0204. 閑話・【鞍馬天狗】初邂逅への下準備
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「それじゃぁ、お祖父ちゃん。いくつか今、思いついたから、こんなのはどう。その女性がどんな人かわからないけど。
一つ目は、その女性がお祖父ちゃんが、鞍馬山の奥に住む大天狗であり、牛若丸(後の源義経)に剣術を教えたという伝説の存在だったのを知って、お祖父ちゃんに会いに来る。お祖父ちゃんは、彼女と話をして素直で好奇心旺盛な性格に興味を持って、彼女に武芸や戦国時代の風習や礼儀を教えたりして、彼女のことを弟子にするっての」
「葵、それは面白そうだが、儂がまた現世に行かねばならぬではないか。葵はまだ現世に行けぬから、留守番になってしまうぞ。それにその女性が、京の都のそばに生まれ変わるか、わからぬぞ。さっきも言ったが✕✕様の話じゃと、いくつか生まれる家を選ばせると言っておられたのじゃから。京の都から遠ければ、会えずじまいじゃ」
「あぁ~、そうねぇ、それじゃぁ、ダメね」
「まぁ、会えぬが、****殿の力を借りて念話で、戦国時代の風習や礼儀を教えたりするのはよかろう。武芸も難しいかもしれぬが、****殿の力なら、こちらから現世の様子を見ることも出来るから、指導は出来るかもしれぬな」
「それじゃぁ、私もその彼女に指導してあげるわ。将門公にも見せてあげたこともあるし」
「まぁ、それぐらいなら、よかろう。とはいえ、その女性が何を身に着けて来るかわからぬから、葵が教えられることならな」
「わかってるわよ、お祖父ちゃん。早くどんなことが教えられるかわかりたいわ。それとまだまだ考えたことがあるのよ、こんなのはどう。
二つ目は、彼女がお祖父ちゃんから剣術などの武芸を学ぶだけでなく、幻獣の種類や特徴なども学ぶのはどう。さっきの話だと、なんとなくは幻獣がどういうものかは理解しているんだろうけど、実際の幻獣は人間の目には見えないから、彼らの持つ特別な力を教えてあげればいいんじゃない。
例えば、龍や鳳凰等の四神とか、人の世界で代表的な存在じゃない。それに水や火などの自然現象を司っているから、彼女がなるあの職業なら知っていたほうがよいと思うし、どうかな」
「ほぅ、良いではないか。新たな智識を教えることも、✕✕様の意図に合うであろうしな。どうやら、その女性もそういった幻獣の話が好きであるとも聞いておる。様々なスキルを使いこなすためにも、幻獣のことをよく知っておくことに越したことはないの。まずは、どんな幻獣のことを教えるか、またあとで考えくれ」
「は~い、じゃぁ、あとで考えておくね。それじゃぁ、最後になんだけど、さっきの話に関係して、この鞍馬山にも幻獣が住んでいるじゃない。だから、お祖父ちゃんがその中でも特に気に入ってる親しい幻獣たちをその彼女に紹介したり、どうにかして、幻獣たちと触れ合せたらいいんじゃない。そうすることで自然や生命の尊さや不思議さを感じれたら、よりスキルのためになると思うし」
「そうじゃのぉ、それもよかろう。ついでに誰を紹介するかも考えておいてくれ」
「もぉ、自分で紹介するんだから、お祖父ちゃんの気に入ってるのでいいのにぃ、まぁ、いいわ。適当に考えてみるから、今度意見ちょうだいよね」
ーー二ヶ月後
この間、葵が考えてくれた案で色々と話を詰めておるが、なかなかまとまりができてこない。せっかく、いい思い付きであったので、ちゃんと形になるまでにしたいと思うておる。そう思いながら、表を見ると葵がやって来ている。はて、今日はなんの用事も無かったはずじゃが、如何様にしたのだ。
「お祖父ちゃん〜、来たよ~。おまたせ〜……って、その顔、すっかり約束を忘れているね。ぽかんとし過ぎだよ。本当にもぉ、ぼけちゃったのぉ」
なんと辛辣な言葉じゃが、本当に記憶にないぞ、葵の方が間違うておるのではないか。
「葵、お祖父ちゃんは、忘れておらぬぞ。今日はなんの用事も無かろう。葵が日を間違うておるのではないか」
「そんなこと無いよ、先週、葵が考えたあの思い付きがうまくまとまらないし、どう話をして、そのように持っていけばいいかわからぬから、考えてほしいって言ったじゃない。だから、ちょっと****さんに相談したら、演目のように会話を作ってみたらと言われたから、作ってみたんだよ。今日はそれを見せに来たのにぃ」
「ちょっと待て、葵。作ったのは良いが、それを今日見せるって、儂に言うたか。儂は聞いておらんぞ」
「へっ、****さんから聞いてないの。ちゃんと言っておいたのに、出来たら行くよって」
「はぁ~⤵、葵、いつものようにいつ出来るかって言うておらんだろ。それでは、****殿も儂に言えんじゃろうが」
「あっ、そうねぇ、言ってなかったかも。ごめんね、お祖父ちゃん。でも、もう出来上がっているから、聞いてよ。どうせ、暇していて、時間はあるでしょ」
「まぁ、よい。それじゃぁ、聞かせてもらうかな。どのような会話のやり取りを考えてきたんじゃ」
「うん。一応、彼女は、姫御子になる予定だって聞いたから、姫御子にしてあるよ。これが台本ね。お祖父ちゃんは、そのまま鞍馬天狗の役で、私が姫御子の役をやるから、台本を読んでみようよ」