0219. 閑話・【甲斐の孤児】極楽浄土への道標!?極楽は本当にあった
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ーー翌日
昨日の夜もしっかりとしたご飯が出てきた。海が近いからか、村では食べたことのなかった魚が皿に乗っていて、びっくりした。お父ぅ達はもちろん、村長でも、食べたことねぇようなものだと思う。そんなもの食べて大丈夫かと、箸をつけずにいたら、はよ、食えと言われてしまったので、みんなで食べてしまった。昨日の夜が特別だったのかも知れないけど、もう一度くらいは食べたい。
そんなご飯のことを考えていたら、商人から、おらと妹の二人は、今日も宮司様のところに連れて行くと言われた。なんか、宮司様の機嫌を損ねてしまったのかと、妹は泣きそう顔している。おらも何をされるのか、怖くなっていると、商人は、昨日、おら達が小屋に戻った後に、女官の人から、おら達をみんなとは違う役目を考えたから、その話をしたいとのことだったらしい。
怒られるのじゃないとわかって、安心したら、腰が抜けたように、足に力が入らず、座り込んでしまい、商人に笑われてしまった。
朝ごはんを食べた後、おらと妹だけ、商人と一緒に宮司様のところにやって来た。他の奴らは、村の人たちのところに行っている。
昨日、来たところと同じ部屋に行くと、すでに宮司様が座られていた。遅れたと思い、急いで部屋に入り、遅れたことを謝った。宮司様は、遅れたことは気にしていないようで、そのまま話を始められたので、ほっとしていると、宮司様の横に女性の方がいるのに気が付いた。謝るのに精一杯で全く気がつかなかった。すぐに女性の方にも謝り、挨拶をした。
女性の方は、社の女性の人たちを取りまとめておられる方であった。宮司様と二人で社を取りまとめておられ、また、社で一番大切な方のお世話もされていると言っていた。そんな大事なことをなぜおら達に言うのかと不思議に思ったが、話を聞くと、おら達にそのお方のお世話の下働きをさせたいとのことらしい。
おら達のような奴隷では、畏れ多いと辞退したのだが、下働きの役目を任せられる奴隷が今まで人買いしてきた中にもおら達のような姉妹はいたが、すでに別の役目についていること、今回のおら達の人買いの中では、おら達しか居ないことから、決定であると言われてしまった。
商人からは、今回この村の連れてこられた奴隷の子ども以外にも奴隷の子どもは居ると聞いていたので、その話もしたが、だめだった。
さっき説明したばかりだろうと、怒られてしまった。宮司様の話は、緊張しすぎて、頭の中に残ってないのに、そこまで怒らなくても。
おらの横で妹はお偉い方のお世話の下働きなんて、すごいと喜んでいるが、何か失敗したら、きつい罰を与えられるんじゃないかと思うおらは、どうしても不安が拭えない。
とはいえ、奴隷のおらには、お世話の下働きをする以外にやれることはない。失敗しないように気をつけるしかねぇ。
さいわい、取りまとめをされている女性の方は、優しそうな人だ。他にもおら達より大きい女性の方が一人居るらしい。なので、実際の下働きの指示は、その人からされるようだ。
下働きの話を受けた後、おら達の住む場所もこの社の中に変わるって言われた。今居る小屋から通えばいいかと思っていたので、びっくりしたし、下働きなのに、こんな立派な社の中に住むなんて、とんでもねぇことだと断ったが、お偉い様の事で何か周りにしゃべられても困るから、目の届くところに居ないとだめだと言われてしまった。
おら達が村の外の人間にここの中の話を洩らすんじゃねぇかと疑っているのかと考えたが、どうやらしょうじゃねぇみたいだ。
やることが多いから、通いでは困ることらしい。それに部屋も余ってるからということもあるようだ。
おら達の荷物なんて無いから、今からそのまま下働きの役目に就くようだ。まずはもう一人の方に会って下働きの仕事を聞いてからだが。
あと、おら達が慣れてきたら、そのお偉い様にお会いするかもしれないと言われた。なるべくお会いしたくないが、こればっかりは言われたとおりにするしかない。
ーー1週間後
おら達がこちらの社で下働きをし始めて、5日ぐらい経ったが、やっと下働きの役目に慣れてきた。お偉い様は、この社の姫御子様で琴音様というらしいのだが、お会い出来ていない。
ただ、取りまとめをされているたき様やそのお子様で、おら達に指示するまつ様とは、少しづついろいろと下働きの役目を教わっていて、話が出来るようになったので、琴音様の様子なども聞くことができている。
あと、宮司様の氏兼様以外にも、何人かおられるので、そちらの方々のことも聞いている。
それと、村だと思っていたところは、すべて社の持ち物で、みんな社のために働いているそうだ。社の名前が大聖宮って言う聞いたことも無い名前だったが、この大聖宮も琴音様のために建てられたらしい。ここの領主様と御方様に御神託があったので、建てたと聞いた。そんな事もあるのかと、聞いたときは呆けてしまった。
それにこの大聖宮の暮らしはおかしいと思う。食べ物のことは、もうここに来たときからだから、驚くのを諦めたが、一日三回も食べる事ができる。さらに着るものはしっかりとしたものを渡されたし、お風呂っていう温かい水に入って、身をきれいにしたり、寝るときも藁がたくさんあって、寒くねぇし、薪も使いたい時に使えるだけ置かれてるし。
村でお父ぅ達と暮らしていたときよりも、安心して暮らすことができている。おかげで、妹の顔色も少しだけ良くなったと思う。ここから追い出されないように、しっかりとたき様、まつ様の言う事を聞いて、頑張らねば。
それといつ琴音様にお会いできるかわからないが、お会いしたら、しっかりとご挨拶とお礼をお伝えしないと、まさか、奴隷として人買いに売られたのに、村での生活よりよい暮らしができるなんて、思いもしなかった。
もう二度と村での生活には戻りたくねぇが、お父ぅ達もここに連れて来れたらいいのに、ここまで来るのは大変だったが、ここは極楽浄土で、極楽は本当にあったと伝えられたら、来るかな。