0175. モフシマ作戦九 起上 リフレッシュといえば、なんだろう?
最近、やっと陰陽師のスキル等が出来るようになってきたので、そろそろみんなとお疲れ様会でもしたいなと考えている。美味しいものを食べてリフレッシュして、英気を養わないと、この先も長いんだし、疲れて倒れちゃうよね。
ブラック経験者として、出来る限り働いていた時に妄想していたホワイト待遇を目指して、みんなの心と体が壊れてしまわないようにしないと。
気持ちはホワイト極振りなのだよ、ワトソンさん。いつかまた会いたいね、………。
それにせっかく料理スキルがあるのに、全く使う機会が無かったから、このタイミングでスキル検証とスキルレベルを上げたいとも思っているのだ。
そういうわけで、スキル上げとストレス発散、ガス抜きを兼ねたお疲れ様会を実施しようと思うのだが、がっつりとした料理を作るのにするのか、甘いスイーツを作るのか、悩ましい。
前世のときは疲れ果てていたので、お疲れ様会=栄養補給、体力回復って感じだったので、がっつり肉系のお店に行く事が多かったんだけど。
ここはスイーツ系にしておこうかな。この時代は甘味が貴重品だし、やっぱり疲れたときは甘味が欲しいし、何より『スイーツが正義』って、言葉もあることだしね。
でも、スイーツ系に決めたにしても、チョコレート、ケーキ、クレープ、プリン、ドーナツ、アイスクリームとかの洋菓子か、みたらし団子、あん団子、大福、練切、最中、あんみつ、草餅、饅頭、どら焼き、たい焼きとかの和菓子かフルーツをそのまま出すか、いろいろとあって、ここぞとばかり、作ってみたいものが多い。
何を作ろうかと悩ましいが、今は令和では無いので、材料になるものがどんだけあるのか、何があるか次第なんだよね、結局は。あとは何を食べたことがあるか、たき達に聞いてみようっと。
たぶん、今、考えているものは食べたことは無いと思うけどね。私もこっちに来てから甘い物って、干し柿ぐらいしか食べてないから。
天堂から戻ってきて、昼ご飯を食べ終わったら、聞きますかね。
ーー中食後
「ねぇ、たき。中食を食べ終わって、お茶の時にいくつか、質問したいことがあるんだけどいいかな。出来れば、勝手方の包丁人にも聞きたいんだけど、大丈夫かな」
「勝手方の包丁人にですか。それは難しいかも知れません。勝手方の管理は氏兼殿がやっておられます。御方様でも、勝手方の包丁人と直接お話することは無かったと思います。何をお聞きになりたいのでしょうか。氏兼殿から確認してもらうことで良いのではないでしょうか」
「えぇ〜、そうなの。真里も直接聞いたことがないのぉ。そうすると、ここに呼び出して話を聞くのは難しいかな」
「そうでございますね。氏兼殿との相談次第ではございますが、呼び出された包丁人は、何か失態を犯したのではないかと、怯えて来るのではないでしょうか。いくら、氏兼殿や私が説明しても、内心は怖がって来ると思いますよ。なので、呼ばずに氏兼殿から聞いてもらうが良いと思います」
「そこまで言うなら、呼ばないほうが良いかもね。まぁ、まずは氏兼を呼んで、二人に質問してから、包丁人を呼んだ方が良いか判断してもらうことにするよ。それじゃぁ、中食後に氏兼を呼んでもらえるかな」
「承知しました。この後、呼びに行ってまいります」
ーー15分後
まつ達とお茶をしながら、待っていると、ドカドカとした足音が聞こえてくる。相変わらずの足音だが、氏兼がやって来たのだろう。思ったより早く来たな。
部屋に入ってくるなり、私の前に座り、声をかけて来た。たきは氏兼の後ろに座ってしまった。さっきたきにも質問したいって言ったのに、氏兼の横に座ればいいのに。何を気を使ってんだか。
「琴音様。何やら勝手方の包丁人に質問したいことがあるのだと。どのようなご質問でございましょうか。料理について、琴音様がお気になさるようなことは無いかと思いまするが、何か失態でもやらかしましたか」
「そんなことないよ。いつも美味しい食事を準備してくれて、感謝してるよ、勝手方のみんなには。今日、聞きたかったので、そういうことではなく、こっちに来てから、みんな忙しく動いてもらってたでしょ。だから、少しお疲れ様会って感じのをやろうかなと思ってね。
食事にするか、甘味にするかを考えたんだけど、甘味って、私は干し柿くらいしか食べたことがないから、他に何があるのかなと、聞きたくてね」
お疲れ様会の計画について、氏兼とたきに趣旨を含めて説明する。二人ともちょっとびっくりした顔をしたけど、どうしてだ。
「そうでございましたか。安心しました。ところで、お疲れ様会とは、どのような会でございますか。今の話を聞くところによると、食事をするための集まりのように思いまするが」
「あぁ、その認識でいいよ。単純にみんなで集まって美味しいものを食べながら、話をしようって集まりだから。まぁ、秋にやった収穫祭をこじんまりと小さくやる感じだと思ってもらえればいいよ」
こっちにはお疲れ様会って考え方無いのかな。まぁ、良いけど、今後、いろいろなタイミングでイベントをやっていけば、慣れるかな。
「承知つかまりました。それで、甘味の話でございましたな。甘い食べ物といえば、干した栗や柿、それに果物ではウリなどの果実でございましょうな。
このうち、この周辺でよく食べられているのは、干し柿とマクワウリでございます。その他では、米や麦などの穀物から作る水あめがあると聞いたことがありますが、ここでは見かけることはございませぬ。
某が知っている話は、以上でございます。たきはその他に何か知っておるか」
「いえ、氏兼殿が仰ったこと以上のことは、知りません。包丁人もこれ以上のことは知らないと思います。琴音様、聞きたいことは以上でございますか」
思った通り、甘味は全然無かったわね。そうすると、どうやって甘味を作るかな、下手に作ると大変な噂になってしまいそうね。どこまでの甘味を作るかを考えないと。