0145. モフシマ作戦五 中急 予定調和で驚かれた
ーー中食後
「氏兼、たき、それにみんな、わざわざ集まってもらってありがとうね。今日、みんなに話したかったのは、ここ最近、天堂で色々と鍛錬をしていたでしょ。その鍛錬が実を結び始めてね、出来ることが増えたのよ。
それで少しだけ出来ることをみんなに見せて、大聖宮の中でやれることが無いかの意見をもらいたくてね。一応、こんな事ができるんじゃないかっての考えはあるけど、それ以外にも私が気づかないだけで、何かあるんじゃないかなと」
「琴音様、鍛錬により新たな技能を身につけられたとのこと、大変喜ばしく思いまする。誠におめでとうございまする。ただ、琴音様は、今も十二分に大聖宮のために動いていただいておりまする。まずは姫御子様として天堂での鍛錬を優先していただいてよろしいかと思いまする。これ以上のことは無くてもよろしいのではないかと思いまするが、いかがでしょうか」
氏兼が本気の顔して、これ以上のことはしなくて良いって言ってるけど、それじゃぁ、引きこもりモフモフ生活が出来ないので、きっぱりと否定しておくわ。それと怪我を
「いや、何言ってるの、氏兼。まだまだ、大聖宮でのみんなの暮らし落ち着いてないし、安定もしていないじゃない。これからなのよ、農作物も今年から色々と試すことが始まったばかりだし」
「確かに琴音様のおっしゃられる通りではございますが、琴音様は先日、我らに働きすぎだとの諌めをされておりました。琴音様の今の状況も同じことかと思いまする。琴音様はまだまだお体は小そうございまする。ここでこれ以上無理をされずともよろしいのではないかと」
ぐっ、まさか働き過ぎを注意したことがブーメランで戻ってくるとは。確かにその通りなんだけど、ここまで来てやりきらないのは、中途半端過ぎて、気持ち悪いのよね。どうにかして、説得をしないと。氏兼達もこんな気持ちだったのかしら。
「確かに氏兼の言う通りかもしれないわね。私が言ったことを私が守らなくては、示しがつきませんね。とはいえ、私が鍛錬で身に付けたこと御業が、私の負担になるのかを判断するには早すぎませんか。まだ、何も見ていないのですから。まずは、見てから、負担のならない方法をみんなから聞きたいと思う」
「そうでございますな。承知しました。まだ何も見ていないうちに決めつけてしまうのはよろしく無いことでございました。それでは、琴音様の負担にならぬのであれば、なにかをしていただくことに致しましょう。負担にならぬのであれば。それで、どのような事が出来るようになられたのですか」
おっ、何か引き下がったけど『負担にならぬのであれば』を二回も言うってことは、内心は納得してないわね。
まぁ、体の大きさのことやこの世界での年齢を単純に考えれば、そうかもしれないわね。でも、私は転生者で前世も合わせれば、もう三十路になりかけているのよ。肉体的にも精神的にも問題ないわ。
「わかったわ。負担が無いと思ったらでいいわ。それで氏兼達は陰陽師の事は知っているかな」
「陰陽師でございますか。昔居たと言われている安倍晴明様などが就かれていた陰陽師ですか」
「そう、その陰陽師だよ」
「詳しくは知りませぬが、その陰陽師がどうかなされましたか」
「この間から天堂で鍛錬していたのは、陰陽師の技能でね。その技能の一部が出来るようになったのよ」
「陰陽師といえば易占や暦占、穢の祓いなどでございましょうか」
「そういう技能も今後、身に付けられるようだけど、今回鍛錬していたのは式神の方だよ」
「式神?でございますか。聞いたことはございますが、世迷い言の類だと」
わっ、あからさまにみんな胡散臭いものを見る目になったわね。
「まぁ、そうだよね。私も最初はそうだと思っていたけど、鍛錬して少しだけ出来るようになったから、本当のことなんだよ。まぁ、安倍晴明さんが式神を使えたかは、わからないけど。これは姫御子としての加護のおかげだと思う。普通はできないんじゃないかな」
「はぁ⤵、そうでございましょう。式神を扱うことができるなど琴音様からの言葉で無ければ、世迷い言と吐き捨てておりました」
まだ納得してないわね、みんな。
「まぁ、とにかく式神を召喚して扱うことが出来るようになったのよ。まぁ、そんなに数もできないし、強いモノではないけど、探索や哨戒、情報収集ならできるんじゃないかなと思っているよ」
「わかりました。それで、その式神はどのようなモノなのでしょうか。探索などできるというと、それなりの大きさであるのかと思いまするが、大きさはいかほどでございましょうか」
「召喚できる式神は3種類かな。今ここで見せれるのは2つだけになるけど。
1つ目は鴉の式神ね。鴉だから、夜など闇夜の中で空からの警戒や相手方の様子を探索するなどで活躍できるんじゃないかなと思っているわ。
2つ目は黒猫ね。こっちはより敵の中に潜入したりすることができると思うわ。
最後は守護像ね。これは、木彫りした神の眷属、神の御使い様などを何かあったら、動かすことができるようになるモノね。普段は動かないから、ここが攻め込まれた時の守り役などで活躍できるんじゃないかなと思っているわ
この3つのことができるようになったのよ。このあと、鴉と黒猫の召喚は見せるわね」
あれっ、また驚いた顔になっちゃたわ。そろそろこういう展開にも慣れてほしいわね。まぁ、今までのこととは違いすぎるからしょうがないけど。少しは耐性が付かないのかしら。