0213. 閑話・【たき】 中前 姫御子様の自由奔放記①
最近、1話が長くなってきたので、今日の話は今までで一番短めに書いてみました。
定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!
ーーーー日記①
琴様が生まれて、数日後、御方様の下に御殿様が様子を見に参られました。普段は出産直後は穢れがあるといわれるので、このような小さな時期に来られることはないのですが、御方様が御殿様に伝えばならぬことがあるということで、私が来訪について、是非に言上申し上げたのです。
御殿様が御方様の部屋に入ると、御方様は真剣な顔をしてと御殿様で話を始めたようです。私にも聞かれたくない話であったようで、部屋のふすまも閉められて、私も少し離れた控えの間に下がることになりました。
お二人だけで、お話を半刻ほどされたでしょうか。やっとお話が終わり、御殿様は自室へ戻っていかれましたが、そのお顔は驚きの顔をしつつ、顔色が少し悪い感じがしました。
御殿様の様子も気にはなりましたが、それ以上に私は御方様に何かあったのかと思い、急いで御方様の部屋へかけていきました。私の不安は杞憂で、御方様は布団の上で起きておられました。ただ、そのお顔は真剣な表情をされておりましたので、何があったのかを、失礼だとは思いながら、お聞きしました。
そうすると今日の話はまた別途するつもりだから、御殿様から返事が来るまで待ってほしいとのことでした。なぜ、本日のことを少し聞くだけで御殿様の返事が必要なのか、わからりませんでしたが、そのまま話を終わりにして、部屋から出ることにしました。
ーー
後日再度、御殿様が来られ、御方様の部屋に呼ばれました。わざわざ御方様自ら、私のいる控えの間の部屋に来れたので、とても驚きました。出産されてまだ間もないので、お歩きになるのも大変だというのに。
御殿様のお待ちの部屋に行くと、すでに氏兼殿が来られており、御殿様と何やら話をされておりました。あとから二郎太郎様も来られ、部屋に五人が集まりました。私は何か用事を言い付かってもよいように部屋の隅に座ろうとすると、私にも関係がある話になるので、部屋の中に座るように言われました。
今までそのようなことがなかったので、正直驚きましたが、その程度の驚きはそのあとの話と比べたら、まだ小さなことであったと後日、この日のことを落ち着いて振り返ったときに思いました。
私達三人が、御殿様と御方様の前に座り、お二人から伝えれらた話は、私の理解が追い付かない大変なことでした。落ち着いてこの日記を書いている今でさえ、本当の話なのか、疑問が尽きません。なので、今はお二人を信じるしかないと考えています。
お二人のお話は、『琴音様がお生まれになる前日、御殿様と御方様は神からご神託を授かったので、社を建立して御礼とする』ということ、私はその場ではあまりのことで頭で考えること、理解しようとすることができない状態でした。
そうこうすると、氏兼殿と二郎太郎様が異議を唱えてしまったので、御殿様の勘気に触れられたようで、切り捨てをなされる寸前までになってしました。御方様の取りなしもあり、二郎太郎様と氏兼殿は座敷牢に閉じ込められることになりました。私も同じ場に居て話を聞いたということで、氏兼殿達との連帯責任になって、別の座敷牢に閉じ込められることになってしまいました。
今思えば、二郎太郎様も氏兼殿も短絡的に考えられていたことが少し残念に思います。役目柄、何事にも口を挟まぬことこそ最良であると思っておりましたので、【沈黙こそ金なり】の場面でございましょうに。少々愚痴が過ぎましたね。