0161. モフシマ作戦七 月後 思いつきと気分転換を
ーー1時間後
う~ん、真眼で命素の把握はできてきたけど、しっかりと違いがわからないわね。狐火ちゃんと花梨ちゃん、水蓮くんの大きさの違いや色の違いがぼんやりとだけど、わかってきたぐらいだ。
もしかして、もっとはっきりと見えると、命素の動きで、行動の先読みができたり、命素の色で心の動き、心理状態がわかるようになってくるのかな?
それが心眼なのかな。真眼が基礎スキルで心眼が派生スキルか。
このあたりも狐火ちゃん達だけで無く、みんなの命素が見えるようになってから、検証していくしかないな。何故か、狐火ちゃん達の命素は見えるけど、氏兼達の命素がまだ見えないのよね。違いが何なのかは、わからないから、今はどうしようも無いけどね。まぁ、一歩一歩やってくしかない。
今日は、もう時間がないからまた明日以降で試しながらやるかな。じゃぁ、帰りますかね。
ーー翌日
翌日もいつも通り天堂にやってきた。
「それじゃぁ、行ってくるね」
いつもと変わらず氏兼達に話しかけてから、天堂に入る。今日は、昨日、奥之院に戻ってから考えたことを試してみようと思っている。いつものルーティンワークをさっさと終わらせて、準備ができたら、早速、試してみるかな。
えっ、何を考えているって。それはね。将門公を神威顕現出来ないかなってこと。易占術ができるであろう人を師匠に出来れば、もっと早く身につけることができるのではと思ったの。今までずっと、師匠になってくれる人が居なくて、1人で右往左往しながらだったからね。
狐火ちゃん達とも、八百幻みたいに意思疎通できるといいんだけどね。まだまだ出来てないからスキル検証のサポートをしてもらってないのよね。
それじゃぁ、将門公の神威顕現を試しましょう。花梨ちゃん達と同じように準備して。
『神威顕現』
バチバチッ、バチバチッ。なっ、なに、どうしたんだろう。目の前がいつも以上に光ったと感じた直後に、雷というか、静電気の大きな音がした。少し煙が地面から上がっているが、そこには誰も居ない。顕現に失敗したようだが、今までの神威顕現の失敗とは違う。
何が足らなかったのか、よくわからないが、顕現トンネルや魔素での失敗では無いと思う。将門公の顕現検証の前に花梨ちゃん達を顕現させているからね。
はぁ~、また考えないとかぁ~。ルーティンワークは終わってるから、今日はもう狐火ちゃん達と遊んで帰ろう。
でも、将門公の何がダメなんだろう、神格かな。それともイメージが足りないのかな。やっぱイメージは足りないんだろうな、だって、門馬に全てまだ聞いてないからね。帰ったら、門馬に話を聞くかぁ。その後にもう一度、検証して、それでもダメだったら、自己流で頑張ってみるかな。
ーー天堂から出た後
「みんな、お疲れ様。いつものは作ってもらったから、出すから運んでね。
それと筑馬、門馬が知っている話を全て聞きたいんだけど、どこまで本は出来ているのかな。私の聞いてない話も本になっているかな」
「琴音様、先日、門馬からお話しました内容については、ご指示いただきました楷書体にて本にしております。書くのに、多少の時間はかかっておりますが。それとお話ししておりませぬ内容については、まだ本にできておりません。本にした内容に間違いがないか、門馬が確認しておりましたので」
「そう、それじゃぁ、出来上がった本は、手の空いたときにでも写本を何冊か用意してもらえるかな。筑馬達にしっかりと管理して子孫に伝えてもらいたいしね。写本の一つは、私にもらえるかな。今後、時間を見つけて、読み直したいから。
それと門馬に確認終わったら、私に話をしていない内容も全部、私に話をしてもらえるように伝えて、その後、同じように写本を準備して、私に頂戴ね」
「承知しました。それでは、明日にでも門馬を外宮に呼びまする。時間は、先日と同じで中食後でよろしいでしょうか」
「そうね。それでいいわよ。ただ、天堂に入っている時間は、今までよりは短くなるかも。今日、鍛錬してみたけど、新しい御業はうまくいかなかったから、門馬の話を聞いてから、改めてすることにしたのよ。
オガ炭や鋼等を作るのと出来ている陰陽師の御業をよりうまく使えるように鍛錬するだけなので、早くあがってくると思うわ」
「承知しました。早くお戻りになられるなら、安心でございまする」
「そうだ。早く奥之院に戻るなら、中食を作るときに私も料理を習おうかしら。御使い様達への御礼、供物の奉納を自分で作って感謝の気持ちを表したいね」
早めに戻って、昼ごはんまで時間があるなら、ちょっと料理スキルを上げる練習をしたいわね。
「琴音様が料理をですか。勝手方がおりますので、そのようなことはされずとも、御使い様への供物は準備致しまするが」
「いや、氏兼。御使い様達への感謝の気持ちは、自分で準備するからこそ、伝わるというものだと、私は考えます。なので、勝手方のみんなから料理を習いたいと思いますし、もしかしたら、御使い様から料理を教わるかもしれませんしね。そのときに、料理ができないと申し訳無いよ」
「えっ、御使い様から料理を習うおつもりですか」
「今はそんなこと思って無いけど、もしかしたらだよ。そうなってもいいように、天堂から早めに戻って来て、時間があるなら準備してもいいかなと」
「はぁ、そうでございますな。承知しました。それでは、時間がございますれば、勝手方から料理を教えるように伝えておきまする」
「うんうん、それじゃぁ、よろしくね。まぁ、毎日するわけじゃないし、危なくないようにするから、大丈夫だよ」
よっしゃ~、これで料理スキルを上げることができるぞ。令和の料理を再現して、食生活を豊かにしよう。それとたまには、氏兼達や町の人達に料理を振る舞おうかな。試作はたくさんするだろうしね。