表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/324

0129. モフシマ作戦三 水 ブラック化が始まってました

 年始の仕事始めの集まりを実施してから数日が経ったが、みんなのやる気が天元突破していて、途中でエネルギー切れを起こさないか、元ブラック企業勤めの経験者から見ると今から心配になってしまう。

 やる気があることは悪いことではないが、やる気が肉体的疲労を隠して、気づかないうちに疲れを蓄積してしまい、やる気がいつも通りのレベルになった瞬間に肉体的疲労が表出化して体調不良になると思う((琴音)の経験談だよ~)。

 まだまだ先が長いから、このタイミングでは、無理をせずしっかりと休みを取らせながら、息の長いやる気にしなければならないのだ。

 そのためにも氏兼と沙門、筑馬を呼び出して、少し注意をしておかねば、なにか起こってからでは遅いのだ!この大聖宮はホワイト企業認定以上にホワイトな集団を目指すんだから。早々に三人を呼び出さないと。


「たき。悪いけど、朝餉を取り終わったら、氏兼と沙門、筑馬を外宮の応接間に来るように呼んで来てもらえるかな。注意しないといけないことができたからね」


「琴音様、承知しましたが、何を注意せねばならぬのでしょうか。問題が起こっているようなことはないかと思いますが」


「そうね。今はまだ問題は起こってないよ。けど、このままいったら、近いうちに問題になりそうなの。だから、今から注意して危険を排除しようと思ってね」


「さすがです。小さな変化を感じ取られ、先に対処しておくことをされるとは。して、どのような問題が起こりそうなのですか」


「あぁ~、それはね。氏兼達が来てからたき達にも話をするから、まつ達も部屋に来てもらってね」


「承知しました。まつ達も広間に来るように話をしておきます」


「それじゃぁ、よろしくお願いね。半刻後に広間で」



ーー半刻後

 氏兼達三人とたき達四人も揃っているな。それじゃぁ、始めますかね。この七人は特にやる気がありすぎて困るのだ。

「みんな、よく集まってくれたね。今日は天堂に行く前に話をしておきたいと思ってね。たきに頼んで声をかけてもらったのよ」


「琴音様、いつもの集まりとなにか違うのでしょうか。顔ぶれが変わっていないので、天堂の前や別のところでお話をされても変わらぬかと。わざわざ外宮の応接間に集まらずとも」


「氏兼、それは違いますよ。話す内容により、場を変えることは至極当然のことなのです。例えば、戦の話をするのに、義実が氏兼の家に訪ねて来ますか。来ないでしょう。

 また、例えば好いた女と話をするのに、村の広場ではあまり話さないでしょう。それと同じで今日は、この広間で少し引き締めた話をしたいのよ、みんなに」


「なるほど、合点がいきました。それで我らに引き締めた話をしたいとのことですが、内容はどのようなもので」

 氏兼は、納得したのか、気をひしめた顔つきになって、私に目を向けた。


「それじゃぁ、早速、話をするわね。この間の仕事始めの集まりの後から感じているんだけど、みんな、頑張り過ぎだと思うわ。

 確かにやる気があって頑張れることは素晴らしいことだよ。けど、今のままの動き方をあと一年、二年、三年とずっと続けられるのかしら。

 こういう先の見えない長くやらないといけないことは、やる気があっても、焦りすぎず、じっくりとゆっくりと確実にやるところと素早くやり終えるところをしっかりと分けてやるべきなのよ。

 今のみんなはそれが出来ていないから、今後、体を壊したり、病気になったりするんじゃないかと懸念しているわ。今日はそんなみんなに釘を差して、息の長い活動になるように注意しようと思ってね。みんな思い当たることがあるでしょう」

 あれっ、みんなキョトンした顔になっている。『何いってんだ、こいつは』って、思っているな。全く自覚が無かった感じだね。はぁ~、どうしよう。


「琴音様、お気遣いありがとうございまする。確かに我らは琴音様のお話された事が出来るように日々頑張っております。しかし、やり過ぎとは思うておりませぬ。この程度でやり過ぎとおっしゃられては進むものも進まないと思いまする」

 氏兼、やっぱり自覚がないどころか、これぐらい当たり前だって、思っているな。他のメンバーも頷いているから、氏兼と同じ思いなんだろうな。

 これは、マズい、すでにブラック気質が浸透しちゃっている。いくら室町の時代で人権の考え方があまり無いとはいえ、これを認めていては、私の周りが大変なことになるわ。しっかりと説教して行動を変えさせないと。


「氏兼、その発言自体がよろしくないと思うよ。確かにここにいる七人は頑張り、努力を苦にせず出来るのでしょう。そこは否定をしません。逆にありがたいと思っているわ。

 ただ、この大聖宮に住む皆が全てあなた達と同じではないのですよ。頑張りがあまり出来ない子供や老人、女性もおるのです。その者たちにも同じ努力を求めていたら、不平不満が溜まり、争い事の元になります。

 不平不満を貯めぬようにするのが、あなた達の役目。なので、最初のうちは先ほど言った通り、焦らず、じっくりやるものと素早くやるものを考え、皆の負担にならないようにしてほしいのよ。わかったかしら」


「なるほど、そこまで気に留めておりませなんだ。確かに琴音様のおっしゃる通りでございます。しっかりと考え、皆の役割を調整致しまする。さすがは琴音様です」

 おっ、少し響いたのかな。氏兼達の顔つきが少し変わったわね。これはいいんじゃない。こんな事で褒められても嬉しくはないが、ブラック化する前に管理をしているメンバーに話が出来てよかった。


「それでは話は終わりです。今の話を肝に銘じて、頑張っていきましょう。さてと、大聖宮に行きますかね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ