0125. 仕事始めはいつからだ。
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年末の怒涛の炭作りが無事に終わって、一回目の炭の配給をしてからすぐに年越しになってしまった。結局、年越しそばもお雑煮やおせち料理なども何も試せずに、稲村にいた頃と変わり映えのしないモノで年越しを過ごしている。
来年こそは、ちゃんと準備をして年越しそばもお雑煮やおせち料理も食べれるようにするぞぉ~。
大晦日を通り過ごし、年始、年明けの三が日はのんびりと過ごしていた。令和のように正月の初詣の習慣はまだ無いようで、特に町の人達が初詣の参拝に来ることはなかったのである。
これは私の嬉しい誤算であった。てっきり、正月の元旦から初詣の人が来て、巫女さんみたいに何か忙しなく動かないと行けないのかなと思っていたので。
三が日をのんびりと過ごしたあと、忙しくなるのかと思ったが、そんなことにはならず、気付いたら、普段と同じ様な生活になっていった。
神社の行事というと歳旦祭や祈年祭等があったが、この時代だと何があるのか、よくわからないので、変に氏兼とかには確認せず、スルーしている。何か行事をするときは声がかかるだろうと思うし。
正月も松の内も終わり、初子の祝で七草粥らしきモノを食べたので、そろそろ仕事始めをしようかなと思ったのだが、仕事始めって概念がみんなにあるのだろうかと気になって、たきと氏兼に確認することにした。
「氏兼、たき。ちょっと確認したいことがあるんだけど、いいかな」
「琴音様、何を確認されたいのでしょうか。お答えできるかわかりませぬが、ご下問ください」
「そんなにかしこまらなくても大丈夫よ。昨日、初子の祝をしたでしょ。そろそろ『仕事始め』かなと思っているんだけど、『仕事始め』って聞いたことある」
「寡聞にして聞いたことがございませぬ。その『仕事始め』とはどのような行事でしょうか」
「仕事始めは、行事じゃなくて、いつもと同じ様な生活に戻って過ごし始める時期のことよ」
「なるほど、それでしたら、御参内始のことでしょうか。御参内始ならば、明後日になりまする」
「氏兼、一応の確認だけど、御参内始ってどんな事なの」
「御参内始は、皆の役割を始める日にございます」
参内って、朝廷の行事から始まって、武家がやり始めたのかしらね。
「あぁ~、それなら私が言ってる仕事始めと同じかな。それじゃぁ、明後日から仕事始めってことで、お休みは明日までってことね。その御参内始は何か年始だから、特別なことをするのかな」
「いえ、御参内始で何かすることはなく、皆、それぞれに役割を始めまする」
「そうなんだ。三献の祝のようにみんなで集まって何かすること無いんだね」
「そうですな。そのような事は今までしたことはないですな。何か集まってということならば、集めまするが、いかが致しまするか」
「そうだね。年始だから今年のやることなど、目標を訓示してもいいかもね。秋の収穫祭りをした広場にみんなを集めて、話をしようかな。その後にみんな、動き始める形でいいんじゃないかな」
「わかりました。それではみんなにお触れだけ出しておくように致しまする。巳の正刻に集まるようにと」
「うん、それでいいと思うよ。それじゃぁ、よろしくね」
さてと、話の流れで訓示、新年の社長挨拶みたいなものをすることになっちゃったけど、何を話そうかな。今年の目標は言うとして、他に何を言おうか、悩ましいな。
ここはちょっと氏兼に相談というか、何を聞きたいかというと父上はこういうときに何をしゃべっていたか、聞いてみるかな。
「ねぇ、氏兼。明後日の仕事始めのとき、どんな話を聞きたい?それと義実はこういうとき、どんな話をしていたか覚えている」
「そうでございますな。琴音様のお言葉であれば、皆も喜ぶとは思いますが、宇迦之御魂神様が琴音様に何を御神託されているのか、そのような話をしていただけると、我らが今後、どのようなことをせねばならぬかと想像できるのではないかと思いまする。
殿はこのような年始の席で話すことはされませぬが、皆を集めたときには、我らがなすべきことを明確に口にされますな。そのおかげで皆のやるべきことがわかりますので、動きやすいですな」
「そっかぁ、そうだよね。ありがとう、参考になったわ」
明後日のときは、ちょっといまのを参考にして、言いますかね。