0235. 閑話・【八百幻】初調合も無事に完了
ーー5分後
とりあえず、手順2までの煮出しは完了した。次は、手順3になる。
「アンネさん、終わりました。次はどうすればいいですか。メモを見ると、さっきの葉と花弁、それにこっちの植物を一緒に同じように煮出す感じですかね」
アンネさんに声をかけたが、反応がない。どうしたんだろう。さっきみたいに狐火ちゃんがやらかした感じはしないんだけど。
「アンネさん、聞いてますかぁ~」
「……。…あぁ、ごめんなさいね。また琴音さんの幻獣、狐火ちゃんが葉っぱ等に魔力を注入して遊んでたんで、見入っちゃった」
「あぁ~、ずるいぃ、私も見たかったなぁ。って、葉っぱとか材料は大丈夫なんですか。使えますか」
「大丈夫よ。ちょっと魔力が多いけど、問題なく使えるわよ」
「それならよかった。っで、手順3は、葉と花弁、それにこっちの植物を一緒に同じように煮出すでいいんですよね」
「それで、正解よ。じゃ、やってみましょうか」
アンネさんに見てもらいながら、先ほどと同じように材料を煮出していく。
同じような手順を4回繰り返して、他の材料の植物からも成分を煮出していく。
「ふぅ~、やっと終わりました。次は何をすればいいですかぁって、アンネさん、狐火ちゃんをモフり過ぎですよ。なんか目当ては、私のお手伝いじゃなくて、狐火ちゃんとの遊びだったんじゃないですか」
「……ハッ、そんなことないわよ。一応、お手伝いがメインよ。息抜きよ。息抜き。デザートみたいなものよ。狐火ちゃんとの遊びは」
「なんか意味わかんないことを。なんですか、デザートって。とにかく、煮出す作業は終わったので、次は何をすればいいですか」
「次はそれぞれの煮汁を1つにまとめるんだけど、普通に混ぜると、失敗するので、層ができるように静かに入れながら、重ねていって。それぞれの煮汁で比重が違うから、丁寧にこの容器に入れればいいから」
層を作るなんて、結構難易度が高いな。これが初心者向けの調合なのかな。今度、若菜さんに聞いてみようっと。
「なかなか、難しそうですね。量は、この煮出した分を全部使っちゃって良いんですか」
「そうね。ほんとは煮出した分をいろいろと組み合わせて、5種類の水溶液を作るために全部使うんだけど、最初から全量使うと失敗したら、最初の煮出すところからやり直ししないとだから、ポーション1本分を作るぐらいの分量でテストしてみましょうか」
「そうですね。それでお願いします」
アンネさんに言われた通り、まずはポーション1本分の量を取り分けてと。そして、少しづつ煮汁を容器に流し込んでいく。1層2層と層が重なっていき、やっと全ての層が出来上がった。
とりあえず、最初の1種類はできたと思う。
「どうですか。とりあえず、出来たかなと思いますが、大丈夫ですかね」
「うん、上手に出来ているよ。これなら、最後の手順をして完成できそうだよ」
「あれっ、まだ手順あるんですか。メモには、これ以上先のことは書いてないですよ」
「あぁ、若菜さんらしいね。たぶん、これでいいか迷わせて、私に相談に行くように差し向けたかったんじゃないかな私との顔つなぎをさせたかったんじゃない。このギルドで、この調合の経験あるのって、私ともう一人ぐらいだから」
って、生産ギルドで二人しか出来ない調合って、初心者には難しい過ぎない。
「生産ギルドで、二人って、かなりの難易度ですね。初心者ですよ、私」
「難易度は簡単よ。単に簡単だから、みんなすっ飛ばして先の難易度の調合をするのよ」
なっ、なんだぁ~。そういうことか。それにしても低難易度って、そこまで易しくもない感じだけどなぁ。
「それで最後の手順は、何をすれば良いんですか」
「最後はこの板の調合板の上で魔力を流せば終わりよ。そうすると成分が融合して、均一な水溶液になるから」
なんか、紋様が描かれた魔法陣のような板が横の机の上にいつの間にか置かれていた。
「この魔法陣の上で魔力を流せばいいんですね」
そっと、層が混ざらないように容器を動かして魔法陣の上に置く。
「じゃぁ、やりますね。ふぅ~、えいっ」
魔法陣に向かって、魔力を流すと、容器が光る。ちょっと眩しい。黒い遮光サングラスが欲しくなる。光ってたのは、1-2秒ぐらいだろうか。すぐに光がおさまる。
アンネさんも少しびっくりしている。やっちゃたのかな。
「……………………成功ですかね」
「……………。……たっ、たぶんね。ここまで光ったのは、初めて見たわ。光は強かったけど、色は普通のとほとんど変わらないから、問題ないと思うわ。ちょっと品質がいいくらいじゃないかしら」
その後、必要な水溶液を煮汁を組み合わせながら、作っていった。やはり光は強く、アンネさんもびっくりしていたが、最後の方は、驚きもしなくなっていた。どうせ、強く光るんでしょって感じの顔をしていた。
とりあえず、中間素材の水溶液が無事に全部できてよかった。