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0211. 閑話・【鞍馬天狗】姫御子の武芸師匠就任!?

姫御子:「牛若丸以外に鞍馬天狗様の弟子はいるのでしょうか」


鞍馬天狗:「そうよのぉ、弟子と呼べるのは、牛若丸のみであろうが、気になるものはおるぞ。その男は鬼一法眼という名の剣豪であった男じゃな。あやつ(鬼一法眼)は、自分の剣術を高く評価しており、誰にも負けないと思っておってな、日々、道場破りや賭け試合をして、金を得ておったのだ。あやつは自分の力を誇示することに喜びを感じておったな」


姫御子:「鬼一法眼は傲慢な剣豪だったのですね」


鞍馬天狗:「そうともいえぬのだ。あの時代、あやつのような考えを持つ者は多く居たので、あやつの考えは世の中ではごく一般的なものの考え方であろう。自分の剣術を極めることを目指して将来の立身出世したいとな。

 そのため、日々修行や試合をしていたし、その成果があったのか、あやつは牛若丸の兄に仕える御家人の一人の家臣になることが出来たようじゃ。この鞍馬山に来る前にも日本各地の修験場を旅し、様々な剣術、体術等と数々戦った経験があったからな。その経験が活きたのであろうな。

 とはいえ、この鞍馬山に来ていた時は、我が一族の者には勝てぬようで、自身の剣術に限界を感じていたようであったと聞いておる。そのうち、あやつはこの鞍馬山来なくなってしまってな。何処へ消えたのかと思っておったんじゃ。

 牛若丸の噂話を集まっておっときに偶然、消息を聞いたという訳じゃ。ここを離れてからどういう縁で、仕えるようなったかまではわからなかったがな。

 自身の立身出世のために平家との戦いに参戦して、いくつかの武功を挙げたらしい。まぁ、最後は熊谷直実との一騎討ちで敗れて討死しまったがな」


姫御子:「そうなんですね。なんか、悲しい人生の終わり方ですね。一騎討ちで討ち取られるなんて」


鞍馬天狗:「そうでもなかろう。あの時代、武士で一騎討ちをするなぞ、それなりの武威を示せた者か、位の高い人物でなければ、出来なかったようじゃからの。一騎討ちが出来るまで立身出世したということじゃろう。

 本人としては、満足のいく人生であったのではないか。それが正しいかどうかは、本人しかわからぬのだからな」


姫御子:「確かにそうかも知れませんね。親兄弟なら、いざ知らず、赤の他人に人生の評価をされるのは嫌ですよね。私も嫌ですし」

ーー鞍馬天狗思い出編 終ーー


「どう、どうだったかな。前にお祖父ちゃんに聞いたことがあった牛若丸と鬼一法眼の話を書いてみたんだけど」


「…………。……まぁ、よいではないか、……一部、何か違っておるが、まぁ、よいか。じゃが、これも、最初に話ができるものではないな。それなりに修行をしたあとでなくては、このような話にはならぬじゃろう」


「う〜、やっぱりそうかぁ⤵残念だけど、そうだよね。まぁ、しょうがない。それにしても、早くその女性が来ないかね。会えるの楽しみだよ」


「そうよのぉ、ここ百数十年、このような新たな者が来ることはなかったからの。最後の者は、将門公であったしな。あの御仁はすでに、出来上がった者であったから、儂がそこまで手をかけるようなことはなかったわ」


「そうなの、お祖父ちゃん、ほんと、ここって話し相手になる人がいなくて、嫌になっちゃうわ。いつもお祖父ちゃんか小天狗等、代わり映えしない人たちばっかで。将門公もいいけど、もう百数十年も経つんだぁ〜。それじゃぁ、飽きてくるはずだよ」


「こたびの女性は、武芸や技能はほぼ習うておらぬ者であるし、赤ん坊から産まれて来るらしいからの。修行を見てやるには、いいのではないかと思うておるのだ。今から楽しみじゃわ。じっくりと育ててやろう」


「えぇ~、お祖父ちゃんが師匠になるんだったら、私はどの立ち位置にいればいいのよ。私がその子の師匠になろうと思ってたのに、将門公の師匠になれなかったから、機会を狙ってたのにぃ~」


「何を言うておるのだ。そなたに師匠が務まるわけなかろう。儂が直々に師匠になるに決まっておろう。それにそなたが作った台本のすべてで、儂が話しているではないか。そなたの出番は、台本には無かったであろうに」


「あぁ~、しまったぁ~。台本の中に私を登場させるのを忘れてたぁ~。ついお祖父ちゃんが喋れないだろうと思って、そっちばっか気にしすぎちゃったよ。でも、でもだよ。まだその女性に会ってないから、今から台本を書き換えて、私がしゃべるようにすればいいんじゃない」


「何を言うておるのだ。この話は元々、儂に来た話であるのだから、儂が出ずにどうするのじゃ、葵は別の役目を考えてみるんじゃな」


「うぅ~、確かにぃ。それじゃぁ、師匠は諦めるとして、何になれば、その女性とよく話ができるかなぁ。………う~ん、……、あぁ~、そうだぁ〜、私、姉弟子になるよ。お祖父ちゃんが、師匠になるなら、私は姉弟子になる。私も一応、お祖父ちゃんの弟子だしね」


「まぁ、よかろう。そなたは儂の弟子という者ではないが、まぁ、一族だし変わらんじゃろう。いつ、そなたの出番になるかわからんが、準備だけはしておくのだぞ。この間みたいにするでないぞ」


「うへぇ〜、………なっ、なんのこと……かな」


「まぁ、よい。将門公もそこまで気にしておらなんだからな。それにしても、楽しであるな。もう少し待つであろうが」




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