0185. モフシマ作戦九 結中 試作を繰り返してメニューを決める
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「さっ、氏兼のことはいいから、筑馬も沙門も食べて、感想を聞かせて。たきもね」
「はっ、それではいただきまする」
パリッと手に取ったポテトチップスを3人が食べて、音がする。この音もいいよね。美味しく食べてる感じがして。
「おっ、これは氏兼度のの申す通り、手が止まりませんな。自分で塩加減を決められるのもよいですな」
「3人共、少しはしたないかもしれないけど、手掴みで食べるとより一層美味しく感じるかもよ。御使い様に聞いたんだ。ポテトチップスとフライドポテトの美味しい食べ方を」
「そうでございますか、それでは、手掴みでいただきまする。おぉ~、これはこれでいいですな。手掴みなので、何枚もまとめて食べれるようになって、食べごたえがあって、いいですな。これは確かに御使い様のおっしゃられる通りです」
その後、いろいろと話をしながら、用意した試作品は全てみんなのお腹の中に消えていった
「さて、これで試食会は終わりにするけど、どうだった。どれか食べづらいとか、もういいかなって思うようなものは無かった?みんなきれいに食べたから、口には合ったのかなと思うけど。お疲れ様会で、出さなくて良いものはあったかな」
「いやっ、全てが美味しくて驚きましたぞ。お疲れ様会で、改めて食べれると思うと今から楽しみでしょうがありません」
「また、今日食べた物を全て出してほしいです」
「はいはい、わかったわ、でも、まだ作って無いものもあるから、そっちを試食してから決めてもいいわよ。あと、氏兼。海藻の天草をたくさん用意してほしいんだけど、大丈夫かな」
「天草でございますか。採れなくは無いと思いまするが、天草の何を採ってもらえばよいですかな」
「天草もいくつか種類あるんだっけ。確か『まくさ』、『おばくさ』、『おにくさ』、『どらくさ』とか、そんな感じの海藻があれば、それが欲しいかな」
「それでしたら、この大聖宮の南側の海で採れたと思います。漁師と海女に確認して、採ってもらいます。採れましたら、外宮に持って来てもらいます」
どうにかこれで粉寒天も作れそうね。
「ありがとうね。これでもっと美味しい菓子を作れると思うよ」
ーー二週間後、お疲れ様会前日
あれから、粉寒天も作り、いろいろと出来る菓子も増えた。フルーツもドライフルーツとフルーツゼリーを作ることにした。甘藷のパウンドケーキととうもろこしパンも大盛況だったので、結局、ほぼほぼ作ることにした。
作るものはこんな感じだ。
①スイートポテト
②さつまいもグラッセ
③芋ようかん
④さつまいものパウンドケーキ
⑤とうもろこしパン
⑥ゆでもろこし
⑦フライドポテト
⑧ポテトチップス(薄切り)
⑨ドライフルーツ
⑩フルーツゼリー
グラッセに似た大学芋とスイートポテトに似たスイートマッシュは、外された。そこまで似てるかなと思ったけど、今回の主役である氏兼達本人の希望であるから、しょうがない。
それと父上と母上もこちらを来てもらえることになっている。今日の夜に来て、明日の午前にお疲れ様会をして、夕方には、稲村に戻る予定になっている。
せっかく来てもらうけど、ゆったりと話す機会がない。まぁ、しょうがないけど、ちょっとじゃなく寂しい。
寂しいけど、お疲れ様会の準備、仕込みを勝手方の包丁人達としないといけないので、そんな悠長なことは言ってられない。
また別の機会を作ってのんびりと話をしよう。
ーーお疲れ様会当日
今日は、天堂には行かず、お疲れ様会のみをすることにしている。
勝手方のみんなには、軽目の朝餉の準備とあわせて、スイーツ作りをしてもらっている。さすがに私はキッチンに立たせてもらえないので、部屋でのんびりとして待っている。
レシピは渡してあるし、何より試作のチェックは何度もして、味を確認しているから、大丈夫だと思う。
ーー朝餉後
ゆったりと部屋でお茶を飲んでいたら、たきが来て、準備ができたので、内宮の広間に来て欲しいと呼ばれた。
部屋に行くと、今日は珍しくテーブルと椅子を出して、みんな座っている。もちろん、父上と母上もお誕生日席のすぐ隣にすでに座っていた。
お誕生日席だけ空いてるってことは、私の席だね。
テーブルの上には、まだ何も乗っていない。これから持ってくるのだろう。
「みんな、お待たせしたね。それと父上、母上。お久しぶりでございます。わざわざお越しいただきありがとうございます。手紙では、何度かやり取りしておりましたが、また会えて嬉しゅうございます」
「琴音様、そのようなお言葉をいただかずとも……」
「いえ、今日は氏兼達を慰労するためのお疲れ様会です。公としての琴音では無く、私個人としての琴としての集まりですので、今は父上、母上の子どもとしての時間にさせてください」
「……琴……。…ありがとう。それではその希望を尊重して、今はな」
父上の目に涙がたまって、泣きそうだ。やっぱり姫御子になっているのが、不安なのかな。
「さて、それでは、お疲れ様会を始めさせてもらうよ。まつ、悪いけど、料理を運んできてもらえるように包丁人の人達に伝えもらえるかな」
まつ達がスイーツを持ってきて、テーブルの上にずらりと並べてくれました。その光景に味を知っている氏兼達は目を輝かせ、初めて見る父上達は驚いている。
私は、驚いている父上達に今回作ったスイーツの説明をした。