0206. 閑話・【鞍馬天狗】 上 二つ目の台本の読み合わせ
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ーー戦国の風習、礼儀編 台本:作 葵、演出 ****
鞍馬天狗:「姫御子よ、そなたはまだこちらの戦国時代に来て間もない。それゆえ、戦国時代の風習や礼儀について疎いであろうと思うが、いかがじゃ」
姫御子:「はい、鞍馬天狗様。まだまだこの戦国の世について知らないことが多いです。教えてもらいたいことだらけです」
鞍馬天狗:「よし、それでは儂が風習や礼儀について教えてやろう。そなたは城から出ず、城内で生活を送っていたであろう。市井の武士や農民たちのことは想像し辛いであろう。武士達は力と忠義と名誉を重んじるのじゃ。それを知らなければ、そなたといえ生き残ることはできないであろう。
ではまずは武士の挨拶からだ。武士は自分の身分や立場を示すために、初対面では自分の名前と主君の名前を名乗ることが多いぞ。例えば、私は『鞍馬山の大天狗、牛若丸の師匠』と名乗る。これで儂がどんな者かわかるだろう。そなたの場合、『✕✕家が息女、✕✕』ということになる」
姫御子:「なるほど、それで相手がどこの誰かが判断できるのですね」
鞍馬天狗:「そうだ。また、武士は自分より上位の者に対しては敬語を使い、一礼することが礼儀だ。逆に自分より下位の者に対しては、敬語を使わず、一礼もしないことが常識だ。これは自分の尊厳を保つためでもあるのだ」
姫御子:「でも、どうやって相手の身分や立場を知ることができるのですか?」
鞍馬天狗:「それは見た目や話し方や態度で判断するのだ。例えば、相手が豪華な着物や甲冑、馬に乗っていたり、大勢の家臣を引き連れていたりしたら、高位の守護か重臣だとわかる。逆に相手が粗末な着物や甲冑、刀等の武器しか持っていなかったり、一人で歩いていたりしたら、位の低い人間だとわかる」
姫御子:「なるほど、見た目で身分がわかるものなのですね。見栄えが重要ってことなんですね」
鞍馬天狗:「そうだ。さて、次に武士の風習だが、武士は戦場で勇敢に戦うことが美徳とされておる。その美徳を守るため、自分の命を惜しまず、自分の命よりも主君や家族や仲間や名誉を大事にするのだ。それが武士道というものだ」
姫御子:「武士道……。…なんか変わってますね……」
鞍馬天狗:「そんなことはないぞ。武士道に従って生きれば、死後も名声が残り、逆に武士道に背いて生きれば、生きている間も死んだ後も恥辱を受けると思うておるのだ。
例えば、主君を裏切ったり、敵に捕らえられたり、戦場から逃げ出したりしたら、それは武士道に反する行為だと考えられている。そのような事になったら、武士の面目が立たぬと思われ、名誉が無くなるのだ。なので、人によっては、自らの腹を切って死ぬことで、少しでも名誉を回復しようとする事があるくらいだ」
姫御子:「自分の腹を切って死ぬなんて……恐ろしい。名誉より、今を生きるほうが良いに決まってるのに」
鞍馬天狗:「恐ろしいと思うかもしれないが、武士にとっては切腹は名誉ある死だ。武士は生きている間も死んだ後も名誉を失わないことが最も大事なのだ。
そなたはおなごだからわからぬかもしれぬが、そなたの父や部下達は武士の者がおろう。だから、武士の風習や礼儀を覚えて、理解しておくことだ。次に食事や衣服や住まいについて教えてやろう」
姫御子:「よろしくお願いします」
鞍馬天狗:「武士の食事についてだが、戦場で食べることを想定した食べ物が多い。保存や携帯に便利な食べ物だな。
例えば、干し魚や干し肉や干し果物や煮豆や餅などだ。これらは栄養もあるし、水分も少ないから腐りにくい。また、米や麦や雑穀などの穀物も炊いたり焼いたりして食べることができるから重宝しておる。そして、野菜や果物や茸などの自然の恵みもあまり多くはないが取っておる」
姫御子:「なるほど、武士の食事は戦闘に備えているのですね」