0019. 気づいたら、引越し準備完了
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「父上、母上。琴です。お呼びということで参りました。
本日は、私にお話があるとのこと、いかようなことでしょうか。先に言っておきますが、先日の騒動は、私だけが悪いわけでは無いです。
それとも、この間、作った道具の件ですか。使いやすくならないかは、今、考えていますので、少しお待ちいただければ。
もしかして、御使い様の件ですか、あれは、ちょっとテン・・、興奮してしまい、周りが少しだけ見えてなかったのです」
父上と母上に主導権を渡さないように、ちょっとしたボケをしつつ、場を和ごまそうとした。
「琴よ。今日、呼んだのは先日の騒動でも、道具の件でも、御使い様の件でも無い。まぁ、周りの事をよく見て、あまり騒ぎにならないようにしてもらえると助かるがな」
「そうよ。今日はいつもの騒ぎについての話じゃないのよ。前から話をしている社の件ですよ」
やはり予想通り、社の件だった。ちょっと軽い小ネタボケで、緊張している両親の空気を柔らかくするつもりが、二人から小言を言われてしまった。
まぁ、やらかしてるのは、その通りなので、甘んじて受け入れよう。それよりも社の件をちゃんと確認しよう。今は秋の刈り入れ時だから、来年の年始明けかしらね、社に引越しをするのは。
「失礼しました。少し先走りました。それで、社の件とは何でしょうか。引越しの時期の話でしょうか。私は、何も準備をしていないので、早目に知らせてもらえると助かります」
「社は先日、完成しておるぞ。門前町や向こうでの水田、畑とそれと牧場じゃったか、それも小さいながら作ってある。社の方はあとは、竣工祭をして、琴が引越す際に清祓いをするだけだな。
門前町なぞ、この間、見てきたが、ここ稲村の増築した後より守りがしっかりとした町になっておるぞ。儂が攻めるとしても、如何様にしたら落とせるか分からぬ程じゃったわ。
向こうで会った氏兼はだいぶ疲れておったので、そのうち労ってやってくれ。
城と陣屋の方は、ここ稲村は、承知の通り、稲村城として、しっかりと土塁・堀切を増築しておる。周辺の上杉勢も少しづつ押し返しておるので、十分な状況よ。
洲崎と香の付城もほぼ完成しておるぞ。稲村城よりは規模が小さくなるが、香城は、平砂浦と稲村を繋ぐ重要な拠点、洲崎城は、海から上陸をいち早く見つけるための監視拠点とし、両方としっかりと築城しておる。
白浜陣屋の城への増築と千倉陣屋の建設は、他より少し遅れてはおるが、今年の農閑期の終わりには、完成するじゃろう。
儂も四年かからずで、5つの城と陣屋の築城、増築、社と門前町が出来るとは思わなんだ。これも琴の加護の力と稲荷様を信心しておる鞍馬衆、伊母呂一族の頑張りのおかげだな。
当然、前から住んでいる民の力があったうえでのことではあるがな。両者が上手く協力出来ているのが一番じゃな」
「琴。今の様子は殿が話した通りよ。寂しいけど、いつでも社に向かえるわ。わらわ達は、この秋の収穫が終わり、秋祭りのときには、社に居て、向こうで祭りに参加したほうが良いと思ってるけど、あなたはどう思う」
あれぇ〜、秋祭りって、再来週じゃない、私、準備できてないけど、大丈夫なのかな。しっかりと確認しないと。
「父上、母上、時期についてですが、先ほど、お伝えした通り、私の準備は何もしておりませぬ。些か、急ではございませぬか。社側の方も受け入れの準備がございますでしょうし、年明け以降でもよろしいかと思いますが」
しっかりと自分の希望と懸念は伝えたから、大丈夫でしょ。10日後なんて、急過ぎるよ〜〜。まだまだ、こっちで試そうと思ってることがあるのに~。ちゃんと報連相してほしい〜。
「琴、その方の懸念、問題無い。すでに、琴の荷物以外は、5日後までに社に運び入れる算段になっておる。
社側も5日後の荷物受け入れに間に合うようになっておる。それと、向こうの門前町も、秋祭りをそなたを交えて、やるつもりで準備を進めていると、氏兼が言っておったぞ。
ゆえに、琴の荷物の準備が出来れば、問題無い。琴自身は、7日後に社に入れるよう準備と整理をするようにな」
うぇ〜、なんか知らない間に引越し準備が完了しているわ。大抵の時間は、みんなといたはずなのに、いつの間に引越し準備してたのかしら。はぁ~、こんな状況じゃぁ、断れないわね。しょうがない。突然過ぎて、ビックリしたけど、OKしますかね。
「わかりました。荷物を整理して、7日後には社に向かうように準備します。それにしても、私が気づかぬうちにみんな準備していたなんて驚きです。
ところで、私の行く社の名前は、何と言うのですか。稲荷神社だと思っているのですが、ちゃんと聞いていなくて」
「すまぬな。みんな、琴に知られると、何かに理由をつけて、ここから引っ越そうとせぬと考えてな。騙すつもりは無かったのじゃ。
それと社の名前は、【安房稲荷大聖宮】じゃ。御稲荷様の姫御子様が居る社が、ただの神社では、外に対する権威が無いとの話が多くてな。みなと話をして、神宮と大社をあわせて大聖宮とすることにしたのよ」