0179. モフシマ作戦九 承中 間違いはあったが材料は揃いそう?
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ーー中食後
たきに棒茶を用意してもらっている間に氏兼に確認しちゃおうかな。
「氏兼、昨日話をしていたお疲れ様会で甘い物を作ることなんだけど、材料があるかを確認したいんだよね。今、確認しちゃっていいかな」
「はっ、たきが戻ってきておりませぬが、よろしいので」
「大丈夫だよ。用意できるかどうかを聞くだけだから。それで確認したいのは、牛の乳、卵、米、荏胡麻、あとは海水かな」
「牛の乳とは、先日、光賀が琉球より買い付けてきたあの白い牛のことでしょうか。それと卵はどの鳥の卵になりましょうか」
「牛の乳は、その通りだよ。何頭か連れてきてたでしょ。乳は今、どれくらい取れてるのかを確認したいんだよね。甘い物を作るのにどれくらい作れるか考えたいから。卵は鶏、えっと、時告げ鳥だっけ、その卵がいいんだけど、今、この大聖宮で時告げ鳥っているのかな」
あれっ、氏兼が珍しくなんか困惑しているな。どうしたんだ。
「えっと、あの牛は、農耕などに使うために連れてきたのではないんですか。田起こしや畑や田の開墾で……働いてもらって………ます…………。それと、時告げ鳥は今、大聖宮におりません。必要であれば、稲村や他の場所から連れてきますが」
「はぁ~、何やってるのよ(怒)。開墾に使うんだったら、わざわざ琉球や南蛮から連れて来てもらわないわよ。開墾に使う牛だと、牛の乳があまり出ないから、白い牛を連れて来てもらったんじゃない(怒)。お疲れ様会で作る甘い物等にも牛の乳を使うから、前もって連れて来たのよ。しっかりしてよ、氏兼。それと時告げ鳥は、わかったわ。数を増やしたいから、何組かの番を買い付けてきてよ。時告げ鳥も卵を産んでもらって使うためだからね。それ以外に何かさせないでよ」
なんでこうなったんだ。確かに牛が来た時は、忙しかったから、牧場に連れて行くのは氏兼達に任せたけど。都市計画を作る時に牧場を作る意味を説明したんだけどなぁ。伝えたけど、伝わってなかったのね。はぁ~、失敗したわ。
「申し訳ございませぬ。大変なことをしでかしました。直ちに、田起こしなどに使わぬように伝えてまいります。時告げ鳥も光賀に早めに買い付けに行ってもらいます。それでは、失礼仕る」
そう言うと、素早く立ち上がり、氏兼は部屋から飛び出して行ってしまった。
ちょっとぉ~、話は終わってないでしょう。牛を田起こしなどに使わないでほしいけど、そんな一分一秒を気にするわけでないんだから、話が終わったあとで良かったのに。もぉ~。
怒りが中途半端になってモヤモヤしているところにたきがお茶を持って来た。
「あのぉ、琴音様。何か氏兼が足早に出て行きましたが、何か急用でもございましたか」
「いや、無いよ。南蛮から買い付けてきた牛の扱いが間違っていたから、怒ったら、直ぐ辞めさせてくるって言って、部屋から出て行っちゃったのよね。そこまで急いでないのに。それよりも甘い物を作るための材料があるか、知りたかったのに。相変わらずの猪突猛進で困るわ」
「申し訳ございません。氏兼殿には、私からも伝えておきます。それで、代わりではございませんが私でもお答えできることでしょうか」
「答えられるんじゃない。甘い物の材料があるか、聞いてただけだから。それじゃぁ、たきに聞こうかな。牛と時告げ鳥については、氏兼に言ったから、いいとして。米、荏胡麻、あとは海水だね。米は米粉っていう粉にしたいのと、荏胡麻は油が欲しいんだよね。あと海水で塩以外に作りたいものがあるから、沖から海水を樽に入れて取ってきて欲しいってぐらいかな」
「米については、どのくらいの量を粉にすればよいでしょうか。それと荏胡麻の油は、光賀から買い付けてますので、光賀に言えば、必要な量は買い付けて来てもらえます。最後の海水は、船乗りの誰かに言えば良いので、こちらは、沙門殿か筑馬殿に言えば良いと思います。後ほど、二人に言っておきます」
「ありがとう。氏兼に、光賀に時告げ鳥の番を何組か買い付けてのお願いをしてと言ってあるので、荏胡麻もお願いしておいて。油も欲しいけど、荏胡麻の種も買い付けて欲しいかな。自分達で油作りたいし」
「あのぉ、油は油座がありますから、勝手に作って大丈夫でしょうか」
「そうなの。でも、大丈夫じゃない。自分達で使う分だけ作ることにすれば、何も言ってこないでしょう。それに言ってきても、油座の人が直接ここまで来ないよ。油座って、畿内とか尾張、伊勢とかにあるんでしょ、きっと。それに一応、ここは神社だからね。不入の権だっけ、それを使って断ればいいよ」
「わかりました。それでは、光賀殿と沙門殿、筑馬殿に話をしてきます」
「あれっ、光賀、今日居るの?珍しいね」
「はい、たまたま、今日は土と西国の奴隷を連れて来ております。明日には下田に行くと言ってましたので、早めに会っておかないと、次にいつ来るか、わかりませんので」
「そうだね、それじゃぁ、早めに行って頼むよ。氏兼にあったら、光賀への依頼はたきに頼んだと言っておいて。私はこのお茶を飲んだら、私室に戻ってるから」
たきに声をかけると、たきもうなづいてから立ち上がって部屋から出て行った。これで最低限の準備はいいかなって、あっ、米の量を伝え忘れたわ。まぁ、いいか。蔵に米が入ってるだろうから、他の材料が集まった時に用意してもらおう。