0137. モフシマ作戦四 中後 インゴットへの認識齟齬が大きかった
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私の話を聞いていた氏兼達は、かなり悩んだ顔をしているわ。やっぱり、話の持って行き方が強引だったかしら。
「お話、ありがとうございまする。お伺いした使い方が本当に我らでできるのか、早速試したいと思いまする」
「沙門殿、筑馬殿。まずは京の都から来た鍛治師ではなく、そなた達の一族の鍛治師の一部を外宮のそばに移ってもらい、さらに外宮の中で内宮に近いところに鍛冶場を作って、試すことにするぞ。これは容易に皆に渡してよいモノではない」
あれっ、そんなやばいモノなのか。氏兼の顔つきが厳しいモノになったわね。厳重に情報を隠匿したいみたいね。私としては、取られると困るけど、取られたら、取られたで、どうせ再現は出来ないから、持っている人物だけを注意しておくぐらいで良いのかなと思ってるんだけどなぁ。
そこそこ注意が必要なモノだとは思ったけど、私の感覚より2段階ぐらいやばい感じになっている。
「氏兼殿。まさにその通りでございます。我が一族でも一番の腕利きに話をして、携わってもらいましょう」
「氏兼、これってそんなに気をつけないといけないことになるの。私にはよくわからないけど」
「琴音様、これは危険なモノになるかもしれませぬぞ。家の補強はまだしも、城壁や鎧が補強されるとならば、長期間の籠城できまする。
また、武士や雑兵も鎧が強化されて、死ぬまでにいかぬようになれば、怪我をしても復帰しやすくなりまする。これは相手方にとって、とてつもなくいやなことでございまする。それに船が燃えにくくなると海戦がしやすくなりまする。今でも上杉方には負けておらぬようですが、より勝ちやすくなるかと。
さらに鋼やウーツ鋼なるものは、さらに危険でございます。鋼での矢盾なぞ聞いたことがございませぬ。鋼であれば火箭で燃えることもなく、砦や館に近づけます。ウーツ鋼なるものは、鋼より斬れ味が良いとなれば、相手方に今まで以上に致命傷を与えやすくなります。相手方に致命傷を与えられ、我らは怪我をしにくい、これでは、多少の人数差があったところで、力攻めをしても問題無くなるということでございまする。
なので、この二つがあるだけで、今までの我らの戦と異なる戦い方ができるので、殿であれば、より上杉方を押し込めるようになると思いまする」
思った以上に強力な武器と防具になるのね。私の認識だとちょっと有利になるぐらいだと思ったら、全然違っていたわ。まぁ、でも、安房の人達が無事に怪我無く帰ってこれるなら、よしとしよう。安全な領地が増えれば、この大聖宮に攻めて来ることも無くなって、引きこもりモフモフ生活も実現しやすくなるだろうしね。
よし、問題無いってことにしよう。
「私が思っていた以上に有用な使い方ができそうな感じで、御使い様と頑張ったかいがあったというものだね。それじゃぁ、この3種類の塊は氏兼と沙門達に預けるから、どんな感じで使えそうなか確認をしてもらえるかな。よろしく頼むね。使い方次第で、どれをどのくらい作ってもらうかを考えたいから。
それと1ついい忘れてたけど、沙門、筑馬。オガ炭か竹炭の生産量を増やすことはできるかな。それとあわせて、砂浜の砂も多く持ってきてほしいんだよね。平砂浦を取りすぎないように、別の浦からとかでさ。出来るかな」
「そうですな。オガ炭と竹炭は、多く作ることはできると思いますが、どの程度増やせばよろしいでしょうか。また、別の浦から砂を持ってくるのも問題ないかと」
「そうだね。オガ炭と竹炭は、荷車一台分を三日に一回ぐらいで増やしてもらえると助かるかな。砂は荷車数台分を五日に一回ぐらいで」
沙門と筑馬が不思議そうな顔をしながら、質問してきた。
「承知しました。して、何に使われるのでしょうか」
「あぁ~、ごめんね。説明してなかったね。両方ともこの3種類を作るのに使うんだよ。砂だけでこの銀色っぽい感じの鉄を。砂とオガ炭、もしくは竹炭で、鋼とウーツ鋼を御使い様と作ることができるんだよ。
みんながどれほど使うかわからないから、最初は様子を見ながら作っていこうかと思ってるよ」
「承知致しました。早めに皆と確認を致しまする」
「氏兼、そんなに急いでは無いから、無理をさせないですね。前に話した通りだよ。急ぐ部分とゆっくり確認しながらやる部分をしっかりと考えてね。今は、明日の肥料の確認のほうが先だよ」
もう、すでにこの間のお説教のことを忘れているよ。これは、定期的にクギを差していかないとダメだね。まぁ、私も令和のときは、友達とかに散々、同じようなことを言われながら、あまり変われなかったから、人のことは言えないけどね。
「そうでございました。あまりのモノを見てしまい、気が急いておりました。まずは明日の肥料の確認のための下肥などの準備を致しまする」
「そうだね。それでお願い。それじゃ、今日はおしまいにしようか。お疲れ様、解散」
ふぅ~、やっと話が終わったよ。それにしても、ウーツ鋼はやりすぎてしまったかなぁ。でも、引きこもりモフモフ生活のためには、必要なことだからね。
ーー翌日
さて、今日も天堂に行きますかね。今朝もいつもと変わらぬ感じで朝餉を食べてから、皆で天堂に向かっている。
「そういえば、氏兼。昨日頼んでおいた土とかの準備は大丈夫かな」
「大丈夫でございます。昨日、話し合いが終わったあとに準備をしておりますので、すでに天堂の前に置かれていると思います」
「そうなんだ。でも、町の人達は、急なことで大丈夫だったのかな。無理はさせてない?あとで、お礼を言いに行くわね」
さすがに氏兼。準備に怠りないわね。でも、終わったあとに動いたってことは、町の人達も急なことで大変だったんじゃないかな。あとで、みんなにお礼を言っておかないとだね。
「いえ、大丈夫でございます。手の空いて者に半刻ほど手伝ってもらいながら、用意致しましたので、そこまでの手間にはなっておりませぬ。ですので、お礼を言われると、戸惑ってしまうと思いますので、お気になさらずで大丈夫でございまする」
「そう、ならいいわ。じゃぁ、早めに天堂に行きましょうか」
天堂に着くと、すでに荷車が置いてあった。いつもと同じように砂とオガ炭が乗っている荷車があり、その横の小さな荷車に土や肥料の原料が乗っている。
「じゃぁ、いつも通り荷物を天堂の中に入れちゃいましょう」
さぁ~、肥料作りを頑張りましょうかね。