0014. 口裏合わせはしたが漏れがある
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次話は19日7時です
「お前様、連雀は光賀でよろしかったのですか。まだまだ年若でありましょう。上手く甲斐での人買いができましょうか」
「真里、あやつは、津島の出じゃ。そこいらにいる連雀より、遅れを取ることもあるまい。儂らが思うとるより老獪であるぞ。
若輩に見せて、しっかりと利を考えておる。甲斐でも上手く孤児の奴隷を集めてくれるだろう。それに義父上に文を出すのじゃ、大きな問題にはならんだろう。
それより真里、氏兼は半刻ぐらいで来るじゃろう。氏兼が来たら、二郎太郎とたきを呼んできてくれ、頼む。それと氏兼達三人には、どこまで話をするのがいいじゃろうか。
付城建築とここと白浜の増築は、儂らの土地の支配を進めつつ、海の防備を固める事で北進の準備じゃと表向きは通せるが、社の建立と門前町の町作りは、どう話をするかの。琴の姫御子様のことを話さず、理由をどう付けるかが難しい事よの」
「お前様、社のことは御稲荷様には大変非礼になりますが、御本神様が顕現されたのではなく、御稲荷様の御使い様がわわらとお前様、二人の夢枕に立たれたから、家運隆盛のために奉納として建立するでよいのではないですか。
御本神様が顕現された話にすると話が大きく過ぎて、三人とも特に二郎太郎は耐えれず、話が漏れていくと思います。琴に関しては何も言わず、話すにしても、将来、社の巫女にさせるかもしれぬぐらいでよろしいのではないですか。
あまり実際のことと離れすぎた嘘を伝えると、話が露見したときに心が離れてしまいかねませんよ。表向きの嘘を半分、本当のことを半分で良かろうかと」
「そうじゃの、確かに嘘がありすぎるとこの先、話の辻褄が合わなくなるな。それに真里が夢枕で御神託を授かったのは事実じゃ。
それならば、最初から社を建立する事と社に行って管理をすることを指示すればよいか。さすがは真里じゃな。あとは氏兼が来るのを待つだけじゃ」
しばらくすると、ドタドタと大きな音が聞こえ、大柄な男性が廊下を歩いて部屋に向かってきている。
「真里、氏兼が来たようじゃ、相変わらず歩く音が大きくて、すぐにわかるやつじゃ。二郎太郎とたきを呼んできてくれ」
「はい、お前様、しばしお待ちを」
真里と入れ替えるように、男が入ってきて平伏した
「殿、氏兼、ご指示により、ただいま、罷り越しました。火急な話があると聞き申したが、何が起こりましたか」
「氏兼、急くな。他にも話す相手がおるゆえ、真里が呼びに行っておる。来るまで、白湯でも飲んで待っておれ。誰ぞ、氏兼に白湯を持ってまいれ」
「お気遣い、ありがたく。それでは、しばし待つと致しまする」
二人で白湯を飲みながら、別の話をしていると、真里が二郎太郎とたきを連れて戻ってきた。
「真里、ご苦労じゃったの。二郎太郎とたきも、こちらに座れ、たきは部屋の隅に控えんでもよい。そなたにも話があるゆえ、呼んだのじゃからな。
それと、誰ぞ、部屋の襖を取り外し、部屋を開け放て。その後、遠くまで離れぃ。話はそれからじゃ」
「「殿(父上)、そこまでの話にございますか」」
「そうじゃ、その方らにする此度の話は、ここにいる五人以外、何者にも話をしてはならぬぞ」
「「「承知致しました」」」
その言葉に、三人は平伏した。
「さて、準備が整ったの。話の始まりは、先日、真里が琴を産む前の日まで遡る。あの日の夜、儂の夢枕に御使い様が立たれたのじゃ、話の内容は、また後日に話をするが、御使い様の話を真里にすると、真里も儂と同じ日に夢枕に立たれておったのじゃ。
二人揃って同じ日に同じ内容の話を御使い様がされたということは、我が里見家の家運隆盛のまたとない機会だと考えておる。そなた達には、その御使い様の御言葉、御神託に則り、動いて欲しいという事じゃ」
「殿、お二人がお聞きした御神託、いかようなことであったのでしょうか。事が事だけに話の内容と某達の動きにより、我らが里見一族の岐路に立つやもしれまするぞ」
「父上、この二郎太郎、御神託のご指示を身命を賭して、完遂致す所存、いかような内容で」
「たきの命は、御方様のものです。いかような命令でもお受けします」
それぞれが、御使い様が立たれたことに驚き、気をさらに引き締めた表情をしている。
【姫御子護衛衆(予定)】
宮司:堀内兵部少輔氏兼
禰宜:鞍馬衆代表
権禰宜:飯母呂一族代表
出仕:二郎太郎と甲斐の孤児奴隷
巫女:鞍馬衆と飯母呂一族の女性
女官:たき
侍女:甲斐の孤児奴隷
女中:甲斐の孤児奴隷