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0217. 閑話・【甲斐の孤児】戻れぬ道。着いた先は極楽か

定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!

 村から村に歩きながら、小せぇ子は、商人の持ってきた荷車?ってやつに乗せられて運ばれている。おらの妹の『みき』も時々乗せてもらっているので、疲れはあるが、歩けないほどではない。それにしても、わざわざ買った奴隷に対しては、待遇が良すぎる気がする。量は多くないがちゃんと毎日1食か2食は。食事をくれるし、夜も火をつけて温まる事ができるのだから。

 この商人は、何を考えているのか、よくわからねぇ。

もしかしておらは、もう死んでいて夢を見ているのか?それとも三途の川に連れて行かれているのか?、そんな気もしねぇではない。

 

 何日か歩いていると大きなお寺に着いた。新太が預けられたおらの村の近くのお寺も大きいと思っていたけど、このお寺はそれ以上に大きい。山そのものがお寺みてぇだ。

 おら達は当分の間、このお寺で過ごすらしい。おら達以外にも、買い付けた子どもがいるらしく、着くのを待つらしい。おら達の前にも来た子ども達がいるので、どんだけの子どもを買い付けたのか、ようそんなに金があるもんだと思った。



ーー数日後

 どうやら残りの子ども達もこのお寺に来たようだ。結構な人数になったが、明日にもこのお寺から出ていくようだ。てっきりおら達は、このお寺に預けられたと思っていたんだが、違っていたらしい。ここ数日、お寺の小坊主の手伝いをしていたから、そうだと思ったんだけどな。


 商人からは、山を越えて、隣の駿河って国に行くらしい。そこでまた、大きな神社に行って少しの間、過ごすらしい。そこもおら達が住むところではねぇって言われた。おら達の住んでた村からもこのお寺は遠かったのに、さらにその先の神社でもねぇって、お父ぅ達に会うことはもう二度とねぇな。もう一度会いたかったなぁ~。



ーーーー数週間後

 おらの村から出て行って、どれくらい経ったのか、ようわからねぇが、お寺や神社に泊まったと思ったら、船でどこかに連れてこられてしまった。いくつかの湊や島にも寄って、ようやく着いたのだ。

 もう二度と船には乗りたくねぇ。いつ沈むかわからねぇし、揺れがひどくて、気分が悪くて、起きてられなかった。お父ぅ達には悪いが、船に乗らなきゃ帰れねぇなら、諦めるしか無い。


 それにしても、着いた湊は今までの湊と同じ感じであったが、着いた先の村は、なんか変わっている感じだ。村に入るのに、壁や堀があったり、門があったり、お寺みてぇだが、この前泊まったお寺よりも人が来れないようにしっかりと守っている。門のところにも人が立っているし。

 どんな人がここには住んでいるのかな。おら達もこの村で住むことができるのだろうか。村はずれでもいいからここに住ませてもらいたい。壁や堀があるから、おら達の村みてぇに賊に襲われたりしねぇだろう。安全に安心して住めるんじゃねぇかと思える。


 商人はよくここに来るのか、簡単な挨拶をしただけで、村の中に入れてもらえたので、おら達も商人のあとに続いて入れさせてもらった。村の中を歩いて、入る前よりも驚いた。おら達の村と同じくらいかと思っていたけど、それよりも広い、ここまでに来るために泊まったお寺や神社と同じくらいかそれよりも広いかも知れない。

 それよりも壁が、ぐるっと村を囲うように建ててある。おら達の国の領主様よりも立派じゃねぇかな。見たことないけど。田んぼや畑もこの壁の中の村の中にある。これなら、田んぼや畑を隣村等の人達に荒らされたり、武士に持っていかれたりはしないんじゃねぇかな。おら達の村とはおおちげぇだ。

 あまりの驚きにみんなきょろきょろしていると、商人に怒られてしまった。今日は、村の角にある小屋に泊まるらしい。小屋に着くと、体を身ぎれいにしろと言われ、古着を渡された。どうやら、おら達の格好が汚すぎて、売り渡す先の人に見せられないと言われてしまった。まぁ、ここまで来るのに、精一杯で体の汚れや着物の汚れなどを気にしていなかったからな。まぁ、そんなもんだろう。


 おらも『みき』と一緒に体をきれいにすることにしたが、小屋のそばに小川みてぇのが流れているから、そのまま川に入ろうとしたら、また怒られちまった。どうやら、この小川の水を田んぼや畑に使っているから、川から桶で水を汲んで、小屋のそばで使えとのことらしい。なんで、そのまま川できれいにしちゃいけねぇのか、わからんかったが、これ以上、怒られるんのも嫌なので、言う通りにした。

 体の汚れを落とすとさっぱりとした気分になって、気持ちが良かった。久しぶりにこんな気持ちになったなと思ったが、もらった着物も村では着れんぐらいのもので本当に来ていいのか、何度も商人に確認してしまった。

 その日は、そのままいくつかの小屋でみんなで寝る事になったのだが、出してもらった食べ物が、今までよりも豪華で村の壁や着物以上に驚いちまった。こんな飯をおら達のような奴隷に出すなんて、この村の長は、何を考えているんだろう。何も出来ねぇぞ。村で今まで何も働いて無かったんだからな。やっぱりおかしい。

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