0124. 年末調整 結 これでみんなも温かく
「みんな、おはよう。それにしても朝早くから集まったわね。朝餉を食べ終わったばかりよ。そんなに急かさなくてもいいんじゃない」
サンプル品を配った昨日の今日で、早々に氏兼達が揃ってやって来た。
使ったのはわかるが、そんなに早くに報告に来なくてもいいのではと思うが、まぁ、しょうがないか。
「琴音様、そうではありますが、確認した結果を皆、早く話をしたかったのでございます。これの素晴らしさをみんなで確認して、どんどん進めていければと思うております」
どんな使い勝手だったのか、気になってはいるけど、そこまで興奮するぐらいの結果になったとは思わなかったな。だって、炭だよ。今までだって、使ったことあるだろうに。でも、これだけ熱量があるってことは、相当良かったんだろうな。
「そうですか、それなら報告を早く聞きましょう。で、結果はどうだったの、使えそうかな」
「いやぁ~、使えるどころの騒ぎではありませぬ。竹炭にしろ、オガ炭にしろ。とても扱いやすく、今までの炭とは違って、素晴らしくよかったです。
そのうえ、あの火鉢があれば、寝室も暖かくなり、寝ているときもそこまでの冷え込みはなく過ごせました。
竹炭を作るのも、とても簡単でした。門前町の子供らでも火の番が出来ますので、大人が作らずとも良いのが助かります。その分、大人達はオガ炭の成形をすることができましたので、たくさん作るうえでは、非常に助かります」
「思ってた以上に有用だったようね。それじゃぁ、量産に向けて原料の確保とオガ炭の成形をお願いね。竹炭については、沙門と筑馬に任せるので、どんどん作るのを進めてね。無煙炭化器と圧縮器は、数を増やすように天堂で御使い様に手伝ってもらうようにお願いをして、作製を進めるので、今はちょっと待っててね。オガ炭も頑張って、御使い様に協力してもらうから、オガ炭の成形をどんどん進めて作ってちょうだい」
「琴音様、承知しました。筑馬殿と協力して、竹炭の作製とオガ炭の成形を進めまする。出来上がったオガ炭は、天堂の前の広場に集めておきまするので、後ほどにでも、天堂の中に入れてもらいたく、よろしくお願い致しまする」
「沙門、オガ炭はどんどん持ってきてね。みんなが温かくして冬を過ごせるかはこの作製にかかっているから、量を作らないと駄目だからね、一緒にみんなで頑張りましょうね」
どこぞのブラック企業、よろしくな感じでどんどん作れと発破をかけて頑張れと言ったが、この時期の寒い夜は、死に直結するので、炭の量産に遠慮はいらないのだ。
それに錬成のスキル練習にもなるし、マンションの自室にこもれるし、一石二鳥以上でお得感満載なのである。
それから5日ほどは、道具作りとオガ炭作りで、天堂にいる時間のほとんどを過ごしたおかげで、オガ炭は10トントラック5-6台分にもなった。竹炭作りも沙門と筑馬が頑張って子供たちと作ってくれたので、トラック2-3台分まで在庫が出来たのだ。ここまで作れれば、今の大聖宮と門前町に住む人たちは、十分かなと思う。
今後も時間を見つけては、ちょこちょこと在庫の積み増しはしていかなければと思っている。炭は温かい料理を作るのに必要だしね。
それと出来たオガ炭と竹炭は一旦、全てこちらで管理して、都度必要分を配る配給制にした。みんなどれくらい使うかわからないし、配ったあとに足りなくなったと急に言われても、増産が間に合うかわからないからね。
そのうえで、各家庭の在庫は沙門と筑馬が管理し、外宮に保存している在庫は氏兼とたきが管理することにしてもらった。
とりあえず、これで少しはこの冬を暖かく過ごせるだろうね。そうそう、忘れずに父上と母上にも贈っておかねば。こっちだけ暖かく過ごして、父上達が寒くては意味がない。あとで火鉢の使い勝手と炭の暖かさの感想を聞かせてもらおうっと。久しぶりに稲村に里帰りでもしようかな~。