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0189. モフシマ作戦十 上急 問題点は意外に想定通り?

定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてくれたり、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!

ーー天堂から戻った中食後

 「たき。申し訳ないけど、氏兼達を呼んできてもらえるかな。そろそろ畑や水田の準備をする時期になるんじゃないかなと思って、その前に農作業が楽になるようにしたいのよね。この前に肥料をたくさん作って畑の土をちょっと良くしたけどさ」


「わかりました。それでは氏兼殿、沙門殿、筑馬殿を呼んできますね」



ーー10分後

 お茶を飲んでのんびりとしていたら、廊下をドタバタと歩く音がする。氏兼達がやってきたようだ。

「琴音様、氏兼、参りました」


「氏兼、お疲れ様。わざわざ悪かったね。たきから少し聞いてるかもしれないけど、この間、肥料配って畑の土を改善したから、今度はみんなの使っている農機具の改良したくてね。みんなが今、どんな機具を使っているのかと、機具を使っていて、困ったことが無いかを聞きたいなと思って、まずは氏兼達に話を聞ければと」


「そうでございますか。ありがとうございまする。この大聖宮の領民のために、そこまでの御心をいただけるとは」

 

「じゃあ、氏兼じゃなくて、沙門と筑馬から話してもらおうか。氏兼は農作業はしてないだろうから、沙門と筑馬は稲作や畑作の管理をしているんだっけ?」

 筑馬は琴音の言葉に感動し、涙を浮かべながら、自分たちが使っている農機具の種類や状態を説明し始めた。


 「はい、そうでございます。この大聖宮の領内の水田と畑を我々の一族と沙門殿の一族で管理しております。昨年の収獲の時期には一族郎党一丸となって、稲刈りを致しました」


 「そうなんだ。それは大変だね。で、田畑で使っている農機具はどんなものがあるの?」


 「水田では主に鍬や鋤、手鎌などを使っております。鍬や鋤は土を耕したり、草を取ったりするのに使います。鎌は稲刈りや脱穀に使います」


 「ふむふむ、そうなんだ。その使い方については、天堂で御使い様に聞いたのと変わらないわね。それでその農機具で、何か不便な点や困ってることはあるかな?」


 「そうでございますな。ええと……鍬や鋤は重くて持ち運びが大変ですし、長時間使うと腕や背中が痛くなりまする。また、大人の男が使うにはいいですが、子供や体格の小さな女には、大きく使うことが難しいですな。特に水田では、昨年は土を掘り返す際に鍬が曲がったり折れたりすることが多く、大人の男でも力を入れても深く掘れないことがありました。今年は肥料をいただき、だいぶ土が柔らかくなっておりますので、昨年のようにはならぬと思いまするが。

 手鎌の方はでございまするが、切れ味が悪くなりやすくて、頻繁に研がなければなりませんし、稲刈りや脱穀に時間がかかりまする。

 それと鍬や鋤、手鎌の数が少なく、まただいぶ古くなっておりまして、傷んだり、錆びたりしているものも多くあります。さらに今年は昨年に比べて、水田や畑を増やしておりますので、その広さに比べて、農機具の数が足りておりませぬ。これでは、天候によっては田植えや種蒔きが間に合わないことがあるやもと心配しておりまする」

 なるほどね。沙門の話を聞きながら、メモを取っていたけど、農機具の改良もだけど数を揃えないといけないわね。村の農機具の現状だと問題点は主に以下のようなものかな。

・農機具の数が不足している

・農機具の耐久性や強度が低い

・農機具の形や大きさが作業に適していない

・農機具の防錆処理が不十分である


「沙門、筑馬。不便な点や困ってることで思いつくことは以上かな」


「そうでございますな。今、考えつくのは、以上になりまする」


「そう、ありがとうね。ちょっと聞いてて、少し整理したんだけど、問題は農機具の数が不足していること、耐久性や強度が低いこと、形や大きさが女、子供が行う作業に適していないこと、防錆処理が不十分であること、この四つが主な問題であってるかな」

 

「はっ、琴音様のそのご認識で相違ございませぬ」


「そっ、わかったわ。ちょっと待ってね。少し頭を整理するから」 

 メモを見ながら、どうすればこれらの問題点を解決できるか考えた。とはいえ、今の農機具の問題点はある意味想定通りだね。そんな難しいことはなかった気がする。

 まずは農機具の数を増やすことだ。これはそこまで難しくないと思う。鉄、鋼、ウーツ鋼のインゴットがそれなりにあるので、それを使えば、必要な分を作れると思う。

 あとはそれらの金属加工技術が村にいる鋳物師、鍛冶師にあるかどうかとだ。ただし、鉄にしろ、鋼にしろ、かなり重くなるだろうから、軽量化が必要だし、もしかしたら、軽合金を作らないとだめかもしれないな。

 鋼の加工ができなければ、天堂の図書室に金属加工に関する本が置いてあるから、あとでそれをまとめて鍛冶師に渡してトライアンドエラーをしてもらうしかないな。

 作れさえすれば、耐久性や強度を高めること問題無いと思う。まぁ、今年は鉄や鋼の強度があれば十分だろう。軽合金で作る場合も強度がある配合を図書室で調べれば、作れるだろうし。

 次に農機具の形や大きさを作業に適したものに変えることだけど、それを考えるには村の農作業環境や女性や子供のニーズをヒアリングしてからだね。そのうえで農機具を設計することが必要だけど、これも図書室に農業工学の本があるから、参考にしつつ設計出来るんじゃないかな。

 最後に農機具の防錆処理を行うことだね。防錆コーティングには油や蝋などの塗料を金属部分に塗布することが必要だから、これは塗料の準備さえできれば、誰にでも出来るだろうから、氏兼達に作業は丸投げしちゃおう。

 うんうん、なんとなくだけど、問題点のすべてで何をすればよいかがわかったかな。まぁ、これをベースに相談しながら検証すればいいだろう。

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