0255. 天堂実践宣言(仮)で準備を
ーーーー奥之院自室
「お疲れ様。昼餉食べたあとで、休憩もせずに集まってもらって申し訳ないね。早速だけど、ちょっと話をしたいことがあってね」
「お気になさらず、いつでもお声がけくださいませ。それでお話というのは何用でございましょうか。御使い様への貢ぎ物の件でございましょうか」
「ありがとうね、氏兼。今日の話は貢ぎ物の件じゃないよ。まぁ、御使い様には関係することだけど。実は、御使い様との鍛錬も少しずつ進んでいてね。それでそろそろ実践形式での鍛錬を始めれるんじゃないかって事になってね。だから、武器や防具が少し傷ついたりしてくると思う。最初に言っておかないと、みんなが驚いて顔が真っ青になるんじゃないかなと」
氏兼達に事前報告すると、やっぱり氏兼達は驚いた顔をした。たきとまつは、顔が真っ青というか白くなって、血の気が引いてる感じだ。意識が飛ばなければいいけど。大丈夫かな。
「………。琴音様、いささか早い気がしまする。いくら御加護をいただいているとはいえは、琴音様はまだ幼子と言っても良いくらいのお歳でございまする。まだまだ体が出来上がっておらぬのに、実践での鍛錬なぞ、この氏兼でもしたことはございませぬぞ。沙門殿、筑馬殿。そなたらの一族でも、そのようなことはなかろうと思うがいかがで」
「氏兼殿の言うとおりでございます。いくら我らの一族の者であっても、琴音様の歳で実践を経験させるようなことはございませぬ。氏兼殿の言ういささかではなく、早すぎますぞ。承知致しかねます、そのような話は。無謀すぎますぞ」
沙門の発言を聞きながら、筑馬が頷いている。筑馬も同じ考えのようだね。確かに普通に考えたら、そうなんだけど、あのダンジョンは、私専用に神々が作ってくれたものだから、深層とかに行かない限り、そんな危険はないと思うのよね、八百幻の初心者ダンジョンなんだし。
まぁ、そんなことは氏兼達に、今は伝えられないから、ここはどうにか上手く説明して理解してもらうしかないか。
「氏兼、沙門。その意見は、普通の人であれば全くその通りだと思うよ。私も今言った事を当事者じゃなく、聞いたら氏兼達と同じようなことを思うし、言うと思うわ」
「おぉ、それならば。お考え直しいただけるので」
「いえ、今、普通の人と言ったでしょ。私は、神のご加護をいただいている姫御子よ。私が言うのもなんだけど、普通の人では無いのよ。それと御使い様がそろそろ次の段階、実践形式をできるとおっしゃっているのであれば、問題無くできるんだと思うわ。御使い様も無理はさせないと思うから、信じてあげて」
「……。確かにそうかもしれないですが、本当に大丈夫でございましょうか」
「まずは、一回軽く実践形式で鍛錬してもらって、武器や防具の様子を見て判断してみるのはどう」
「そうでございますね。それしかないのかもしれませぬが、琴音様の武器や防具は、我らが当初用意できる物でお作りした程度です。琴音様が御使い様とご用意いただいている鋼やウーツ鋼を使用しておりません。なので、実践形式の鍛錬は、武器と防具をお作り直ししてからにしていただけませぬでしょうか」
おっ、すっかり忘れてたよ。ウーツ鋼は少ししか渡してなかったけど、鋼と鉄はあのあとも少し渡して、どう使えるか検証してもらってたんだ。
「そうね。それで氏兼達が少しでも安心するのであれば、武器と防具が用意できるまで待ってもらえるように話をしてみるわ。それでウーツ鋼と鋼は足りそうなのかな足りなきゃ、また用意してもらうので、言ってね。」
「ありがとうございまする。ウーツ鋼などの量が足りるか、鍛冶師に聞いてみないとわかりませぬので、後ほど、確認してお伝えさせていただきまする」
ウーツ鋼の武器や防具をを作ってくれるなんて楽しみだね。
ーーーー1週間後
思ってた以上に早く武器と防具の更新が出来た。結構、鍛冶師の人や他の防具職人さんなどが頑張ってくれたようだ。
武器は、前に使おうと思っていたものと一緒で刃先だけがウーツ鋼に付け替えられただけだった。
防具は、金属部分を鋼とウーツ鋼と2種類を重ねている感じになっているが、薄くしているからか、今までと同じくらいか、少し軽い感じがする。
身体強化をしながらも、防具を着けてダンジョンまで往復していたりしていたから、少し体力や筋力が普通についたのかも。
まぁ、とりあえず武器と防具の準備が整ったので、これでダンジョンの1層で魔物との戦闘が出来るかな。
明日からやれそうだから、氏兼達にダンジョンに入る前に忘れずに宣言しておかないと。