0232. 閑話・【八百幻】材料確認で少し混乱を
「そうですね、よろしくお願いします。それと材料の一部を鑑定というか、使えるのか見てもらいたいんですが、大丈夫ですか」
「材料の鑑定ですか?基本的に生産ギルドでは、納品される品物以外は鑑定しないのですが、今回は初めての利用ですから、間違って変な調合しないように、私が個人的に見ると言うことでどうでしょうか」
「えっ、見てくれるんですか。ありがとうございます。てっきり、今の話の流れだと出来ないって、言われると思いました。それじゃぁ、よろしくお願いします。ところでお名前をお伺いしてなかったのですが、お聞きしてもよいですか。それと、これが知りたい材料になります」
受付の方の名前を聞いてなかったので、聞きながら、クエストで集めた材料を出していく。量が多するって言われたら、変わった素材だけでも見てもらうことにしよう。
「これは失礼しました。生産ギルドの受付を担当しています。アンネと申します。今度ともよろしくお願いします」
「アンネさんですね。こちらこそよろしくお願いします」
「それでは、鑑定しちゃいますね。まずは、通常品とそれ以外に分けちゃいましょうか。あと石とか鉱石系は、私は鑑定できないので、鍛冶師ギルドかうちの宝飾担当の人間に見てもらうのがいいわよ。まぁ、お金は少しかかるけど」
そうかぁ、やっぱり石とかは無理かぁ~。まぁ、今回の魔導具製作では、石は使わないから、まぁ、今度でいいかな。
「わかりました。今回、作りたいものには石とか鉱石系は使わないので、鑑定はまた後日、必要になったらするようにします。なので、それ以外でお願いできますか」
「わかりました。それでは、選り分けたこちらの分だけ私が鑑定しちゃいますね」
アンネさんはそう言うと、ささっと選り分けていたモノを持って、奥の机に行き、見始めた。
「うぅ~、これは……。……あぁ~、これも…。………えっ、こっちもぉ…」
なんかアンネさん、唸っているような、ちょっと声が小さくて聞き取れないけど、レアモノがあった感じじゃないかな。結構、頑張ったからなぁ~~。いい結果になりそうでよかったかも。
5分ぐらいして、アンネさんが戻って来た。少し疲れた感じの顔をしているけど、どうしたのかな。聞こえてた感じレアモノだとは思ってたけど、そこまでのモノがある気がしないんだけど。
初心者向けのエリアで見つけたモノだし。
「お待たせしました。私ができる鑑定は簡易鑑定なので、詳しくはわからない部分もあったのだけど、一応終わりましたよ。ちょっと混乱してる部分もありますが」
終わったんだ、よかった。でも、なんだ、混乱って。
「鑑定ありがとうございます。それでなんですか、混乱って、何か採ってきてはいけないものでもありましたか。ごめんなさい」
「いやぁ、そうじゃないのよ。この周辺で採って来てはいけないものなんてないから、大丈夫ですよ。ただ、イレギュラーというか、変種なのは選り分けたときにわかっていたんですが、変種の中でもまた変種になっているのか、見たことのない葉の形をしていたり、大きさだったりしていて、本当に同じ植物の植生と判断して良いのか、わからなくてね」
「そうなんですね。でっ、どうしたらいいですか。何か申請したほうが良いのか、このまま調合に使って良いのか、ギルドに納品というか、買い取りしてもらった方が良いのか、どうしたらいいですかね」
「あぁ、そうね、一旦、どこで見つけて採取したか、報告してもらえるかしら。改めて、ギルドでその情報の正しさを調査して、新情報だったら、情報料を払うことが出来るから。それとこの変種の一部は、ギルドで買い取りさせてもらっていいかしら。全部はいらないから、調査用にね」
「まぁ、いいですよ。アンネさんが鑑定してくれたから、わかったことなので、見てもらえなければ、そのまま調合に使っていたと思いますし」
「それじゃぁ、この分だけ買い取りさえてもらうわね。作業場の貸し出し費用と差し引きする感じでいいかしら」
アンネさんはそう言うと、選り分けた植物の半分くらいを取り分けてしまった。思った以上に持って行かれたが、買い取り量を確認していなかったので、今さら、その量は売らないとは言えないかな。
「それじゃあ、買い取ってもらう分も決まったので、早速、作業場に行って調合作業をしちゃおうと思います。部屋の場所を教えてもらえますか」