0191. モフシマ作戦十 中破 農業の苦労話と改良の方向性
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「そうね。昨日も少し沙門と筑馬から話を聞いたけど、先に農業の苦労話を聞く方がよいかもね」
「まず、我らがこの地に来る前は、土地が痩せ、作物が育ちにくく、育てても実入りが少ない、痩せた作物しか作ることができませなんだ。収獲料も少なく、みな外に出て稼いでこないと生きていけぬような地でございました。
年によっては、天候が不安定で水が不足したり、雨が多くなり過ぎて、作物が腐ってしまったりということもありましたな。さらに作物に害虫が着いたり、作物の病気も増えた年もありました。
我らもそのような中で少しでも、食べれる物を作ろうと田畑を増やすために、荒地を開発して水田の面積を増やしたり、水害から水田を守るために堤防や用水路などの工事を行ったりしました。その作業をするために鍬、鋤に鎌や鋸などを作ったり改良しようとしておりました。
ただ、金属を買うお金も材料も無かったので、ほとんど何もできることはありませんでしたが、他国で豊かな村を見聞きし、我らの村で何か出来ないかと考えることだけはしておりました」
「おぅ、結構というかかなり厳しい生活をしてきてたんだね。この大聖宮もまだまだかなと思ってたけど、それでもまだまともなんだね。でも、いろいろと考えていたのは、素晴らしいね。その考えていた案や意見を今回の改良で活かして欲しいよ。今、聞いたことも頭に入れて、どうすれば農機具がよくなるか考えていこうか。
それじゃぁ、鍬と鋤の刃先をまずはどうするかだね。もう少し刃の幅を細くしたり、刃を薄くしたり、刃と刃の間隔を広げたり、刃の数を増やしたりするのはどうかな。あと刃先の反り、丸みを強くすることで、掘り起こしやすなったりしないかな。
手鎌は刃先をもう少し長くして、穂を刈り取るときに一度に多く刈れるように出来ないかなと考えたんだけど、みんなはどう思う」
「そうでございますね。刃を薄くしたり、鋭利にすることは我らも試作しておりますが、脆くなってしまい、すぐに刃が欠けたり折れたりしてしまいまする。なかなか難しいことかと」
「なるほど、そうなんだ。じゃあ、刃先や切っ先はあまり薄くしすぎないように適度に鋭利にして、重さやバランスで調整するようにしたほうがいいのかな。刃の幅を細くするのはどうかな。あと刃の数や間隔を広げたりは」
「鋤の刃の幅を細くして、数を増やすことは出来ると思いまする。実際の使い勝手がどうなるか、ちょっとわかりませんが」
「それじゃぁ、刃の数や間隔を変えたモノをいくつか試作品を作ってみて、実際に使ってみて感触を確かめるようにしようか。その中で使い勝手が良いものをたくさん作ることにしましょうか」
「はっ、そう致しまする。それでは試作品を作り、実際に水田や畑の田起こし、土作りに使用してみます。琴音様の案は素晴らしいと思いますが、実際に使ってみないと分からないこともありますので」
いいねぇ、なんかこの鍛冶師さんは、ガンコ親父のドワーフみたい。自分の技術にこだわりがありそう。
「じゃあ、試作品を作るためには、どのくらいの時間や材料が必要かな?」
「試作品の農機具を何種類作るかにもよりますが、木や竹はすぐに手に入りますし、金属部分をどの金属で作るかによりますが、一旦、一週間くらいでご報告させていただければと思いまする。いかがでしょうか」
「そう。じゃあ、一週間後に試作品の作製状況を教えてね。鉄と鋼の塊が必要であれば、氏兼達に相談してね。あとそれ以外の金属が必要であれば、これも氏兼達に伝えて。私はその間に新しい金属のことを御使い様に相談してみるね。今日は、みんな、ありがとうね。まだまだ始まったばかりだけど、農機具の改良に向けて動き出せそうでよかったよ。それと鍬や鋤等の道具の改良もだけど、他の農作業も楽になるようしたいので、そっちの方は、私が御使い様と話をして絵図を描くから、それを見ながら、みんなの意見をもらえるかな」
鍬や鋤等の道具以外だと稲の穂先から籾を取り出す千歯扱き、米を選り分ける唐箕・千石どおし、足で踏んで田畑に水を入れる龍骨車、同じく足で踏んで水車を動かして水を入れる踏車)等があるから、まずはその辺を作りたいし、それをさらに応用して、スプリンクラーもできたら、水撒きが楽になるよね。まぁ、まずは絵図を描いて、反応をみるかな。
「いえ、我らこそ琴音様のお手伝いをさせていただけるなんて光栄でございまする。我ら鍛冶師全員は全力で協力いたしまする。また、新たな道具については、琴音様にご負担をおかけしますが、よろしくお願い致しまする。絵図を見させていただき、何か気になることがあれば、ご質問させていただきまする」
「ありがとう。じゃあ、これから農機具の改良に取り掛かろうか。みんなの農作業が楽になるように、一緒に頑張ろうね」
「はい、承知しました。琴音様のご指導のもと、一緒に頑張りまする」