中を歩いて行き、スキル訓練をしている広場の前まで来た。
さぁ、今日のスタート地点に着いたわね。ちょっと休憩したら、この先に進んで、ついにこの世界での初戦闘だね。八百幻のときと同じ魔物が出てくるなら、ネズミっぽいやつね。Gじゃないのを祈らないと。
よくスライムが最弱魔物というVRMMOもあったが、八百幻では、それぞれの国の神話にも影響されていて、共通の魔物は少なかったのよね。居たとしてもそれぞれの国で亜種みたいなものだったし。
それに個人的にはスライムは最弱だと思えないのよね。ぶよんぶよんした不定形だから、剣とか武器で切断・打撃攻撃はあまり効かないし、火や魔法といった一部の攻撃手段じゃないとダメだと思うけどね。
まぁ、そんな魔物談議は横において、先に進みましょう。気合いを入れて、覚悟を決めて。さぁ~、一歩を踏み出すかな。まずは、八百幻と同じようにジャンプからだね。
ーーーー30分後
ふぅ~、いやぁ~〜。疲れたぁ~。なんの異変も想定外も無い、予想通り、予定調和の結果だったね。魔物も1匹づつ出てきて複数で出てくること無かったし、出てくるまでに、間も少し開いて、体制整えられるようになってたし、接待プレイ、姫プレイみたいな感じだったかな。
それと思ったより、現実での殺害に忌避感が出てこなかったな。まぁ、人型の魔物ではなかったから、単純に狩猟って思えたのもあるのだろうけど。これから先には人型の魔物も出てくるはずだから、そのときに忌避感が出ないようにしないとね。
そのためにも、レベルアップして、ダメージを受けないように身体能力を向上をさせるのと、スキルレベルも上げておかないと。当然、武器や防具も強化しておかないといけないけど。
あと、残念ながらレベルアップはしなかった。30分で10数匹は倒したけど、まだまだのようだ。1匹あたりの経験値が少ないのか、1層だからチュートリアル扱いで経験値が入ってきてないのか、わからないけど、たぶん後者何じゃないかなと思う。
さて、今日はこのへんで終わりにして、シャワーを浴びて帰ろう。氏兼達が心配してるだろうし。特にたきが。
ーーーー天堂前の広場
「みんな、お疲れ様。無事に帰ってきたよ。怪我もしてないし、初日にしては順調に鍛錬できたんじゃないかな。詳しいことは、奥之院に戻ってから話すよ」
「琴音様、無事にお戻りになられて良うございました。みな、心配しておりました」
氏兼達は心配そうな顔をしているだけだったが、たきはもう泣きそうな顔をしている。まぁ、初めての戦闘、実践をまだ5歳くらいの体で行ったのだから、そうなるのもしょうがないだろう。とにかく、部屋に戻って大丈夫だったことを伝えないとだね。
「そうね、まぁここで話をしていても休まらないから、ちゃちゃっと帰りますかね。さぁ~、帰るよ。出発、出発。体動かしたから、お腹空いちゃったよ」
少し軽口を叩きながら、雰囲気を明るくして戻る。